タイトル プラネット・テラー in グラインドハウス

公開年

2007年

監督

ロバート・ロドリゲス

脚本

ロバート・ロドリゲス

主演

ローズ・マッゴーワン

制作国

アメリカ

 

かつてアメリカでは、センセーショナルな時事問題やタブーとされる題材をあえて取り上げているエクスプロイテーション映画と呼ばれる低俗な作品があった。それらの映画と低予算のB級映画などを2、3本立てで上映していた映画館を「グラインドハウス」と呼んだ。本作ではそうした「グラインドハウス」の雰囲気そのままに、ロバート・ロドリゲス監督が、凶暴なゾンビ軍団に立ち向かう美女たちの活躍をB級テイストたっぷりに描いたホラー・アクション映画だ。

北米では、本作「プラネット・テラー」は「デス・プルーフ」とともに2本立て映画「グラインドハウス」として公開された。他国ではそれぞれ別に公開されているが、その際北米版ではカットされたシーンを加えている。

本来なら「グラインドハウス」は低予算映画だが、本作は2300万ドルと、結構な予算で作られているのはご愛敬。

なお、「グラインドハウス」には実在しない映画の予告編が数本入っており、その中の「マチェーテ」と「ホーボー・ウィズ・ショットガン」そして「サンクスギビング」の3本は後に長編映画化された。個人的にはロブ・ゾンビによる「ナチ親衛隊の狼女」も作って欲しいのだが。

ブルース・ウィリスがなぜ出演したのか不明

 

映画は、テキサスの田舎町のゴーゴーダンサーのチェリーが店を辞めるというありがちなシーンで始まる。怒りに任せてJ.T.が経営するバーベキュー・レストランに向かうが、途中で武装した軍隊とすれ違いはずみで転んで足を怪我してしまう。足を引きずりながら店にやって来たチェリーは、元恋人の解体屋レイと再会。

その頃、チェリーがすれ違った部隊の隊長マルドゥーンと生物化学の科学者アビーは近郊の今は使われていない軍事基地で何かの取引を行っている。このアビーは裏切り者のキ〇タ〇を切り取リコレクションする悪癖がある事を除くと、本作の登場人物の中では常識人の方。あんなものコレクションする時点で、常識人ではないが。その際、手違いから生物兵器DC2コードネーム「プロジェクト・テラー」のガスが噴き出して町中に拡散する。このガスは、感染者がゾンビと化して人々を襲うという恐るべきもの。何故ガスに感染力があるかは深く突っ込まないように。

いかにも黒幕的な出方だが、最後は結構情けない

 

店を出たチェリーとレイは途中でゾンビに襲われ、チェリーが足を食いちぎられ、病院に収容され、レイも保安官のヘイグに捕まってしまう。ヘイグはJ.T.の弟。ゾンビに噛まれたのにチェリーが感染しない事も突っ込んではいけないポイントだ。

保安官事務所に連行されたレイだったが、そこにゾンビが押し寄せ激しい銃撃戦と化す。レイは鮮やかな拳銃さばきと格闘術でゾンビを倒し、チェリーの病院に向かう。

どうやって引き金ひいているかは突っ込んではいけないところ

 

その頃病院は運び込まれた患者が、次々とゾンビと化す阿鼻叫喚の地獄絵図。サディストの医師ウィリアムはその妻でバイセクシャルの麻酔科医師ダコタの裏切りを疑い、彼女の手に注射針を何度もさして、手を麻痺させてしまう。ちなみにこの二人、いかにもな感じで登場するが、この騒動とは直接関係が無い。ダコタは病院を脱出し、息子のトニーを伴い父親のアールの元に身を寄せようとするが、トニーが銃を暴発させ死亡。更にゾンビと化したウィリアムが襲ってくるが、間一髪でアールに助けられる。ちなみにトニーが助かる別バージョンも撮られていて、エンドロールの後でトニーがチェリーたちと行動している様子がワンカットだけ挿入されている。

本作の女性はほぼビキニ

 

J.T.の店に逃げ込んだ一行だが、そこにゾンビが押し寄せて包囲されてしまう。その中で、チェリーとレイは結ばれるのだが、その直後にフィルムが焼けて「フィルムが1巻焼失した」とのテロップが入り話が飛んでしまうが、勿論これはフェイク。次のカットに入ると、いつの間にかレイとヘイグは仲直りしていて、そればかりかレイの正体すら判明している状態。と言っても「誰?それ?」状態だが一応本作の世界では有名人らしい。

何とかゾンビの包囲を突破してメキシコに向かうが、途中でマルドゥーンの率いる部隊に捕らえられてしまう。そこで、同じように捕らえられているアビーから事件の顛末を聞くが、正直どうでもいいので割愛。アビーは自分の研究所で解毒剤を作ろうと提案。かくして一同は脱出のための戦いを始めるのだった。と言うのが大まかな粗筋で、この基地でチェリーは失った足に自動小銃を取り付け、ポスターの様なビジュアルとなるのだが、どうやって引き金を引いているかは不明。また、チェリーをレイプしようとした変態兵士をクエンティー・タランティーノ監督が演じているが、これが本物かと思うくらいドはまりしていた。

タランティーノのあそこがぐちょぐちょに。あそこは大笑いしてしまった

 

とにかく、下品でお下劣でグロにあふれた怪作。ロバート・ロドリゲスに好き放題作らせたらこうなるという、見本のような映画だ。細け―ことは気にしちゃいけないので、感想も何もないのだが、とにかく頭を空っぽにして見る映画。主演のローズ・マッゴーワンはロバート・ロドリゲスと婚約するが、その後経緯は不明だが解消している。ハリウッドも色々あるな。

ちなみに、似たコンセプトの映画で「片腕マシンガール」があるが、2008年公開で微妙なところ。ただ、本作に関してはどっちが先か?とかどうでもいい。グロくてハチャメチャなアクションが見たい人は必見の映画だ。