タイトル 名探偵コナン vs. 怪盗キッド

公開年

2024年

構成

宮下隼一

脚本

宮下隼一

声優

高山みなみ

制作国

日本

 

本作は、人気アニメ「名探偵コナン」のテレビシリーズを特別編集したもの。第27作目の劇場版「100万ドルの五稜星」の公開に先駆け、本編でメインを務める怪盗キッドがテレビシリーズに登場した回をまとめたもので、例年公開されている劇場版の前夜祭的な映画となっている。

今回のオープニングは快斗。もっとも中の人は新一として毎回登場しているが

 

ざっくりとした粗筋を挙げると、江古田高校2年生の黒羽快斗はある日、世界的マジシャンだった父・黒羽盗一が実は世間をにぎわせていた「怪盗キッド」であったこと、そして父が謎の組織に殺害されたことを知る。盗一が遺した衣装を身にまとい2代目怪盗キッドとなった快斗は、盗一が追っていた「伝説のビッグジュエル」と謎の組織の正体に迫っていく。だがその前に、江戸川コナンと名乗る小学生が立ちはだかる。最初は舐めていたが、鋭い推理でキッドをことごとく邪魔をするその少年に興味を持ったキッドは、彼が行方不明となっている高校生探偵の工藤新一であることを知る。二人の知力を尽くした戦いの幕が切って落とされる。と言ったところ。

世界観が違うからと紅子はコナンに登場させなかったが、本作ではがっつりと登場

 

本作で使われたテレビ版のエピソードは

①   キッドが初めて「名探偵コナン」に登場した「コナン vs. 怪盗キッド」

②   工藤新一との初めての邂逅を描いた「集められた名探偵!工藤新一 vs. 怪盗キッド」の前半部分「時計台編」

③   後にキッドの宿敵となる鈴木次郎吉が初登場した「怪盗キッドの脅威空中歩行」

④   初代怪盗キッドの黒羽盗一も登場する、新一と盗一の出会いを描いた「工藤新一少年の冒険」

以上の4本をベースに約80分に再編集している。前作の「灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜」が、テレビシリーズの第701話から第704話「漆黒の特急」をほぼ無編集で公開したのに対して、本作はかなり端折っているうえに、上映時間が10分も短い。その分サクサク見る事が出来るが、劇場版のキッド登場作品はカットされている。個人的には「世紀末の魔術師」のラストで、コナンがキッドに借りを作る事で、奇妙な友情が芽生えるシーンは入れて欲しかったが、構成がややこしくなると判断したのだろう。

本作は前に劇場で見ていたが、その際は特に印象に残らなかったので感想は書かなかったが、「100万ドルの五稜星」を見た後だと、かなり印象が異なってしまい、改めでU-NEXT(Amazonプライムでもやっているので、そちらでも構わないが)で見直したら、かなり巧妙に作られた伏線が貼られていた事に気が付いた。特にラストシーンは、それぞれの親への単純なオマージュから、全く別の意味を持つことになった。最初は、平次と和葉も登場する「奪われた唇」が入っていない事が不満だったが、今では入れない方が良かったと思う。それに、テレビで再放送していたから問題ないし…。

冒頭の「コナン vs. 怪盗キッド」は二人の初対決(実際にはその前に出会っているが、互いを意識しての対決では初めて)を描いているが、二人の出会いの部分だけで内容はバッサリカットされている。この時コナンはキッドに殺意すら感じる程敵意むき出しで、その後の「好敵手」という感じではないからかもしれない。なお、このシーンではキャラクターは新しく描き直されているのが驚き。他に描き直されたのはラストで、あの有名な工藤優作と初代怪盗キッドの?と!を使ったやり取りを、コナンと2代目キッドが行っている。公開当時は単なるサービスと思われたが、「100万ドルの五稜星」を見た後だと、違った思いを抱きより深みが増す名シーンとなっている。むしろ本作は、「100万ドルの五稜星」の後で見るべきかもしれない。確認しただけでU-NEXTとAmazonプライムで配信されているので、ぜひともお勧めする。

むっちゃ盛り上がるラスト!