タイトル ゾンビランド

公開年

2009年

監督

ルーベン・フライシャー

脚本

レット・リース ポール・ワーニック

主演

ウディ・ハレルソン

制作国

アメリカ

 

本作は、新型ウィルスの感染拡大により、人類の大半がゾンビと化してしまった世界で、ゾンビのいない世界を目指し旅をする、男女4人の珍道中を描いたホラーコメディ映画。

出演者の多くは本作の時点ではさほど有名ではなったが、その後大ブレイクした事で有名。特にエマ・ストーンは現在では押しも押されぬ大人気女優となっている。B級ホラー映画ながらも大ヒットしたが、なかなか続編が作られなかったのはそうした事情があったと思われる。また、ビル・マーレイのカメオ出演は話題となった。なお、続編の「ゾンビランド.ダブルタップ」では、後に「マンダロリアン」のアソーカ・タノ役でブレイクしたロザリオ・ドーソンが出演している。このシリーズに出ると、ブレイクする率は高い。

二人のバディ物としても面白い

 

映画の冒頭は、主人公のコロンバスが本作の世界観の説明も兼ね、自分が生き延びた“32の法則”を説明するシーンから始まる。この辺の解説は手際よく進み、尺の短縮に役立っている。

ガソリンスタンドでゾンビに追われ、車をなくした事から徒歩で移動中、屈強で射撃の名手タラハシーと出会い同行することになる。実はコロンバスもタラハシーも本名ではなく、出身地や所縁の地から来たニックネーム。お互いに感情移入しないようにそう名乗っている。ちなみに、コロンバスが最初に殺した隣人の美女をアンバー・ハードが演じている。

ワイルドなタラハシーだが実はお菓子のトゥインキーが大好き。しかしなかなか手に入らず、途中で立ち寄ったスーパーで探しているうちに、ウィチタとリトル・ロックと名乗る姉妹と出会う。妹のリトル・ロックはゾンビに噛まれ、いずれゾンビ化してしまうから一思いに殺して欲しいと依頼される。コロンバスは尻込みするのでタラハシーが変わろうとするが、そこで姉のウィチタが「私がやる」と言って銃を受け取る。そうしたら二人に銃を向け「手を挙げろ」。実はリトル・ロックのケガは偽装でカモになりそうな人間が立ち寄るのを待っていたのだ。武器と車を奪った姉妹は意気揚々とスーパーを後にする。スーパーの中にはゾンビがいたのに、武器もなく非力な二人がどうやって生き延びたのかとは言ってはいけない。

ちなみにウィチタはエマ・ストーン。リトル・ロックはアビゲイル・ブレスリンと超豪華。

とぼとぼと徒歩移動するコロンバスとタラハシーだったが、途中で武器を満載にしたハマーを発見。なんだ!この偶然は!いそいそと乗り込む二人だったが、郊外で二人に奪われた車がエンコしているのを発見。今度は騙されないぞとばかりに用心深く接近するが、今度もまんまと罠にはまってしまう。しかしタラハシーの機転で形勢逆転。にらみ合う一同だったが、コロンバスの言葉にとりあえず協力する事にする。

あのお騒がせのアンバー・ハードも出演

 

ロサンゼルスに入った一行はビル・マーレイの屋敷に侵入。しかし何とそこにはビル・マーレイ本人がいたのだ。彼はゾンビのメイクをしていたので襲われなかったという。マジが?これにはタラハシーとウィチタは大喜び。そこでコロンバスとリトル・ロックを脅そうとゾンビメイクのまま二人の前に現れるが、コロンバスは銃を撃ってしまう。なんとも言えない微妙な魔の中、ビル・マーレイを弔った一同だったが、コロンバスとウィチタの間にほのかな恋愛感情が芽生えつつあった。リトル・ロックはそんな姉を叱責し、二人はゾンビがいないと言われる遊園地パシフィック・プレイランドへ向かった。貸し切り状態の遊園地を満喫する姉妹だったが、灯りと音に町中のゾンビが押し寄せ、二人はドロップタワーに孤立してしまうのだった。その頃メキシコ行きを提案するタラハシーに対し、ウィチタへの思いが募るコロンバスは、彼女を追うという。タラハシーも見捨てるわけにいかず同行する。いつしか4人は実の家族のような絆を感じ始めていた。

ホラーコメディの装いだが、実はヒューマンドラマ。4人の主要キャストは特に家族に関して深い言及はなく、これまでは孤立して生きているようだった。それが、世界の崩壊という局面でお互い助け合っているうちに、次第に疑似家族のようになっていく姿が共感できる。例え世界がゾンビだらけでも、人は人地では生きてはいけない。寄り添い、慰め、励ましながら生きていく。そんな温かさに満ちた映画だった。

全編を通して主人公コロンバスを演じるジェシー・アイゼンバーグのナレーションにより、物語が進むのも面白い。何といってもヘタレ青年を演じたら、右に出る者はいないジェシー・アイゼンバーグのヘタレさが最高!それだけに、最後に愛する人の為に、最大の勇気を振り絞る姿に、観客は喝采を送りたくなる。とりあえず、有酸素運動の重要性は理解できた。