先月15日に内閣府が発表した世論調査で、
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方を支持する人が、
全体で52%となったことが話題になっています。
特に伸び率が大きいのが20代ということです。
なぜ、こういう結果になったかということで、
今月10日・11日の朝日新聞で、特集していました。
11日に載っている識者3名の意見に私は大体同意します。
「やりがいのある仕事に就けない。
仕事に就いても定収入の非正規雇用か、正社員でも長時間労働を強いられる。
希望を持って働ける状況にないからこそ、実現は難しいと承知の上で安定を求める。
20代の支持急増は、彼らの過酷な労働環境を映し出している」山田昌弘氏(中央大学教授)
「夫の稼ぎだけで妻子を養うのは難しく、公的な保育サービスも十分でない。
親の支援がなければ、子育て中の妻は働き続けられないのが、今の20代の現実だ。
(中略)
それは、良妻賢母志向とは異質なものだ。
(中略)
めざすべき姿でなく現実的選択として支持したのが、
今回の問いに答えた20代の感覚ではないか」開沼博氏(社会学者)
「女性が仕事を続けることが一般的になり、
その困難さがよく知られるようになった面もあるだろう」村松康子氏(東京学芸大学長)
私が子育てをしていた30年前よりも、厳しくなっていると思います。
その頃は、まだ女性は残業は8時まででした。
8時に女性が帰っても男性が残っている日は、
翌日「昨日は何時までやったの?」と女性が声をかけ、
10時までやったなどと聞くと、
「大変だったね」といたわる風潮がありました。
今は、男女ともに10時くらいは当たり前になっていますよね。
こういう中で子供を育てるのは、本当に大変だと思います。
ただ、一度女性が職を離れると、復帰は非正規かパートしかない。
夫に万一のことがあったり、離婚したりすると、たちまち貧困に陥ってしまう。
「夫は外、妻は家庭」は、非常にリスクの高い選択です。
山田教授の
「長時間労働を是正し、正社員、非正規社員の間にある賃金や待遇の格差をなくす。
新卒一括採用をやめ、再就職しやすい社会にする。
多様な働き方に対応できる子育て支援策を強化する。
こうした対策がとれなければ、現在の20代の相当数が、貧困層になりかねない」
という意見に、全面的に賛成します。