タイトル スクリーム4 ネクスト・ジェネレーション

公開年

2011年

監督

ウェス・クレイブン

脚本

ケビン・ウィリアムソン アーレン・クルーガー

主演

ネーヴ・キャンベル

制作国

アメリカ

 

本作は、世界的大ヒットとなった「スクリーム・シリーズ」の第4作。どれだけ面白い人気シリーズとは言え、回を重ねると次第とマンネリとなっていくのは仕方のないこと。特にこのシリーズは前作「スクリーム3」で一応完結しているので、10年の間隔をあけて復活させるには、何か新機軸を打ち出す必要があるのは当然だが、見たところあまりそれを感じる事はなく、良くも悪くもこれまでのシリーズのパターンを踏襲している。特に脚本に、シリーズ1と2を担当したケビン・ウィリアムソンが復帰している事もあり、ある意味原点回帰の姿勢がみられるが、それがあまりうまくいってない様に感じる。

年月を経てもあまり変わらないネーヴ・キャンベル

 

本作の冒頭、お約束の若い女性惨殺シーンで始まる本作だが、今回はちょっと趣向を変えて、「スタブ6」を鑑賞する「スタブ7」を鑑賞する人と言う形にしている。このシリーズでは、ここで真っ先に殺される若い女性が、若手人気俳優が演じるのがお約束だが、本作でもルーシー・ヘイル(TVドラマ「プリティ・リトル・ライアーズ」)、シェネイ・グライムス(TVドラマ「新ビバリーヒルズ青春白書」)、アンナ・パキン(TVドラマ「トゥルーブラッド」)、クリスティン・ベル(TVドラマ「ヴェロニカ・マーズ」)と、そのままのキャストで本作を作った方が良くないか、と思う程豪華。

その後、作家として成功して故郷にシドニーが凱旋する。一方で「スタブ」シリーズの原作を書いたゲイルはスランプで、結婚した保安官に復帰したデューイとの仲もしっくりいっていない様子。ちなみに私生活でもこの二人は結婚しているが、本作公開後の2013年に離婚しているから洒落にならない。

サイン会の会場に殺された女子高生の携帯が、この会場にある事からデューイらが駆けつけてくるが、携帯はシドニーが借りていたレンタカーのトランクに入っていた。それは犯人からの挑戦状だった。

その後彼女の周辺にいる人が次々と襲われ、シドニー自身も怪我をする。しかし本作のシドニーはちょっと煮え切らない。一応身近な人には気を使うが、犯人を捜そうとはしない。その分、スランプ脱出を図るゲイルの方が積極的。そしてデューイは全く役立たずなのもシリーズお約束。今回は、デューイの部下としてジュディが登場するが、高校時代にシドニーと同じ演劇部にいたのに、シドニーは覚えていない。この辺から彼女は犯人候補になるが、ちょっとあからさま過ぎる。

全然怖くなく、中の人がころころ変わるスラッシャーヒーロー

 

シドニーの従妹ジルが行方不明となったあたりで、ようやくシドニーにエンジンがかかる。しかしジルはその頃、友達とホラー映画鑑賞会の真っ最中で特に危険な目に合っていない。この辺りでシリーズのファンなら警報が鳴るはず。そしてそこに、ゴーストフェイスが出現する。と言うのが大まかな粗筋。いつも思うのだが本作に登場するゴーストフェイスは生身の人間で、特に異常にタフという事もないから、手にバットや刃物をもって立ち向かえば何とかなり様な気がするのだが、本作でも被害者達は反撃でひっくり返ったゴーストフェイスにとどめを刺すようなことはしていない。それをしたら、映画は終わってしまうが。

本作ではオリジナルキャストのネーヴ・キャンベル、デヴィッド・アークエット、コートニー・コックスの3人が出演している。そして物語はこの3人を軸に進み、新キャラはゲスト扱いとなる。長いスパンが開いている場合、当然俳優の高齢化も進むわけで、それを防ぐためにシリーズに新キャラを加えて代替わりを画策するのが筋だが、本作ではそうはなっていない。ファンがこの3人を望んでいるという事もあるだろうが、どうも中途半端な印象を抱いてしまう。

世代交代をする気が無いのに、なぜ新作を作ったのか疑問だが、恐らく同窓会的なノリだったのではないだろうか。いっそキャストを一新して、新シリーズとしてやるべきだったと思う。本作の10年後に、再び「スクリーム」が作られるが、本作の直接の続編でオリジナルキャストの3人が出演している。この辺の割り切れなさが、本作を見る時のもどかしさに繋がっている様に感じる。

このシリーズにおける犯行動機は、もう最初からあって無いようなものなので、この際どうでもいいのだが、本作はその中でも一番ゆるい動機。最初に見た時「もっと他になかったのか?」と思ったほど。

ただ、格別酷い映画とも言い切れないのが難しいところで、本作もシリーズをずっと見続けているファンにとっては、期待に沿う内容になっているはず。本作の弱点であるオリジナルキャスト頼りのところも、シリーズのファンからすれば、没入ポイントになるはずだ。それにホラー映画のセオリーをネタにしているところも変わらず、この辺りもホラー映画ファンにとっては楽しみなところ。正直あまり怖さはなく、かといってギャグにもぶれていない、微妙なバランスを保っているのがこのシリーズの良いところで、本作もしっかりとそれを踏襲している。