タイトル エクスペンダブルズ ニューブラッド

公開年

2023年

監督

スコット・ウォ

脚本

カート・ウィマー タッド・ダガーハート マックス・アダムス

主演

ジェイソン・ステイサム

制作国

アメリカ

 

本作は、シルベスター・スタローンを筆頭にアクションスターが多数集結して話題を集める人気シリーズの第4弾にして、現時点では完結編とされている。もともとは、往年のアクションスター大集合と言った趣旨で作られていたが、さすがに寄る年波に勝てないのか激しいアクションはジェイソン・ステイサムが引き受け、更に若手のアクション俳優たちが脇を固めるようになる。本作だと、トニー・ジャーやイコ・ウワイスがそれに該当する。ただ、基本的には自らを「消耗品」と名乗り、CIAから依頼される数々の難関ミッションを乗り越えてきた最強の傭兵軍団「エクスペンダブルズ」が、困難なミッションに挑む姿が中心となる。

興行成績はチャック・ノリスにブルース・ウェリス、アーノルド・シュワルツェネッガーの夢の共演となった第2作がピークで、それ以降は下降線をたどっていたが、本作は2億1000万ドルだった前作から現時点で5100万ドルと急降下して、違った意味で話題となった。シリーズが回を重ねるとマンネリ化して人気が落ちるのは仕方ないが、それにしても落ち方が半端ない。今回映画を見てみて、その理由はなんとなくだが察する事が出来た。ちなみに私が、映画館でリアルにこのシリーズを見るのは、本作が最初となる。

本作は、バーニーがリーの家を訪ね「大事な指輪を賭けで取られたから取り返したい」と持ち掛けるが、その際リーは恋人ジーナと絶賛喧嘩中。その後、相手がいる酒場で大喧嘩の末に取り戻すことに成功。これは勿論新しい任務にリーを誘うための釣り。とはいえジーナと別れたので、こんな手間をかける必要はなかったのだが。

エクスペンダブルズのアジトに足を運ぶと、CIAのマーシュが待っていて新しい任務を与えるが、俺は長年CIAが追っていた謎のテロリスト・オセロットが傭兵ラフマトに命じて核兵器を奪おうとしているから、その前に核を奪えと言うもの。もし失敗すれば第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだ。そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも加え、エクスペンダブルズがリビアに向かう。

相変わらず脳筋なアクションだけは健在

 

この時点でかなり疑問がある。突っ込み所が多いのはいつもの通りだが、最初の酒場の大喧嘩。これは必要ないし、そもそも非はバーニーにある。相手がいかさまを使ったのならともかく、正当な賭け?で奪われたのを力づくで取り返すというのはバーニーらしくない。また、冒頭で死んだと言われても、信じる者はいないだろう。

またリーの元?恋人ジーナは元CIAのエージェントで、後にエクスペンタブルズを率いる事になるが、それならこの任務に同行させその戦闘能力を見せるべき。彼女のスキルが分からない状態で、隊長に抜擢されても観客としては戸惑うばかりだ。演じているのがミーガン・フォックスだからと言うのは言い訳にならない。

「男まつり」だったのにいつの間にか...

 

現地に着くと、既に核はラフマトに奪われ、敵が待ち受ける中を任務を果たす羽目になるが、あと一歩のところで逃げられ、バーニーが戦死してしまう。この際リーはバーニーを救うため、ラフマトを追うのを辞めた事から、任務失敗の原因を作る。その事から解雇され代わってジーナが突然隊長に就く。更にマーシュエクスペンタブルズたちに同行する。頼もしい事だが、演じているのがアンディ・ガルシアだから、この時点で彼が裏切り者だという事はバレバレ。

一方リーはと言うと、インフルエンサー警護の任に就くが、相手のクズっぷりに切れて逃走し、ジーナにこっそり発信機付きのナイフを忍ばせて後を追う。

ジーナたちは、首尾よくオセロットの船に乗り込み、制圧作戦を行うが情報は筒抜け。全員捕らえられてしまう。また、タイでバーニーの旧友のデーシャと出会い彼の船でオセロットの船を追跡。同乗することに成功するが、船が襲撃を受けた様子はなく、エクスペンタブルズが捕らえられたことを悟り、彼らの救出に向かう。一方、エクスペンタブルズたちも自力で脱出。リーと合流し反撃が始まるが、既に核兵器は起動しておりこの船を米空母に偽装して、ロシア領内で爆発させ第3次世界大戦を起こすのが彼らの狙いであることが判明する。と言うのが大まかな粗筋だが、第3次世界大戦を起こして何お得があるのか疑問。オセロットは最後に「戦争で儲ける者がいるが、それは俺だ」と言うが、まったく理由になっていない。戦争で儲けるには相当な強運が必要だし、核戦争になったら元も子もない。

ドルフ・ラングレンは変わらずお茶目

 

それと本作最大の問題点はラストにあるのは明白。深海とは言え核爆発を起こすのは能天気すぎる。勿論本作がアメリカでこけたのは、それが理由ではなく、シリーズ最大の魅力である「往年のアクションスターたちの同窓会」と言うコンセプトが無くなった(薄まったのではない)事にある。前作までは、いい年こいたガタイのいいおじさんたちがイチャイチャして、それが何とも言えない可愛らしさを醸し出していたが、本作ではスタローンが中盤から後半、全くいなくなったことでステイサムとの丁々発止のやり取りすらなくなってしまった。これは制作の途中でスタローンが降板を表明したことが原因だと思うが、「エクスペンタブルズ」なのに、ステイサム以外のメンバーの活躍が少なすぎて盛り上がりに欠ける。正直ミーガン・フォックスとステイサムのラヴラヴなんて、よそでやれと言いたくなる。

だから、そんな事はよそでやれ!

 

その点で、「エクスペンタブルズ」から離れて、ステイサム主演のアクション映画として見ると結構面白いと思うが、我々がこのシリーズに望んでいるのは、アクションスター達の同窓会なのだ。とはいえ、本作が完結編として作られているので、続編はないだろう。もしあるのなら、真田広之を悪役で出してほしいと願っている。