タイトル レディドール/青い欲望

公開年

1974年

監督

ルイジ・コメンチーニ

脚本

ルイジ・コメンチーニ

主演

ラウラ・アントネッリ

制作国

イタリア

 

本作は、当時「青い体験」で世界的な人気を博したイタリアのラウラ・アントネッリ主演で制作された、エロティク・コメディ映画だ。

日本では劇場未公開。そのせいか媒体によってタイトルがころころ変わり、テレビ東京で放送された時はそのままのタイトルだったが、VHS発売時のタイトルは「続・禁断のインモラル/悦楽に身を焦がす女たち」と、まるで「禁断のインモラル/魔性に彩られた処女喪失の館」の続編の様なタイトルだがラウラが主演しているのを除くと、共通点はないばかりか、「禁断のインモラル/魔性に彩られた処女喪失の館」は82年公開と、本作の方が先に制作されている。また、WOWOW放送時のタイトルは「ラウラ・アントネッリの青い欲望」となっている。ちなみにU-NEXTで見たときは「続・禁断のインモラル(ラウラ・アントネッリの青い欲望)」と、ヤケクソじみたタイトルになっていた。

新婚初夜、愛する夫と腹違いの兄妹だと判明した若妻が、禁断の愛欲に身を焦がすさまをコメディタッチで描く。どうしてもラウラの肢体が目当てとなるが、コメディアンヌぶりもなかなかの見どころとなっている。とにかく、エロ可愛い。

映画は主人公ユージニアの回想の形式をとっている。13歳の時、シチリアの名士コッラオ・レイモンド侯爵に嫁ぐことになるが、彼女の父親と連絡がつかない事からひと悶着。なんやかんやあって二人は無事式を挙げるが、その夜やることやろうとした時に突然ユージニアの父親から電報が届く。なんと、レイモンドとユージニアは異父兄妹と言うのだ。しかしここは敬虔なカトリックの多いシチリアで離婚は不可能。そこで二人はそのまま暮らすことになる。昔からよくある話だが、これが原因でヘンリー8世はカトリックを離脱してイングランド国教会を作ることになった。とはいえ、“婚姻の無効”と言う裏技を使う手もあるが、それには教会の協力が必要。本作の場合兄妹という事なので、間違いなく認められると思うが、地元の名士ゆえ、体面を気にしたのか、結局馬鹿正直に一つ屋根の下、二人は暮らすことになる。レイモンドは勿論、ユージニアも修道院育ちで禁欲生活を送っていたせいか、性に積極的。初夜では最初{NO!NO!}嫌がっているふりをしたのに、レイモンドが止めると「NO!」と叫んだりと、その辺を本作ではコミカルに描き、それが見どころとなっている。

何かといいよるくせに彼女が処女とわかるとビビる男爵

 

パリへ新婚旅行に行くが、途中で知り合ったサルセ男爵に言い寄られ、心はレイモンド。体はサルセ状態。しかし彼はユージニアが処女だと知ると、急に興味を無くして去ってゆく。その後、レイモンドは政治に、ユージニアは慈善活動に没入するが、夫からつけられた運転手シルヴァーノに欲情してしまい、ついに一線を超えるが、そうなるともう止められない。最初は若く美貌の女主人を独占して大喜びだったシルヴァーノだったが、次第に彼女の求めについていけなくなる。そのうち彼は屋敷の貴重品を盗み逮捕されて、彼女の前から消えてしまう。

ひとりになった彼女だが、追い打ちをかけるように夫はリビアの戦場へ向かってしまう。ちなみにこれは、1911年にイタリアが当時オスマン帝国領だったリビアに侵攻した伊土戦争の事で、この戦いにはイタリアは勝利している。

男が興味を持つのは美女と戦争?

 

戦場から帰ったレイモンドはユージニアとともに流行りの詩に傾倒し、ついに近親相姦の禁忌を犯そうと決意。二人の欲情は炎の如く燃え上がるが、その直前の電話で実は二人に血のつながりはない事が判明。燃え盛る炎は一瞬で消え散ってしまった。やがて欧州を席巻する第1次世界大戦にイタリアは巻き込まれていく。と言うのが大まかな粗筋。

ラウラを世界的にブレイクさせた「青い体験」の翌年公開されているだけに、撮影はほぼ同時進行だったはずだから、この時点では主演女優のブレイクは分からなかったと思われる。それなのに、彼女のエロ可愛い魅力が全開。それと同時に、「青い体験」では暗い表情が多かったが、本作では大げさなまでに表情豊か。彼女の魅力を十分に引き出しているが、どちらかと言えば本作の方がブレイクし易かったように思える程、本作のラウラはキュートだ。

シルヴァーノに犯される時に、服を脱がすのにえらく手間取り途中で「やめた」と言い出して、ここでも「NO!」。その後は自分で服を脱ぐが、それでもえらく時間がかかるところを早回しで撮ったり、エロとコメディの融合もばっちし。それに、レイモンドを通して、第1次世界大戦までのイタリアの歩みを知ることもできる。これを見ると、イタリアでファシスト政権が誕生したのも無理はないかな。

ラウラのエロ可愛さも見どころ

 

それだけにラストはちょっと予定調和すぎる気がするが、収まるところに収まったという解釈も出来るだろう。ただ、彼女のヌードを期待すると、2.3シーン位しかないのでちょっと期待はずれかもしれないが。