U.M.A レイク・プラシッド(1999年) 監督 スティーヴ・マイナー 主演 ブリジット・フォンダ ビル・プルマン

メイン州の湖で、ダイバーが謎の生物によって下半身を食いちぎられる事件が起こった。遺体には、爬虫類のそれに酷似した巨大な歯が付着していた。
調査のため現地を訪れた古生物学者ケリー・スコットは、調査から”U.M.A.”(未確認静物)ではないかと思い始める。狩猟監視官ジャック・ウェルズ。更に地元の保安官ハンク、ワニ好きの大富豪ヘクターらと調査を続けるうちに、ここ数年間で、多くの人間が行方不明になっていたことなど、様々な恐るべき真実が明らかになる。やがて、湖を調査していた保安官助手が何者かに首を噛み切られると、彼らは目の前にしている生物が”U.M.A.”であるのを確信するのだった…。そして彼らの前に、巨大なワニが姿を現す。

「13日の金曜日」シリーズのPART1のプロデュース、PART2・PART3の監督で知られるスティーヴ・マイナーが監督したアニマル・パニック映画。マイナーはホラー映画ばかりか、コメディも手掛けているため、本作でも程よい感じでホラーとコメディの要素が合わさっている。なお、邦題は”U.M.A.”とされているが、実際に登場するのは巨大ワニであり、未確認生物は一切登場しない。所謂邦題詐欺と言うやつか。
劇中で登場する巨大ワニは「ターミネータ」シリーズのSFXスタッフとして知られるスタン・ウィンストンが製作し、CGとアニマトロニクスを駆使して撮影されているので、なかなか出来がいい。また、中盤でクマも登場するが、このクマは本物を使っている。
主演のブリジット・フォンダは、祖父がヘンリー・フォンダ。父がピーター・フォンダ。叔母がジェーン・フォンダのそうそうたる芸能一家。その割にいまいちブレイクしきれなかった感があるが、本作では本来は古生物学者なのに、彼氏だった上司別の研究員に乗り換えられ、追い出されるかのようにド田舎へU.M.A調査に、「UMAも古生物みたいなものだろう」的なノリでその”歯”を調べに行くよう命じられ、現場で悪戦苦闘するというどころを、楽しげに演じていて久々に当たり役となっている。狩猟監視官のケリーを演じる「インディペンデンスデイ」で戦う大統領を演じたビル・ブルマンが、典型的なアメリカ片田舎のいい奴だけに、何度も水に落とされ、生首とぶつかりし、水中で巨大ワニと格闘を演じるなどの大活躍を見せる、ブリジット・フォンダの体を張った演技は見もの。他に地元保安官を演じるブレンダン・グリーソンと、颯爽と水上ヘリで乗り付ける何故かワニ好きの大富豪を演じたオリヴァー・プラットのやり取りも楽しい。しかしやはりベティ・ホワイトが演じた巨大ワニを飼っている、騒ぎの元凶のビッカーマン夫人に尽きる。水辺に目隠しをした牛を引き出し、巨大ワニに「食べなさい!」と叫んで襲わせるなど、インパクトは絶大。この時ワニがお預けを食らっている犬の様だったのは笑った。
それなりに人が死んでいるのに全体的に緩い作りで、最後は何となくほっこりしてしまう妙な映画。大きな破綻も見せないし、演技力がある人が出ているだけに、ぶっちゃけた雰囲気がない。それだけにタイトルにつられたZ級好みからは忌避されそうだが。
本作は劇場公開され、スマッシュヒットとなったため続編が5本作られたが、いずれもテレビ映画のため、スケール感やCGの出来などはかなり劣る。そのうち「アナコンダ vs. 殺人クロコダイル」は、「アナコンダシリーズ」とのクロスオーバー作品となっているが、相乗効果はあったのだろうか。