タイトル 長ぐつをはいたネコ

公開年

2012年

監督

クリス・ミラー

脚本

トム・ウィーラー

声優

アントニオ・バンでラス

制作国

アメリカ

 

ドリームワークスアニメーションの大ヒットシリーズ「シュレック」に登場する人気キャラクター「長ぐつをはいたネコ」のプス。本作は、彼を主人公にしたスピンオフ映画となっている。シュレックに出会う以前のプスが、幼なじみのハンプティ・ダンプティとメスネコのキティとともに冒険を繰り広げる姿を中心に、「シュレック」では明かされなかったプスの生い立ちや、お尋ね者になった経緯などが明かされる。

したがって、本作はシャルル・ペローの童話とは何の関係もなく、主人公の猫の名前はペロではなく、ピエールやローザ姫もカラバ侯爵も登場しないし、舞台はフランスではなくメキシコとなっている。

シャルル・ペローの童話の要素は皆無なくせに、「ジャックと豆の木」がメインのストーリーに組み込まれ「マザー・グース」の人気キャラ、ハンプティ・ダンブティが登場したり、他の童話の要素は盛り込まれているとカオスな内容。他にもネタはありそうだが、私が分かったのはこの二つぐらい。なんか悔しい!

長ぐつをはいたネコことプスは、所謂賞金首。彼がお尋ね者となったのは、孤児院にいた頃兄妹同然だった、ハンプティ・ダンプティに騙され、銀行強盗の片棒を担いだことが原因で、それ以来彼を恨んでいた。

プスは黄金の卵を生むガチョウがいると言われている、巨人の住む城へと辿り着くことができるといわれている魔法の豆を探し続けていた。それを持っているのは、悪名高い盗賊カップル、ジャックとジル。酒場でその事を聞き付けたプスは、二人が泊まっている宿に侵入しようとするが、そこには同じように魔法の豆を狙う黒マスクのネコがいた。二匹が混乱する中、ジャックとジルに見つかってしまい、その場から逃走。そのままプスは黒マスクの猫を追跡するが、追いつめた先でプスは相手がメスであると知って驚く。更に彼女の傍らには、かつての因縁の相手ハンプティ・ダンプティがいた。黒マスクのメス猫、キティ・フワフワーテは、プスを引き込むために差し向けたのだった。

ハンプティは、プスにキティと協力して、ジャックとジルから魔法の豆を奪い、巨人の城へと辿り着く計画を立てていた。しかし、ハンプティを許せないプスはきっぱりと拒絶。しかし、ハンプティはプスに謝罪し、「もう一度チャンスをくれ」と彼に頼む。かつて兄妹同然だった頃の絆を思い出したプスは、ハンプティとキティに協力して、魔法の豆を盗み出し巨人の住む雲海の城にたどり着き、まんまと金の卵を産むがチョウを盗み出す。しかしこれらはハンプティが仕組んだ罠で、彼はジャックとジルと組みプスを警察に引き渡すのだった。と、ハンプティの意図がいまいちわからないストーリー。復讐をしたいのなら普通に、プスを捕らえて警察に突き出せばいいし、その後でジャックとジル、そしてキティと巨人の住む城に向かった方がリスクは少ないと思うが。

ネコの最終兵器!目元ウルウル攻撃!これに贖えるものはいるか?!

 

これからわかるように、本作は終始ノリと勢いで突っ走るような内容で、テンポの良いアクションが、マシンガンのように繰り出され、観客に考える暇を与えないような内容。逆に言うと、観客に考えさせるといろいろな粗が目立つ事を、製作側は分かっているという事だろう。とにかくハイテンションで、終始突っ走り大人も子供も楽しめる娯楽作品になっている。この辺のドリーム・ワークスは作り方が上手い。某D社なんて、スカスカの映像にぎこちない動きしかしない、しかも穴だらけのストーリーで100周年を飾ったりするのに比べると、きわめて潔い作りになっている。ただ、名作かと言われればそこまではない。なんせストーリーは結構ざるで、ヴィランっぽく登場し、何のため登場したのか分からなくなったジャックとジル等、派手なアクションありきのキャラクターも結構いる。また、ハンプティ・ダンプティの立ち位置も少々微妙で、むしろ真のヴィランで黒幕として登場した方が収まりがいいが、それを無理やりプスとの友情物語にしたような印象だ。

ただ、あまり深く考えずに、頭空っぽにして見るには面白い、というより楽しい映画になると思うし、恐らく制作側も、そうした作品にしようとしていると思う。だから自宅で見る時は一人で見るより、家族や友達とワイワイ言いながら見るのが楽しめると思う。