タイトル モンスターズ・インク

公開年

2001年

監督

ピート・ドクター他

脚本

ダン・ガーソン アンドリュー・スタントン

声優

ジョン・グッドマン

制作国

アメリカ

 

本作は、ディズニーとピクサー製作の長編フルCGアニメーション映画で、ピクサーの長編アニメーション作品としては第4作目となる。それまで「トイ・ストーリー・シリーズ」等で監督を務めていたジョン・ラセターが、ピクサー作品では初めて製作総指揮に回り、ピート・ドクターが初監督を務めた。ちなみにジョン・ラセターは社内のセクハラ行為が明らかとなったことから、ディズニーを退社に追い込まれている。

本作を劇場で見た時は、エンドロールにNG集(無論、わざわざ作ったのだが)があったが、ディズニープラスでは普通のスタッフロールになっていた。気になったので調べたら、WOWOWで最初に放送された際にはスタッフロールに置き換えられたが、その後の放送では復活。

その後、国内向けのDVD版には、映像特典としてスタッフロールのないNG集も別途収録されている。何故、ディズニープラスがNG集をカットしたのは不明だ。

Aerosmithの「I DON'T WANT TO MISS A THING」がむっちゃ似合う

 

映画はクローゼットからモンスターが出て、子供を脅かそうとするところから始まるが、実はこれは新人の研修シーン。モンスターが住むこの世界は、子供たちの悲鳴をエネルギーとして成り立っている。それだけに、エネルギー会社「モンスターズ・インク」の役割は重大で、社員たちがせっせと子供の悲鳴を集めていた。そんな中、サリーは常にトップの成績を維持している。アシスタントで親友のマイクにとって、サリーは自慢の相棒だった。

最近のガキンチョは過激なテレビやゲームの影響で、モンスターを見てもあまり怖がらないが、サリーは抜群の成績を維持していた。そんな中、常に2番手につけているランドールは、サリーを敵対視しているが、もともとは温和なサリーは何も気にしていなかった。

やはり「2番じゃダメ」なんですよね。蓮舫さん。

その一方で、モンスターの世界では、人間の子供は大変危険な汚染物質と考えられており、万が一子供の持ち物を持ってきてしまうと、CDA(子供検疫局)が駆けつけ、すぐさま汚染物質の処理作業が始まる。

劇場で見ていた当時は大袈裟さに笑ったが、某感染症を経験すると違った意味で笑えてしまう。どっちにしても笑えるのだが。

マイクは、苦手な事務員のロズに提出する報告書を職場に忘れていた。彼は会社の受付嬢のセリアの誕生日を祝う為、高級すし店を予約していたため、マイクは、サリーに代行を頼むのだった。絶叫フロアへ戻ったサリーは、出しっぱなしのドアを見つける。サリーはドアの中を確かめるが、そこにはまだ幼い人間の少女がついてきてしまった。サリーは慌てて逃げだすが、少女はサリーの背中に張り付いていた。サリーは子供を会社のカバンに詰め、もう一度フロアへ戻ると、なぜかランドールがいてドアを片付けてしまう。困ったサリーは子供の入ったカバンを持ち、マイクのいる店へ向かうのだった。

デート中に厄介なことを持ち込まれたマイクはおかんむりだが、その間少女はカバンから抜け出し、、店はパニック状態に陥る。CDAが駆けつけたため、サリーとマイクは子供を連れて店から逃げ出す事に。だが現場に残されたセリアは防疫でひどい目に会い、翌日マイクに怒りをぶちまけるのだった。

これら一連の出来事で、次第と子供に情が移るサリーと、あくまで子供を厄介ごととみるマイクとの考えの違いが浮き彫りになるのが面白い。

サリーは、ブーと名付けた少女をモンスターに変装させて会社に連れて行き、元の部屋に帰すことにする。

マイクは記録から、昨夜ランドールが出していたドアを突き止め、ブーを絶叫フロアまで連れて行くが、そのドアはブーのものではなかった。2人がもめている隙に、ブーが姿を消してしまう。

慌ててブーを探しに行くサリーとマイクだったが、マイクはランドールに捕まり、彼からブーをこの世界に連れ込んだのはランドールで、彼も必死でブーの行方を追っていると告げた。そして、絶叫フロアが無人になる昼休みに、ブーをドアの向こうに帰そうと提案する。マイクもその提案に賛成し、サリーとブーを絶叫フロアに連れてくる。

しかし、ランドールの昨夜の怪しい動きを知っているサリーは信用できなかった。そこで、ブーの部屋へ入ったマイクは、ブーと間違えられてランドール一味に攫われてしまう。実は、ランドールは、地下の隠し部屋で密かに開発された悲鳴吸引機を使って、子供を誘拐してきて、この装置で大量の悲鳴を吸引するという計画を進めていた。だが、この装置は子供の実に命の危険があった。果たしてサリーはランドールたちに打ち勝ち、ブーを元の世界に戻せるのか。というのが大まかな粗筋。

頼むからこれは間違っても実写化しないように。ホラーになってしまう

 

先入観にとらわれない柔軟さと優しさを持つサリーと、現実主義者のマイクのコンビがいい味を出している。一時は袂を分かつが、最後は協力して難局を切り抜け、ヴィランに打ち勝つある意味鉄板のストーリーだが、それに絶妙な隠し味となっているのがブーの存在。彼女は終始変わらず全く成長しないが、それだけにサリーを慕う姿が微笑ましく思える。ラストで、怖がらせるよりも笑わせた方がエネルギーが得られるというのも、素敵な結末で観終わった後にほっこり癒される。そしてラストのサリーの表情は、思わずうるっときてしまった。