タイトル 怪盗グルーのミニオン危機一発

公開年

2013年

監督

クリス・ルノー ピエール・コフィン

脚本

シンコ・ポール ケン・ダウリオ

声優

スティーブ・カレル

制作国

アメリカ

 

2010年に公開され全米ヒットを記録したユニバーサル・ピクチャーズとイルミネーション・エンターテインメントが製作した「怪盗グルーの月泥棒」が、大ヒットしたことを受けてシリーズ化されることになった。本作はそのシリーズ第2作目となる。

世界観は前作を引き継ぎ、娘たちはそのままグルーの養女として登場するが、男手一つで3人の小生意気な女児を育てるのは大変。それにこのシリーズは女と言えば、三姉妹とグルーの母ぐらいでヒロインと言えるキャラがいない。前作は三姉妹がヒロインだったが、本作ではもう娘となったのでヒロインとするのは難しい。ということで、次は多分グルーの恋が描かれるのでは?と多くのファンは予想しただろうが、その通りとなったのは当然の事。さすが期待を裏切らないイルミネーションと言った感じで、この「見せたい映画よりも、見たい映画」というスタイルは好きだったりする。

すっかりいいパパとなったグルー

 

悪事から足を洗い、三姉妹を引き取って平和な生活を営むようになったグルー。唯一頭が痛いのは、ご近所のジリアンが、グルーに彼女を紹介するが、かなりぶっ飛んだ性格なうえに、幼少期の体験で恋愛恐怖症なので閉口している。今ではジャムづくりをやっているが、ネファリオ博士はこうした平和な暮らしに馴染めないようで、別口のオファーが来て出て行ってしまう。

ある日、グルーは反悪党同盟に誘拐され、潜水艦に拉致されてしまう。って、“反悪党”と名乗る割に、やる事は悪党そのもの。誘拐したのはエージェントのルーシーで、北極圏の秘密研究所が、巨大磁石を仕込んだ飛行機械で飲み込まれる事件が発生。

そこではPX-41という突然狂暴な怪物に変異する薬を開発していた。なんでそんなもん作るんだよと思うが、ロシアの施設の様なのでありうるか。

可愛い?ミニヨンの活躍も大幅に増える

 

怪しい容疑者が数人、市内のショッピングモールにいるので、潜入調査を依頼されたのだ。いったんは断るも、子供たちの言葉に仕方なく同意。ルーシーと潜入捜査を行う。このルーシーは優秀だがグルーがまともに思える程ぶっ飛んだ行動が目立ち、グルーを振り回すが次第に彼女に魅かれていく。確かにグルーの恋人となれば、これぐらいぶっ飛んでた方がいいだろう。

三姉妹のアグネス、マーゴ、イディスが仕事現場に来て、ルーシーに会う。ある意味なさぬ仲になるかもしれないのだが、3人とも懐いてしまう。特に末っ子のアグネスは彼女を気に入ってグルーと付き合うことを願う様になる。世の娘達がこれぐらい理解があれば、シングルファーザーたちは再婚に躊躇せずに済むだろう。そんな中、ピザレストランを経営するエドアルドに出会ったグルーは、彼が怪盗エル・マッチョに似ていると気付く。だが、エドアルドの息子にマーゴは一目ぼれしてグルーは気が気じゃない。月を盗むような怪盗も、世の父親と同じ道をたどる様だ。

妙にお似合いの二人

 

グルーが捜査にかかわっている間、ミニヨン達が次々と誘拐されるが、元々数が多く見分けがつかない事もあって誰も気が付かなかった。そんな中、反悪党同盟は犯人としてカツラ店の店主フロイドを逮捕し、グルーはお役御免となる。またルーシーもオーストラリアに左遷が決まり、二人は分かれ分かれとなり、二人ともすっかり落ち込んでしまう。ルーシーもいつの間にか、グルーを愛し始めていた。

憂さ晴らしにエドアルドの店に出かけたグルーは、彼の不審な行動に密かに尾行すると、実は彼こそPX*41を奪いミニヨン達を誘拐した犯人で、ミニヨンを怪物にして世界征服を企んでいた。そしてネファリオ博士は彼に協力していた。エドアルドに協力を求められるグルー。しかし、彼には愛する娘たちと密かに思いを寄せる女性がいた。とまあ、予想外の出来事はほとんど凝らず、すべてが予定調和の中で進行する本作。グルーも前作の性悪の部分は影を潜め、すっかり良きパパになっている。娘たちを見つめる優しい眼差しや、ルーシーへの思いを絶ち難く苦悶する姿は、とても前作で月を盗むといった、けた外れの犯罪をやってのけた大悪党の面影はない。

普通尖がったキャラを丸くすると、ブーイングの嵐になるところだが、本作ではむしろ大好評だった。それもこれも、本作では不器用なグルーの恋愛を周辺から丹念に描いているからだろう。それにお相手のルーシーも、このシリーズのファンなら誰もが応援したくなるような、グルーとお似合いキャラなのも大きい。

前作に比べるとこじんまりとまとまった印象だが、それでもそれぞれんキャラクターが魅力があって活躍の場が用意され、そして最後は誰もが望む形でほっこりと終る。ただ、一つだけ残念だったのは、グルーの声を演じた笑福亭鶴瓶。実は前作は字幕版で見たので分からなかったが、割と好評だったということで今回は吹き替え版を見たが、鶴瓶の関西弁と本作はあまり会っていないし、演技がうまいとも思えない。見ていると、グルーが鶴瓶に見えてしまい、これは声優としては落第。エドアルドの中井貴一は文句なしだし、ルーシーの中島美香、アグネスの芦田愛菜などは大健闘だったが、鶴瓶だけ浮いていると感じる。おかげで次の「怪盗グルーのミニオン大脱走」からまた字幕版に戻したが、この手のアニメは字幕版の上映が少ないので、見るのに苦労する事になった。次の「怪盗グルーのミニオン超変身」でもキャストは変わらないようなので、またも少ないスクリーンから見る事になりそうだ。