Q2だ

 


正直、Q1のタイムを見る限りQ3への進出は難しそうだ
新品のソフトは後2セットある
レースで1本残しておきたい気持ちもあったけど
予選で1回使っただけのタイヤなら
レースで使用する分には問題ないとシルビアが言うので
Q2でも新品を2本使おうかと思ったけど
Q3に進出した場合の事を考えて
Q2の1回目はQ1で使ったソフトを履くことにした



Q2が始まって、まっさきにハミルトンが出てきた
少し意外で驚いたけど
Q2の出だしは、大西を少し遅らせて出すことにした



中古タイヤという事もあり
路面の状態が少しでも改善された状態で
送り出そうと考えたからだった
Q2開始5分が経過した頃にコースに送り出した



1回目の走行で11番手につけた
中古タイヤで11番手ならQ3も見えてくる
そんな事を思った僕の顔がニヤけていたのか
藤本が真顔で
「まだアロンソと角田が残ってますから」とつぶやいた



藤本の指摘の通りだった
10秒も立たないうちに
アロンソ、角田と帰ってきて
大西は13番手に落ちることになった



送り出したのが遅かったこともあり
残り4分で大西はピットに戻ってきた

タイヤを新品ソフトに交換して
燃料を3ラップ分追加し
その時を待った

大西のマシンがピットに格納されると同時に
続々と2回目のアタックに向かうマシン
ノリス、ペレス、ストロール、ラッセルが
このタイミングで出ていった



送り出すタイミングは非常に難しかった
いま、送り出せば
クリーンエアで行けそうだったが
コース上に出ているマシンは
まだ、そこまで多くはなかった



まだ、ラバーの改善が見込めるかもしれない
それなら、最後に送り出す方が良い
しかし、時間を読み間違えると
最悪、コントロールラインを超える前に
チェッカーが振られてしまうかもしれない

残り3分でアロンソが出ていく
残り2分44秒で、サインツとピアストリが出ていく
残り2分30秒で、アルボンが出ていく
2分30秒を切ったところで、焦って大西を出してしまった
アルボンとの距離が近いと思った

大西がアルボンとの距離を取ってくれることを期待したが
2コーナーを抜けたところで
大西がアルボンを追い抜いた
これでクリーンエアを取ることができた

大西は僕の心配を他所に
残り50秒ほどでコントロールラインを通過
そのままアタックラップへと入っていった

クリーンエアで前方との距離は十分にあった
アタックラップの途中でクールダウンや
アウトラップのマシンはいなかった
そして新品のタイヤ
これだけの条件が揃っていたはずなのに
自身のタイムを更新することすらできず
14番手でQ2敗退が決まった



もう少し上位を狙えた感触があっただけに
残念な気持ちになってしまってから
ふと気がついた
14番手で悔しいと感じている自分に