黄金バット(1966年)監督 佐藤肇 主演 千葉真一

 

惑星イカロスが地球への衝突コースをとっていることに、天体観測を趣味とするアキラは気が付く。それを訴えるも謎の男たちに捕らえられる。彼らは国連秘密機関パール研究所の所員たちで、所長パール博士を中心に超破壊光線砲の建造を急ぎ、これを使ってイカルスを爆破しようというのだ。その完成は特殊レンズをつけるだけになった。そのレンズの原石は、一万年前に海底に消えたアトランタス大陸にあるのだ。ヤマトネ博士を隊長に、アキラ少年たち一行は大西洋海上をアトランティスに向かったが、そこはすでに、世界征服を企むナゾー一味が占領していて、一行は危機に陥る。その最中、パール博士の孫娘エミリーが発見した穴の中に、黄金バットが眠っているのを発見。エミリーがたらした清水を飲んで眠りから覚めた黄金バットは、ナゾーとの戦いを始める。

 

少年冒険雑誌で人気を呼んだ永松健夫の原作を、「脂のしたたり」の高久進が脚色し、「散歩する霊柩車」の佐藤肇が監督した特撮映画。原作は1930年(昭和5年)、鈴木一郎原作で白骨面に黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ「黒バット」が好評だったことから、主人公を黄金色にした絵19枚を永松健夫が描いて誕生した。 その後紙芝居を中心に人気を博し、戦後は実写映画、さらにアニメ化もされた。

髑髏の仮面はどう見ても、正義のヒーローとは思えない風貌だが、当時の子供たちからは絶大な人気を得る。日本初のスーパーヒーローとも評されるし、その風貌からダークヒーローとしての側面も持っている。

1950年には「黄金バット 摩天楼の怪人」として実写映画化され、それには美空ひばりもゲスト出演した。本作は2度目の実写映画化。シリーズ化を前提にしている節があるが、翌年にテレビアニメが始まったからか、単発で終わっている。確かに実写化した時のキャラの不気味さを思うと、このまま続けても子供の共感を得られそうにないからこれは正解だろう。

今でいえばジュブナイルもの。冒頭はパール研究所がアキラ少年を、拉致同然で連れ去ったり、その後自分たちは正義の味方としれっと語り、いつの間にか仲間にするところなど時代を感じてしまう。見ている方は千葉真一がいるから絶対に悪役ではないとわかるのだが。

見る前まではてっきり黄金バッドの正体が千葉ちゃんだと思っていたが、演じていたのは佐藤汎彦。調べたが特に詳しいプロフィールはわからなかったものの、実写版の「ジャイアントロボ」でギロチン大帝を演じていたので多分スーツアクターではないかと思う。したがって残念なことに千葉真一は特にアクションシーンは無し。なのになぜキャスティングしたんだ?他に青島幸雄が1シーンだけ通りすがりの警官役で出演している。ちなみにヒロイン?の高見エミリーは後に鳩山邦夫衆議院議員と結婚している。