タイトル アナベル 死霊館の人形

公開年

2014年

監督

ジョン・R・レオネッティ

脚本

ゲイリー・ドーベルマン サンライズ・ダンゴ

主演

アナベル・ウォーリス

制作国

アメリカ

 

本作は、2013年に全米で大ヒットを記録したホラー映画「死霊館」に登場する実在の人形、アナベルがもたらす恐怖を描いたホラー映画。「死霊館ユニバース」のスピンオフとして作られたが、アナベル人形の不気味な造形と相まって大人気となり、650万ドルの製作費に対して、2億4400万ドルもの興行収入を上げる大ヒット。現時点でその後2本の続編が作られた。ただし、現物のアナベル人形は映画のような不気味なものではなく、かわいらしい普通の人形だ。「死霊館・シリーズ」のウォーレン夫妻によると、1970年に人形が渡された看護学生による話として、人形には「アナベル」という名の亡くなった少女の精神が住み着いていることを学生に伝えたと述べている。ウォーレン夫妻は、人形が悪魔に憑依されていると確信し、彼らの博物館に移したと述べたとされる。この顛末は「死霊館」や本作の冒頭に描かれている。この人形の由来に関して詳しく分からず、従って本作はアナベル人形を使った創作となる。

本作の冒頭、前述の通り「死霊館」の若い女性2人と男性1人がエドとロレイン・ウォーレン夫妻にアナベルという呪われた人形についての体験談を語るオープニンで始まる。

その後、出産を控えたジョンとミアのフォーム夫妻が教会に通うシーンとなる。ここで登場するペレズ神父は「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」にも登場することになる人物。敬虔で善良な神父だが、あまり役に立たない。

ある日ジョンは人形が好きなミアが探していたアンティーク人形を見つけてプレゼントする。それがアナベル人形。

その日の夜、ミアはお隣のヒギンズ家から物音を耳にし、ジョンが向かうがその直後ミアも女と男に襲われ腹を刺されてしまう。ジョンと警察が駆けつけ男を殺害するが、女は自殺を図っていた。その後、女はヒギンズ家の娘で悪魔崇拝にかかわっていたことがわかる。

ミアは一命をとりとめ元気な女の子を生む。引っ越した一家だったが、そこには捨てたはずのアナベル人形が出てきた。私ならこの時点で、人形供養をやっているお寺に持っていくがアメリカではこの手の習慣がないのか、ミアはそのままにした。

劇中ミアは「まあ素敵」と喜ぶが、その美意識おかしくないか?

 

それから様々な怪異に襲われる一家。そんな中、ミアは書店で出会ったエブリンに紹介された本から、怪奇現象はリアの魂を奪うため悪魔が起こしている事を確信した。

ジョンとミアは教会のペレズ神父を呼び、人形を教会へ持っていってもらう。しかし、悪魔は神父を襲い人形は消えてしまうのだ。神父は一命をとりとめたものの、入院を余儀なくされる。その病床で神父は今夜悪魔は赤ん坊の魂を奪いに来ると警告するのだった。というのが、大まかな粗筋。

映画の中でのアナベル人形は不気味な造形だが、これ自体意思はないただの人形に過ぎない。ただ、悪霊を呼び寄せやすく、その媒体になりやすいという事。だから、某チャッキーのように「ボク、チャッキー。遊ぼうよ」と喋ったりはしない。ただ、怪異が発生したとき必ずその近くにいて、意味ありげに不気味に佇んでいたりするだけ。その無為の姿勢からくる不気味さがアナベルの人気につながったといえると思う。アナベルが、急に走って追いかけてきたら興ざめだろう。

このシリーズの魅力が家族を描いている事だが、本作でも家族の絆、特に子を想う母の気持ちを前面に出すことで、観客が共感しやすくなっている。ミアだけでなくエブリンの決断もまた子を想う母の気持ちに寄り添っている。それだけに、見終わった観客の涙を誘うのだ。

なお、映画では人形は不気味な造形で、とても子供が「うわあ~かわいい~」等と叫んで駆け寄るようなものではないが、実際のアナベル人形はごく普通のかわいい人形。もともとは「ラガディ・アン」人形と呼ばれているもので、「大量生産」された1つ。作家・イラストレーターのジョニー・グルエルが書いた絵本のシリーズに登場するキャラクターを人形化したもので現在に至るまで根強い人気がある。したがってアナベル人形誕生秘話を描いた「アナベル 死霊人形の誕生」は、全くのフィクションとなる。またオリジナルのアン人形も「アナベル 死霊博物館」で開始51分ごろ一瞬だけ出演している。言うまでもないが、本物ではなく同一規格の別物だが。

余談だが、同じキャラクターを主人公にした「アンとアンディーの大冒険」というアニメ映画が1977年に制作されているが、当然ながらホラー要素は全くない。

本物のアナベル人形。これを使っていたら人気でなかっただろうな

「アナベル 死霊博物館」のワンシーン

「アン&アンディ」

一応YouTubeで見ることは出来るが当然英語。語学に自信のある方どうぞ

 

アンとアンディの大冒険。冒頭のラストだけ実写となっている。