タイトル デンジャラス・ビューティー

公開年

2001年

監督

ドナルド・ペトリ

脚本

マーク・ローレンス ケイティ・フォード カリン・ルーカス

主演

サンドラ・ブロック

制作国

アメリカ

 

本作は、男勝りで色気ゼロの女性FBI捜査官が、ミス・アメリカ・コンテストをテロリストから守るために、潜入し奮闘する姿を描いたコメディ映画。

最初は、ミス・コンテストなんて、男に媚びるくだらないイベントと馬鹿にしていた主人公が、コンテストに向けて努力する周囲の参加者や、自分の為に骨を折ってくれる美容コンサルタントのひたむきな姿にうたれ、次第と考えを改めていく姿を描いている。

“男勝りの色気ゼロ”と言っても演じているのがサンドラ・ブロック。ハリウッドの美人女優が美しくないはずはなく、「彼女がどう美しく変身するか?」ではなく、「いかにガサツに見せるか?」を期待するわけで、その点では彼女の配役は絶妙と言える。例えばニコール・キッドマンが演じたら、嘘くさく思えたはずだ。

主人公のグレイシー・ハートはFBI捜査官。子供のころから正義感が強く、困っている人は助けざるを得ない性格だが、その為助けられた男の子からは嫌われることもある。

今日も、ロシアのギャングの捜査中に、窒息しそうなギャングのボスを救おうとしたことから、他の捜査官が撃たれてしまった。幸い一命はとりとめたものの、グレイシーは罰として事務職に回される。

この後、「ザ・シチズン」と呼ばれるテロリストから予告場が届く。テキサス州サンアントニオで開催される第75回ミス・アメリカ・コンテストの爆破を予告して来た。奇妙な事に、いつもは予告場の暗号は解けないのに今回は判明する。勘のいい観客は、この時点で犯人は別人だと思う事だろう。

あっと驚く大変身。こんなことやっても嫌味にならないのがサンドラ・ブロック

 

グレイシーの同僚のエリックが、この任務を担当することになり、彼はミスコンに捜査官を潜入させようとする。任務を果たせそうなFBI職員をピックアップするが、これという人が見つからない。冗談半分でグレイシーを選ぶと意外と一番ましに思えた。しかし、本人は当然拒否。それでも渋々引き受けてもらい、主催者のキャシー・モーニングサイドに相談。グレイシーのガサツさに辟易しつつも、美容コンサルタントのヴィクター・メリングを紹介。短期間で、彼女をコンテストにふさわしいように、変身させる手助けをさせる。ヴィクターは腕はいいものの注文が細かすぎて、最近仕事は干され気味だった。

ヴィクターの奮闘もあってグレイシーは見違えるように美しく変身する。とは言うものの、中身はガサツなままだが。この「見かけは美女。中身はガサツ」という塩梅が実にいい。

最初は、参加者を馬鹿にしていたグレイシーだったが、彼女たちと接するうちに次第と打ち解け合い、なんとしても彼女らを守ろうと決心する。しかし、別件で「ザ・シチズン」は逮捕され潜入捜査の打ち切りが決まる。しかしグレイシーは、何者かがミスコンを狙っている事を感じ上司に逆らって潜入捜査を続ける。やがて事件に、組織内部の軋轢が影を落としている事を知る。

大ベテラン3人の豪華共演

 

主演のサンドラ・ブロックはこれ以上ないほどの好演。他のキャストだと成功しなかっただろう。その上で、美容コンサルタントのマイケル・ケイン。司会者のウィリアム・シャトナー。大会委員長のキャンディス・バーゲンとベテラン勢が大活躍。特にオネエ言葉で話す優秀だが頑固な美容コンサルタントを演じたマイケル・ケインのうまさが光る。最初はいやいや仕事をしていたのが、次第とグレイシーに娘の様感情を抱くようになるのが良い。また、グレイシーの事を、最初は見下していたようなほかの参加者が、彼女の人柄に触れ友情を育むようになり、最後はグレースの支度を手伝う姿はちょっとムネアツだ。

正直犯人は結構小物だし、動機もしょぼくて尻すぼみ感はあるものの、出演者たちの熱演もあって最後まで面白く見る事が出来る。サンドラ・ブロックは、正統派のアクションやラブストーリーもいいが、こうしたラブコメが良く似合う。それも本当は超絶美女なのに、ブスを演じる事が出来るからだ。それに最初はミスコンを馬鹿にしていた彼女が、次第と変わっていく姿は素直に共感できる。

原題の「Miss Congeniality」のCongenialityとは”相性の良さ”。確かにどちらかと言えば人と交わることを避けていた主人公が、他の人たちと交流を重ねる事で「相性が良くなる」映画と言える。