「相手の怒りポイントがわからないんです。」

 

あるご夫婦の旦那さまからのご質問でした。

 

とても仲がよく、時々小さなケンカはするけれどまぁまぁかわいいもので、まだまだ新婚気分も抜けずに楽しい毎日が続いていたご結婚3年目ラブラブ


・・・に入ったある時、はじめて「大ゲンカ」レベルの夫婦喧嘩になってしてしまったそうで、その時はなんとか仲直りされたのですが、お二人とも疑問が残ってずっとモヤモヤしていながらもその時のことを蒸し返さないようにしている、といった感じでした。




これから先も長く二人でやっていくために、致命傷になることがあるなら知っておきたい、とのこと。




初めての大ゲンカのきっかけは・・・

「しめじ」でした。

食用キノコのあの「シメジ」です。







その日は、朝から雪がちらつくとても寒い冬の日で、奥さまが夕食にお鍋を用意されたそうです。


具材を鍋に並べてあとは火にかけるだけ、となったときに、奥さんは何かもう一品入れるかどうか、迷ってしまいました。


そこで選ばれたのが「しめじ」です。





奥さまは、すでに鍋に入れられている具材と手に持ったしめじを眺めながら、

「うーん、あと一品欲しいような、そうでもないような・・・」とその日は珍しくご自分では決められなかったので旦那さんに決めてもらおう、と、いったん保留にします。




そして、旦那さまが会社から帰宅されて着替えをはじめたころ、、、奥さまは聞きます。


「ねぇ、今日はお鍋なんだけど、しめじを入れるか迷ってるんだよね。しめじ、欲しい?欲しくない?」




来ました・・・
多くの夫婦喧嘩の火種になるとも言われている「どっちがいい?何がいい?」問題です。

 

でも、言うても今回は「しめじ」を鍋に入れるか入れないかです。
それほど大きな問題ではないと思う人は多いでしょう。



旦那さまもどちらでも良かったのですが・・・

こういう時「どっちでもいい」と答えたら《不機嫌になる、ってわかってるぜ!》と、よーく考えてからこう答えます。









「賞味期限が迫ってるんだったら、

入れたらいいんじゃないかな?」









奥さま・・・プチッ!




と、キレて・・・しまいました。






「は!?賞味期限!?そういうこと聞いてるんじゃないんだけど!!」


「え、いや、入れるかどうか聞かれたから答えてるんだけど・・・俺は正直どっちでもいいから、しめじ・・・」


「私だってどっちでもいいからあなたに聞いてるんでしょ?だからしめじを入れてほしいかほしくないかどうか聞いてるわけよ! 何!?賞味期限て!」


「いやいや、俺はどっちでもいいんだよ、しめじ入れるか入れないか。でも、どっちでもいい、って言ったら怒るんでしょ? だから、どうしたらいいかちゃんと考えて答えてるよね!?」


「あのね~、あなたがしめじを入れたいか入れたくないか聞いてるの!

しめじのこと聞いてるんじゃないの!!!





 いえいえ、しめじのことを聞いてます・・・ 

 と、もうかわいそうになりました・・・

 「しめじ」がえーん




「どっちでもいい」のほうが傷は浅かったかもしれません。。。

けれど、もう手遅れでした。




そこから「だいたいこういう時にいつもあなたは・・・」「あの時は君が・・・・」「それを言うならそっちだって・・・」



と、さらに他のこと、過去のことにも話が発展して、結婚3年目にして記念すべき初の大ゲンカに至ってしまった、という次第。











・奥さんの気持ちがわかる人
・旦那さんの気持ちがわかる人
・両方の気持ちがわかる人
・どちらの気持ちもわからない人
・鍋にしめじ入れるかどうかどっちでもよくない?と思う人



いろいろだと思います。

そして、このいろいろが、人間関係における衝突の原因になります。





きっかけは些細なこと、が多いものですが、

このご夫婦の「しめじ論争」はそこにいたるまでのいろんな伏線があって、さらにその日は偶然お互いいつもより虫の居所も悪かったのでしょう・・・


不幸にも全てが噛み合ってしまった瞬間に、つもりつもったものが爆発して「しめじ戦争」にまで至ったのだと思います。





★奥さまは「食」に対して非常に強いこだわりを持ち、「ピンと来る」が口癖のインスピレーション派


★旦那さまは「食」に対してそれほど執着がない、「合理的に考えて」が口癖のロジカルシンキング派


 

「~したいか、したくないか」(しめじを食べたいか?食べたくないか?)
「~したほうが合理的か、そうでないか?」(しめじを今日の鍋に入れたほうが良い理由(入れなくても良い理由)は何か?)



奥さまは「しめじ」に対する旦那さんの気持ちを聞いていて、旦那さまは「シメジ」そのもののことを考えて答えを返しているわけですから、

すれ違います。仕方ないです。



このご夫婦は、比較的「相性が良い」とされる組み合わせです。

 

が、相性が良い同士でも「譲れないもの」に関しては相当の理解力が必要になります。

ただ、自分が持っていない感覚や感性を完璧に理解することは難しいので、その違いが大きいもの同士で仲良くやっていきたいと思うなら、ここはもう、お互いここぞ!というところは事前申告をして相手に協力してもらうのも一つの手です。




旦那さまが「そういえば・・・不穏な空気になるのは食事が絡んでることが多い気がする・・・」とおっしゃったことや、鑑定でも奥さまの「食」に対するこだわりの強さが顕著に出ていたこともあり、冒頭の「致命傷になることを避けたい」というご要望に沿いまして、
 

旦那さまには、こと「食」に関して奥さまと話すときは、理屈はさておきにして、「しめじ戦争」にまでは突入しないよう予防線を張っていただくことをお勧めしました音譜





この奥さまくらい「食」へのこだわりが強い方ですと、賞味期限なんていう基本的な概念は「聞かれるまでもないわ!」です。

しめじを鍋に入れても入れなくても、その後のプランも含めて「賞味期限なんて当たり前に込みこみでちゃんと考えとるわ!」なのです。


他の性格要素や奥さんご自身の自己申告から総合的に判断しても、(あえて極端な言い方をしますが)本来であれば、周りがどう思おうと、自分が作り上げた完璧な食事に他人の意見を挟ませることなど言語道断!と言いかねないところがおありです。



ですから、あの日、すべてを計算しつくしたうえで最後に残った選択肢の「しめじ」は、、、

 

旦那さんが食べたいか、食べたくないかという気持ちを聞いてあげたかった、という優しさのあらわれなのだ、と。



そう思いましょう。

そうでなければ、あの「しめじ」が浮かばれません。。。




そういえば・・・あの時の「どっちでもいいと言われ続けたしめじ」はどうなったのか・・・

結局、鍋に入れたのか、入れなかったのか・・・迂闊にも確認していなかったことに、今、気づきましたあせる




あれほど「しめじ」というキノコの名前を料理の話以外で聞いたのははじめてです。


しばらく頭から離れずに、スーパーで見るたびにこの「しめじ事件」のことを思い出してしまいました。


「香り松茸、味しめじ」と言われるキノコ界のトップアイドル「しめじ」

お二人が仲良くお互いを認めながら幸せな人生を共に歩まれて、いつかあの日が「しめじ記念日」になるよう願いつつ・・・


今夜の夕食には「しめじ」をいただくことにしようと思います照れ

 

 

●吉祥寺 このはな咲や●