タイトル ゴーストバスターズ フローズン・サマー

公開年

2024年

監督

ギル・キーナン

脚本

ギル・キーナン ジェイソン・ライトマン

主演

ポール・ラッド

制作国

アメリカ

 

本作は、1980年代に世界的ブームを巻き起こした映画「ゴーストバスターズ」シリーズの第5作。ただし、2016年の「ゴーストバスターズ」はリブート版なので、続き物としては4作目となり、2021年に製作された「ゴーストバスターズ アフターライフ」の続編という立ち位置になる。前作がハロルド・ライミスを”出演”させ、またオリジナルメンバー総出演という、一種のお祭り映画としたことから大ヒットした事から、相当プレッシャーがかかったと思われる。

 

ゲイリーとキャリーは恋人というのが公式。だからこの4人は疑似家族となる

 

映画の冒頭は1905年真夏のニューヨークで起きた、奇妙な集団凍死事件が描かれる。そしてその場に球形の奇妙なアイテムが残されていた。

舞台は現代のニューヨークに飛ぶ。スペングラー家はニューヨークに移住。新生ゴーストバスターズとして日々ゴースト退治に精を出す日々。そんな中、初代の「ゴーストバスターズ」以来の天敵、ペック市長から町を壊す事や未成年のフィービーがいる事で解散をちら付かせる。その為成人するまで、フィービーは自宅待機となってしまう。第1作以来のベックが、今度は市長となって登場。演じているウィリアム・アザートンはこうした憎まれ役がぴったり。もっともそれが原因で、街中で因縁をつけられることも多いとか。

こうしたキャラが一人いると、映画が引き締まるというもの

 

そんなある日ナディームによってスタンツ博士が経営するオカルト鑑定店へ祖母の遺品という球形のアイテムが持ち込まれるが、それは冒頭に登場したものと同じ。

スペングラー家は、ゴースト研究所の調査チームと共同で調査した結果、その正体は世界を一瞬で凍らせる史上最強ゴースト“ガラッカ”を封印する”ゴーストオーブ”であることを突き止める。そして持ち込んだナディームこそ、かつてガラッカを封印したとされる伝説のゴーストバスター・ファイアマスターの末裔であることも。

その頃、外されて不貞腐れるフィービーはメロディというゴーストと仲良くなるが、彼女は実は“ガラッカ“の手下で、彼を解放させる事と引き換えに、メロディを”成仏“させて家族に会わせる取引をしていた。その為、一家の弱点のフィービーに近づいたのだ。

フィービーを騙したメロディは”ガラッカ“を解き放つ。

“ガラッカ”により氷に閉ざされるニューヨーク。人々が海水浴を楽しむビーチにも、突如として巨大な氷柱が大量出現!悲鳴を上げながら逃げ惑う人々。“ガラッカ”の次の目的は、ゴーストバスターズの初代基地の旧消防署。そこにはゴーストの保管庫があり、ゴーストたちを解放しようと企てていた。未曽有の危機を迎える中、スペングラー家はかつてのゴーストバスターズたちと協力して、“ガラッカ”を迎え撃とうと準備を整える。そこには、ファイアマスターとして覚醒したナディームの姿もあった。

角がついていなかったら、かなりマヌケな風貌。ゴーストもバエを気にする今日?

 

本作では冒頭のゴーストドラゴン捕獲では、少々連携が取れずにおっかなびっくりな様子。これもゲイリーが新たに家族に加わる着くギクシャクしている様子が上手く描かれている。そしてキャリーはゴーストバスターズの為に娘のフィービーを仕事から外し、母娘の関係もぎくしゃくする。

本作の中盤は、そうしたスペングラー一家が家族の絆を取り戻し、さらに深めているさまが中心となる。その為見どころのゴースト退治は冒頭の後は最終決戦までない。その事から不満を感じる人も多いかもしれないが、前作では成り行きでゴーズとバスターズになってしまった一家。特に血縁のないゲイリーが如何にチームワークを育んでいくかを描かないと、今後のシリーズ化は難しくなるので、これはやむを得ない措置と言えるし、その過程はなかなか面白くできていたと思う。

モブと思ったら意外と重要な役だった

 

それと同時に天才科学オタクであるが故、あまり人との付き合いが上手くないフィービーの成長物語でもある。というより本作のメインは、フィービーの成長がメインとなっている。最近のハリウッド映画は、ヒロインが最初から完成していて成長しない事が多い中、やはり未完成の主人公が失敗を通して成長する様は見ていて面白い。演じているマッケナ・グレイスは前作では“かわいい女の子”だったのが、本作では美少女に変貌。すでに大人の魅力を放ち始めている。次回作では美少女から美女に変貌するのは間違いなく、彼女をどう描くかも課題となるだろう。

10代の少女の成長は早い

 

一方旧メンバーをどうするかも重要な課題となる。重要な役として出ずっぱりのダン・エイクロイド以外はほぼゲストと言った感じで、ビル・マーレイも消防署で酒を飲む以外特に印象に残っていない。全員70代を迎えもう派手な動きは難しいだろうし、だからとって省いては興行成績に響くかもしれない、ということでかなり扱いは難しくなる。一応方針として旧メンバーは3作までは出演するらしく、次回作をもって卒業ということになる様だし、今後のシリーズ化を考えればそろそろ新メンバーに移行すべきだと思う。

これは全くの余談だが、日本語吹き替え版だとラストに、「新しい学校のリーダーズ」がカバーしたゴーストバスターズのテーマ曲が流れる。こうした日本語吹き替え版あるあるな余計な演出は個人的に好きではないが、それでもエンドロールで使われる分は苦笑しながらも見る事が出来る。しかしその後で、更に彼女らのPVが流れるのは勘弁してほしい。