タイトル スクリーム (1996年)

公開年

1996年

監督

ウェス・クレイヴン

脚本

ケヴィン・ウィリアムソン

主演

ネーヴ・キャンベル

制作国

アメリカ

 

本作は、「エルム街の悪夢」「鮮血の美学」等で知られるホラー映画の鬼才ウェス・クレイヴンが、生み出したスラッシャー・ホラー映画だ。ホラー映画の定番を逆手に取ったブラックコメディ的な演出が受け、1500万ドルの製作費に対して、1億7400万ドルと10倍を超える大ヒットを記録。シリーズ化され4作が制作された後に、更に2022年にさらに1作が撮影され、今でも高い人気を誇っている。

スターオーラが半端ないモブキャラ

 

映画の冒頭で、ケイシー・ベッカーという女子高生にゴーストフェイスが電話をするシーン。ホラー映画の達撮る当てクイズで

「『13日の金曜日』の殺人鬼の名前は?」

「ジェイソンよ!」

「残念。ジェイソンが登場するのは2作目からだ」

と言う、ホラー映画に纏わる定番のクイズを出して、ケイシーをいたぶるが、最初、脚本のケヴィン・ウィリアムソンはこのシーンだけでを一幕ものの芝居として書いて、その後は短編映画として撮影することを考えていたものの、最終的に長編映画の脚本に膨らませることにしたという。そのせいか、ホラー映画の出だしとしては異様に力が入っている。

ここでケイシーを演じているのはドリュー・バリモア。出演者の中で最大のスターで、誰もが彼女がヒロインと思うだけに冒頭であっさり殺されるのはインパクト大。当初、ヒロインのシドニー役のオファーを受けていたが、脚本を読んでこちらを希望した。それについて「ホラー映画はいつもだらだらと、ヒロインが生き残るのがストレスだったから」という事だ。もし、ドリューがシドニーを演じていたら、ネーヴ・キャンベルはブレイクしなかった?ちなみにケイシーは17歳の設定だが、ドリューはこの時21歳。ギリOKかな。

なおこのシーンは、「スクリーム2」の冒頭の劇中劇、「スタブ」の中でも再現されているが、そこでケイシーを演じているのが当時まだ無名だったヘザー・グラハム。何気のこの役はビックネームが演じる事が多い。ちなみに彼女は、同年公開の「ブギーナイツ」で人気が出だすことになる。

ひところドンキでも売ってたな

 

その頃ヒロインで、ケイシーの同級生のシドニーは自室でくつろいでいたら、そこにBFのビリーがやって来る。二人は付き合っているが、いまだに一線を越えていおらず、ビリーにはそれが不満な様子だ。

翌日、事件は小さな町にたちまち広がり、ケイシーが通うウッズボロー高校マスコミが押し寄せちょっとした恐慌状態。その中に、地元局のレポーターのゲイル・ウェザーズがいた。1年前にケイシーの母親が殺される事件が起きていたが、彼女はその事件で独自の推理で母親を貶めるような本を書いていた事から、シドニーと犬猿の仲だ。

その後で、シドニーの自宅に不審な電話が掛かり、その直後にゴーストフェイスがシドニーに襲い掛かるが、恋人のビリーが駆け付け、ゴーストフェイスは姿を消した。一安心だったが、ビリーは携帯電話を持っていたことで警察から容疑者として疑われ拘留されるが、親友のテイタムの家に身を寄せていたシドニーに犯人から再度電話が掛かってきたことから容疑は晴れるのだった。

だいたいこうして容疑が晴れた奴は...と言うのがミステリーのお約束。

その後、警察によって夜間外出禁止令が敷かれ、ウッズボロー高校は休校となる。人気のない学校で、残っていた校長が殺害されてしまった。警察は、出張に出掛けたまま行方不明となっていたシドニーの父親ニールを疑っていた。

その夜、テイタムの恋人のスチュアートの家でクラスメートが集まって、憂さ晴らしのパーティをしようという事になり、シドニーも招かれる。そこでビリーと再会したシドニーは、疑った事を詫びで彼と結ばれるのだった。その会場にレポーターのゲイルが、テイタムの兄デューイの紹介でやってきて、ひそかに隠しカメラを仕込むことに成功する。デューイは彼女のファンだったのだ。その時校長が殺されたニュースが会場に届き、それを見に若者たちはこぞって出かけ、スチュアートの家はすっかり人がいなくなってしまう。そんな時に、シドニーの前にゴーストフェイスが現れ、ビリーが彼女をかばって刺されてしまう。と言うのが大まかな粗筋。

続編以降いい感じに描かれるが、その後本当に結婚。しかし分かれちゃったけど

 

本作の魅力は、ホラー映画のお約束を逆手に取った演出。

➀:アルコールやドラッグに溺れると殺される。

②:セックスをしてはいけない。処女は助かる。

③:「すぐ戻る」と言って部屋を出て帰った者はいない。

 

と言ったもので、それをそのまま使わずに、色々とひねって使っているのが特徴。普通ならヒロインと共に最後まで生き残るはずの、ヒロインの恋人が…と言うのもかなりの変化球だ。この辺ホラー映画マニアの心理がよくわかっている。

そしてネーヴ・キャンベルを始めフレッシュな若手スターの演技も見どころ。ネーヴのどこにでもいそうでいて、それでいて美人と言う絶妙のルックスも、本作を盛り上げる重要な要素と言える。

「これは私の映画よ!」

 

また犯人の方も、ジェイソンやブギーマンと違い、被害者からの攻撃が効くようになっているのもいいところ。不死身のスラッシャー・ヒーローが相手となると、どうしてもギャク化してしまうが、一方で観客をしらけさせる可能性もあるので、これは大きなかけだったと思うが、それを意外な方法で解決している。とはいえ終盤は完全にギャグだが。もっともこのシーン、「スクリーム4」でも、エグイ形で再現している。

70~80年代まで隆盛を極めた、スラッシャーものだが80年代後半辺りから失速しはじめ、本作公開時には完全に下火となっていたが、本作や翌年公開された「ラストサマー」で、人気が復活することになり今にい当たるまで、数多くのB級ホラーが作られるきっかけとなった映画と言える。サクッと、気楽に見る事が出来るので、未見お方は配信などで見かけたら挑戦されてはどうだろうか。

終盤のこの二人、アホすぎる。終わってからやれよ!