タイトル フェノミナ

公開年

1984年

監督

ダリオ・アルジェント

脚本

ダリオ・アルジェント フランコ・フェリーニ

主演

ジェニファー・コネリー

制作国

イタリア

 

本作は、イタリアホラー界の巨匠、ダリオ・アルジェント監督が、主演にジェニファー・コネリーを迎えて撮影したホラー・サスペンス映画。ヒロインを演じるジェニファー・コネリーは昆虫と交信できる不思議な能力を持った少女を演じ、彼女が遭遇する不可解な、連続少女殺人事件を描く。他に、ヒロインと交流を持つ昆虫学者を、名優ドナルド・プレザンスが重厚に演じている。

スイス北部の都市チューリッヒ郊外で、バスに乗り遅れた少女がさ迷っているうちに1軒の家にたどり着き、中で助けを呼んでいるうちに閉じ込められている何者かによって惨殺されるという、ド定番の出だし。ちなみにこの少女は、ダリオ・アルジェントの娘・フィオーレ・アルジェント。本当は彼女をヒロインに本作を撮ろうとしたが、周辺にたしなめられしぶしぶオーディションをしたところ、ジェニファー・コネリーを気に入って本作のヒロインに抜擢した。おかげで、フィオーレはこの役に落ち着いたが。

その後、切り取られた首を警察が発見し、昆虫学者のマクレガー教授の許に持参し、昆虫の付き具合から死亡時期を特定する。

その頃、高名な俳優を父に持つジェニファー・コルビノが、スイスの寄宿学校にやって来る。

その日、収まっていたはずの夢遊病が再発し、生徒ばかりか先生達からも気味悪がられるジェニファー。更に、同室の少女ソフィーが殺されたことから、彼女は学校で孤立していく。彼女は、昆虫と交信できるという不思議な能力を持つ事から、昆虫学者のマクレガー教授と親しくなり、少女連続殺人事件解決のために協力する事になり、殺害現場を特定するが、不動産屋が現れた事により逃げ帰ってしまう。更にその夜に、マクレガー教授が殺され、いよいよ頼れるものがいなくなったことから、ジェニファーは帰国を決意し代理人と連絡を取るが、彼は学校の先生であるブルックナーが現れて代理人にチケットの購入を頼まれたことを伝え、自分の家で翌日の便を待てと諭してジェニファーを自宅に連れていくが、家の様子やブルックナーにも何か異常なものを感じる。ブルックナーは次第にヒステリックになっていき、ついにはジェニファーを監禁してしまう。何とか脱出しようと、ジェニファーの奮闘が始まるのだった。というのが大まかな粗筋。

フェイクとわかっていても、これに飛び込むのは勇気がいる

 

映画のラスト近くで、ジェニファーが蛆虫だらけのプールに落ちる有名なシーンは、本人がスタントなしで演じている。その為「アルジェントはジェニファーを本当に蛆虫だらけのプールに突き落とした」などと、まことしやかにささやかれることがあったが、この蛆虫はおがくずなどで作られたフェイクで、映画を見ると本物の蛆虫が映っているカットは別撮りされている事が分かる。

いかにもダリオ・アルジェントらしく、ストーリーより映像重視。何度か話が飛ぶし特に終盤、ガイガー警部は犯人を殺したように見えたが、その後犯人がしれっと登場している等、前後のつながりが微妙なところも多い。ただ、映像重視なところは間違いなく、主演のジェニファー・コネリーの魅力を引き立たせる効果はあった。彼女が操るのが生えや蛆虫といった、清楚な美少女っぷりと相反するようなものばかりなので、その対比が映画に彩を与えている。その意味で、本作最大の見どころは、主演のジェニファー・コネリーであろう。本作の前年に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で銀幕デビューを飾ったばかりで、本作公開時にはまだ14歳という初々しさ。加えて正統派の超絶美少女っぷりは世界中の同世代の少年たちを虜にして、一躍「第2のブルック・シールズ」として注目された。もっとも、そのブルック・シールズもジェニファーも、そのアイドル的な人気ゆえに一時伸び悩んだのはご存じの通り。それで終わらずに、現在でも演技派として活躍を続けているのは流石というべきだろう。