タイトル スラムドッグス

公開年

2023年

監督

ジョシュ・グリーンバウム

脚本

ダン・ペロー

主演

ウィル・フォーテ

制作国

アメリカ

 

本作は捨てられた犬が飼い主に復讐を企てる姿を描いたコメディ映画。原題の「Strays」の意味は“はぐれ者“と、ストレート。

かつては「動物物は堅い」と言われていたが、製作費4600万ドルに対して興行成績は北米で2200万ドルと盛大な爆死を遂げた。勿論、興行成績が振るわないからと言って映画がつまらないとは限らない。本作も映画自体はとても面白く、終盤は笑いっぱなしだった。それと同時に、本作の興行が締まらなかった理由も、なんとなくだが察する事が出来た。

清々しいまでのクズ野郎のダグ。これならどんな目にあっても同情できない

 

ボーダー・テリア犬のレジーは、飼い主のダグと二人暮らし。ある日、ダグに家からくるまで3時間もかかる遠い場所に捨てられてしまった。しかしお人よし(お犬よし?)で、ピュアなレジーは、これも遊びだと信じて疑わず、家を目指してさまよっていた。これまで何度か同じ経験があったが、その時は無事に帰れたのだ。

そんな時に、野良犬のバグと出会い、自分が捨てられたということを知らさた。最初は容易に信じようとしなかったが、他の犬ハンターとマギーからも指摘され、やっとダグが最低のクソ野郎だということに気づいたレジーはダグの「オチンポ様を食いちぎる」という復讐を決意する。4匹の犬は車の中から見た景色を頼りにダグの家を目指し旅にでる。

途中様々な出来事があり、あわや殺処分されそうになりながらも、4匹は機転と持ち前のバイタリティで乗り切り、一歩一歩とダグの家に迫るが、途中でレジーはやはりダグの事が忘れられず、復讐の事を忘れダグともう一度暮らしたいと言い出したことから、4匹は決裂しレジーだけがダグの家を目指すことになる。というのが大まかな粗筋。

とにかく冒頭からお下劣な下ネタ満載で、キャラ達がFワードを連呼する上に、ウ〇チネタまで堂々と披露する展開に驚かされた。最後のダグへの復讐シーンなんて、男としてはちょっと見ていられず思わず〇〇を押えてしまった。

以上の事から本作はPG-12指定となったが、それは制作側も予期していたはず。むしろ良くPG-12で済んだものだと感心したぐらいだ。こうしたお下品ネタはアメリカのコメディ映画によくあるが、本作ではそれにプラスしてグロいシーンもある。中盤で、毒キノコ?でラリってしまい、ウサギのぬいぐるみで遊んでいたら、覚醒するとそれは本物でウサギたちを惨殺していたというシーン。それまで笑っていたが、さすがのこのシーンでは引いてしまった。

駄目だ!それに手を出しては駄目だ!

 

そんな事からとても子供には見せられない映画なので、どうしても対象は大人となるが、いい年こいた大人が、動物映画を見るというのも結構ハードル高いし、カップルで見るには全く向かない。恐らく爆死したのはそうした理由じゃないかと推測している。

だからと言ってつまらない事はなく、ものすごくおもしろかった。最初は「ダグが悪いんじゃない。僕が悪いんだ」と言っていたレジーが、真相を知りダグへの復讐を考えるが、それでも途中からやはりダグの事が忘れられなくなるところなどは、虐待を受けた子供が、「親は悪くなくて自分が悪い」と思ってしまうのと酷似している。それだけに最後の復讐は爽快そのもの。その後でみんな、自分の道を進みだすラストもダグのその後も含めて、とても後味がいい。

何をしているかは言わぬが花

 

主人公のレジーの声はお笑いコンビ、ロバートの秋山竜次。真面目に取り組んでいる事は分かるが、可もなく不可もなくといった感じで、特に惹かれる要素もない。ヒロイン?マギーの声は、これもタレントでモデルのマギー。Fワード連発のお下劣なセリフもそつなくこなしているが、こちらも可もなく不可もなくといったところ。二人ともプロの声優がやっていたら、アドリブを効かせて軽妙にやっていたのだろうが、真面目にやり過ぎたきらいはある。とはいえ、聴いていて不快になるほど悪いわけでなく一応許容範囲と言ったところ。

子連れやカップルで見に行くには全く向かないし、下ネタやお下劣ネタが苦手な人にもお勧めできないが、ストレスがたまる仕事の後などに、ちょっと見ているのは向いていると思う。時間も90分程度と丁度いいので、ぜひともお勧めする。