タイトル キャビン

公開年

2012年

監督

ドリュー・ゴダード

脚本

ドリュー・ゴダード  ジョス・ウィードン

主演

クリステン・コノリー

制作国

アメリカ

 

本作は、アメリカホラー映画のお約束を逆手に取った設定で、ホラー映画ファンばかりでなく広く映画ファンから高い評価を得たホラー・コメディ映画。婦たちの展開を同時進行的に描きながら、最後にそれが一つになるという、ミステリー映画の要素も含んでいる。更に終盤は文字通りの“出血大サービス”で、ホラー映画ファンを狂喜乱舞させ、全米でスマッシュヒットを記録した。ホラー映画のお約束を逆手に取った映画と言えば、「スクリーム・シリーズ」があるが、あちらに比べると知名度はいまいち。その理由は映画を見ればわかると思うが、本作は一部には刺さるが、一般には広がりにくい構成になっていると思う。

いかにもリーマンの通勤風景っぽい

 

映画の冒頭では地下の研究施設らしきところで、ゲイリーとスティーヴの二人がこれから仕事に向かうサラリーマンといった様子で、談笑しながら歩いている。二人ともワイシャツにネクタイといかにも勤め人風。そのままモニターやコンピュータだらけの管制室のようなところに出勤する。

場面は切り替わりヒロイン?のディナの部屋。上はTシャツに下はパンティと、如何にもホラー映画のヒロインの部屋着と言ったセクシーないでたち。今日は+カート、ジュールズ、マーティ、ホールデンの5人で、カートの従妹の小屋で過ごすことにしていた。実はディナは大学教授に失恋していたので、それを励まそうという訳だ。待てよ、という事はディナは…?となるが、この件は最後までスルーされている。ちなみに小屋の持ち主のカートの従妹は最後まで登場せず。

ホラー映画のお約束。怪しいガソリンスタンドの親父

 

途中で怪しいガソリンスタンドで、いかにも怪しげなオヤジから、いかにも死亡フラグ的な事を言われても小屋に向かう一行。「死霊のはらわた」を思わせるボロっちい小屋だが、意外と中は広くて快適。というか、この小屋明らかに広すぎないか?

本作は“管制室”と小屋とが交互に描かれ、“管制室”が小屋の内部とその周辺を管理している事が分かる。

その後、若者たちはホラー映画らしいバカ騒ぎをしているが、それを逐一監視している管制室。そうした中、若者たちは地下室に降りてそこのある様々なアイテムを触りだす。その頃管制室では職員たちが、何を選ぶかで賭けの真っ最中。

地下室ではディナが「アナ・ペイシャンズ・バックナーの日記」とか言う怪しげな代物を発見。彼女はラテン語で書かれた怪しげな呪文を読み上げてしまう。それは「バックラー家のゾンビ」を蘇らせる呪文だった。

この小屋、明らかに見かけより中が広すぎる

 

管制室では賭けの勝ち負けでまたもやひと騒動。その後蘇ったゾンビが次々と若者を襲い、生き残っているのはディナだけ。その都度管制室に地響きが起きる。それを「客が喜んでいるぞ」とノー天気なことを言うゲイリーとスティーヴ。しかしここでアクシデントが発生。死んでいたはずのマーティが生きていてディナを誘って施設の中に侵入、ってこの施設は小屋の真下にあったんかい?てっきり遠くから制御してると思ったぜ。

施設の中には、多くもモンスターたちがエレベーター状の檻に容れられていた。ここで全容が解明。この施設はディナたちのチョイスに応じて怪物が解き放たれるのだ。二人の侵入に気が付いたゲイリーたちは警備班を向かわせる。追いつめられた二人は、怪物たちを解放するのだった。というのが大まかな粗筋。

日本の幽霊退治。多分貞子だろうな

 

いやいや突っ込み所が多すぎて、何処から突っ込んでいいのか分からないぐらい。

一応ルールとして「戦士」「淫乱」「学者」「愚者」処女」の5人の若者が順番に殺され、最後に「処女」が生き残れはOKというらしく、この「処女」は生き残ってもいい。つまり途中で「処女」が死んだら駄目という事らしい。ここはホラー映画のお約束だが、前述の通りディナが処女というのは疑問があるし、マーティは愚者ではない。

この施設は簡単に外部からの侵入を許すなどセキュリティがばがばだし、そもそも上記の通り、管制室と現場を離しておけば問題はなかった。それに、第2次大戦中や、中世、古代などはどうしていたのか?という疑問も残る。それと、これを言うと身も蓋もないが、あの5人を拉致って順番に殺せばよかったんじゃ?と思ってしまうがこの辺りどうなんだろう。

ラストで突然超大物登場。その割に対して影響はない

 

また「スクリーム」のようにそれぞれのキャラが立っていて、ホラーファン以外にもファンを広げたものに比べると、キャラ設定などにあまりにもホラーの定番に拘り過ぎて弱さを感じる。この辺りがスマッシュヒットどまりだった理由だと思う。

但し本作は、突っ込んだもの負け。本作が提示した世界観の中で楽しむのが正しい見方。最後の盛大なスプラッター・カーニバルも含めて、突っ込みを入れながら見るのがいいだろう。

このキャラの元ネタは「ヘルレイザー」のピンヘッドだとか