タイトル ラスト・デイズ・オン・マーズ

公開年

2013年

監督

ルアイリ・ロビンソン

主演

リーヴ・シュレイバー

制作国

イギリス・アイルランド

 

イギリスのSE作家シドニー・J・バウンズ(英語版)の短編小説「The Animators」を原作とした作品で、2036年の火星を舞台に、未知の生命体を調べていた探査隊が見舞われる恐怖を描く。ちなみにルアリー・ロビンソンは実写版「AKIRA」の監督のオファーを断ってまで本作の監督を選んだという。

タイトルを直訳すると「火星最後の日々」となり、勝手にマッド・デイモン主演の「オデッセイ」や「月に囚われた男」的な映画を想像したら、これが全然違った。それも悪い意味で。

実際に見てみると、「遊星からの物体X」に「バイオハザード」を足したような仕上がりで、かなり拍子抜けすることに。

全人類から選ばれたとは思えぬほど、ぐうたらなメンバーたち

 

火星での半年の長きにわたる調査も終わりを迎え、特に成果はなかったものの19時間後には帰還できるという最後の日。二人の隊員が調査に出た。二人は火星に微生物の痕跡を発見し、それを独り占めにしようと調査に出かけたのだ。その事に気付いた一同に、一人が地面が陥没した穴に落ち命を落としたとの報告が入る。基地の隊長がその場に行くと地面が大きく陥没、落ちた一人の姿は見えずもう一人は茫然自失状態。現場に一人を残して隊長は引き上げるための機材を取りに基地へ戻る。

ここで疑問に思ったのは、どうすれば手柄を独り占めにできるかという事。地球に帰還するまで秘密にできたにせよ、発表を一人でやっても抜け駆けとして批判されるだろうし、このプロジェクトを進めている組織から、訴えられるのではないだろうか?なんにせよ、彼の頭上だけに栄光は輝かないだろう。

本作最大の爆笑ポイント

 

基地から他の隊員を引き連れてきた隊長が現地に戻ると、残していた隊員がいなくなっていた。ヴィンセントが穴に降りるとそのに隊員の姿はなく、彼は過去の体験のフラッシュバックを起こしパニックに陥ってしまう。

いつも思うのだが、こうした大プロジェクトに必ず、何らかのトラウマを抱えている人物が選ばれるのは何故だろう?メンバーは厳選されるから、こうした問題のある人物は、刎ねられるはずだと思うのだが。それと基地の壁面に溝田産業と大きく書かれていたが、スポンサーなのか機材を作った会社なのか不明だが、ちょっと笑ってしまった。

そのうち火星にサメが出没する事だろう

 

その頃基地では、接近する二人の人影を見つけた。中に入れると彼らは異様な風体に変貌していて、他の隊員たちを襲い始める。そこに戻って来た隊長が彼らに襲われ、殺されてしまう。ようやく逃れた生存者たちだったか死んだはずの隊長が動き始める。この火星の微生物に感染すると死に至らしめるが、それとともに死体を操り宿主を増やすのだ。

研究施設だから武器が無いのは分かるが、照明弾とか精神に異常をきたしたものを、押さえつけるための麻酔銃的なものすらないというのは、地球から遠く離れた火星の基地としてはどうなのだろうか。隊長は覇気がなく頼りにならないし、他の隊員たちも個性が強すぎて協調性のない者が多い。いつもの事だが、膨大な予算をつぎ込んだプロジェクトにしては、人選が雑過ぎる。それに主人公の閉所恐怖症的なトラウマも、発動したのは一度きり。そもそもそんなトラウマを抱えている者が、地球から加勢までの長い航海ができるのだろうか?

それからなんやかんやあって、本部から救助船がやって来るが、ゾンビどもが皆殺しにして一人だけ船に乗り込んでいる奴と対峙するヴィンセント。果たしてヴィンセントは助かるのだろうか。と言うもの。

交代要員を運んでくるオーロラという宇宙船が、火星に接近中だから、最後に出てきた宇宙船そのオーロラだったのか。本部へ連絡するのに、返事が15分かかると言っていたので本部まで1億3500万キロとなり、どうやら地球と直接交信しているようなので、さっきの救助船はオーロラ号で、この近くには他に船はないらしい。少なくとも5.6人は乗っているはずだが、地球から火星まで恐らく数カ月の旅をする割に、居住設備もなく小さく感じたが。本作はこうした設定や距離、位置関係が分かりづらい。それに火星まで来て「ゾンビかよ」となってしまう。出来は悪くないが、中途半端な印象。ネタはB級なのに、もう少し高みを目指したけど失敗した感がある。ジョン・カーペンターの「ゴースト・オブ・マーズ」の様に割り切って作れば面白くなったと思うのだが。