タイトル ソウ2

公開年

2005年

監督

ダーレン・リン・バウズマン

脚本

ダーレン・リン・バウズマン リー・ワネル

主演

ドニー・ウォルバーグ

制作国

アメリカ・カナダ

 

本作は2004年に公開され、その斬新なアイデアと衝撃的な結末に、世界中で大ヒットした「ソウ」の続編。鉄は熱いうちに打てとのことわざ通りに、前作の翌年に公開されるという早業だが、内容はかなり完成度が高くファンの期待に十分応えるものとなっている。

前作で監督を務めたジェームズ・ワンは製作総指揮に回り、主にミュージック・ビデオやCMの制作に携わってきたダーレン・リン・バウズマンが新たに監督として起用されているほか、脚本もリー・ワネルと共に担当。トビン・ベルが引き続き謎めいた殺人鬼、シグソウを怪演しているほか、前作にジグソウが仕組んだゲームで唯一の生還者であるアマンダが、本作に登場している。

映画の冒頭は、刑事エリックのタレコミ屋マイケルが、ジグソウの仕組んだゲームにかかっている姿から始まる。お約束通りに彼は派手に殺され、確認のため女刑事のケリーに呼ばれエリックが本人と確認。エリックは妻と別れて息子のダニエルは非行に走ってしまいしっくりいっていない事から、元気がない様子。一方でケリーは、なんとしてもジグソウを逮捕に執念を見せる。このケリーは前作でもデイビッドと共にジグソウを追う刑事として登場している。演じるは同じディナ・メイヤー。

その夜フラッシュバックでジグソウの居所にヒントをつかんだエリックは、ケリーらとともに急襲。逮捕にこぎつけるが、彼は末期癌で余命いくばくもない状態。苦しい状態で彼はエリックにゲームを持ち掛ける。部屋にあったモニターを見ると、そこには8人が部屋に閉じ込められている様子が映っていた。そしてその中に、ダニエルがいたのだ。

監禁場所で目覚めた8人は、「ここには神経ガスが充満し、あと2時間しか生きられない。助かりたければ解毒剤を探せ」と、前作同様に助かるヒントが吹き込まれたテープを聞かされる。この8人に共通点はないかと思われたが、やがて7人にダニエルの父、エリックに捕まったという共通点があった。しかも証拠をでっちあげられていた。ただ、全くの冤罪という訳ではなく、みんななにがしかの悪事には手を染めている。この中にジグソウの仕組んだゲーム唯一の生還者のアマンダがいる。ここから何かあるなと思っていたが、やはり何かあった。演じているショウニー・スミスは以前紹介した「ブロブ/宇宙からの不明物体」でヒロインを演じていた。

「二人だけで話がしたい」と持ち掛けるジグソウに、エリックは最初は断るがケリーに説得され渋々応じる事にする。

「時間まで座って話をするだけだ。そうしたら息子は返す」と、冷静に話しかけるジグソウだったが、息子の事から気が気じゃないエリックは冷静でいられない。一方でジグソウを良く知るケリーは終始冷静にエリックをサポートしつつも、8人の監禁場所を示すヒントを探っていた。しかし遂にブチギレたエリックは、ケリーの制止を振り切ってジグソウを痛めつけ、居場所を吐かそうとする。末期癌で相当な痛みに耐えているジグソウが応じるとは思えなかったが、何故かあっさり「お前だけに話そう」と持ち掛け、ボタンを押すように言う。この場所はエレベーターになっていて、そのまま地下に降りていくのだ。その時、ケリー達の前で金庫が開くのだった。というのが大まかな粗筋。

前作は衝撃のラストにうならされたものの、「さすがにこれを上回るラストはないだろう」と思っていたら、なんとその諦めをやすやすと越える衝撃のラスト。「あのジグソウの事だから、何かトラップを仕掛けている」と思っていたが、まさかあのネタで来るとは思わなかった。これは完全に完敗を認めざるを得ない。

前作で登場したジグゾウが、ダークヒーローとしての地位を確立したのが本作。自らは決して手を下さないが、巧緻を極めたトラップを仕掛け、命を大事にしない相手を追い詰める。ただし、必ず命は助かる方法が提示されているのが、ただの殺人狂とは違うところ。

前作はラスト以外だと中盤で一瞬映る程度だったが、本作ではほぼ全編にわたり登場し、彼は末期癌で派手に動き回ることは出来ないのでエリックとゲームと称する会話を交わす。そしてこの会話の内容が重大なヒントになっているのだが、元々粗暴な性格のエリックは、息子が捕らえられたことで冷静でいられなくなっている。そこがジグソウの付け目となり彼もジグソウのゲームの中に投じられることになる。体力が無いだけに巧緻で相手を追い詰めるジグソウの本領発揮だ。もっともホラーに登場する殺人鬼の中には、もう余命幾ばくもないのに、健康な男と格闘するような猛者もいるが…