まもなく起き上がったそのロボット。
無表情に、ただ一点を見つめている。
「おい、大丈夫か?」
聞く徳井。
「はい…大丈夫です。」
首をかしげる吉村。
「ねぇ…誰?」
「こいつは徳井って言うんやで。お前にとって家族みたいな存在やったはずやで。」
と村本。
「えっと…ん~…すいません。ちょっと思い出せないです。」
と吉村。
「ちなみに俺のことは?」
「すいません…」
「そりゃあそうだよな。」
自分でデータを消しておいてからに、少し悲しそうな村本。
「…じゃあ自己紹介するわ。
俺は村本大輔。お前を作った人間や。」
「俺は徳井健太。お前の同居人だ」
「よ、よろしくお願いします。。」
ぺこりとした吉村。
「お前も自己紹介しろや。」
「あ、はい。僕は吉村崇。自称破天荒。エロい女が大好きです。」
「よし、えらい。自分のことはわかるんやな。」
徳井は笑いをこらえるのに必死だった。
「じゃあ本題へ。」
村本がそういうと、徳井は真顔に戻った。
「なあ吉村、この徳井さんと、俺、どっちが好き?」
「え?…どういうことですか?」
「とりあえずどっちか1人選べよ」
と徳井も続ける。
暫くすると、吉村の様子がおかしくなってきた。
はっとしたような、何かを思い出したような感じだ。
同時に、泣けないはずの目が少し涙目になってきたような感じがする。
「思い出したぞ、村本。
そして俺をロボットにした理由もやっとわかった。
…なんだよ、そういうのは早く言えよ。
気づかなかったじゃん。」
「え?」
きょとんとした村本。
「俺も好き。お前のこと。」
吉村がそう言い終わると村本は吉村に抱きついた。
「もうなんやねん吉村!
そうやったら早く言えや!!
俺いつもお前にひどいこと言うから絶対嫌われてると思ってた…」
抱き合う2人。
すると村本がまたきょとんとした。
「なあ吉村…お前、心臓動いてへん?やしなんか体も温かいで?」
「あ、ほんとだ。。嘘。」
人間になったんだ、と泣きながら抱き合う2人。
今度は吉村の目からも涙が溢れている。
「ごめんな吉村。こんなことして。」
「いいよ村本。ただ1つだけ…」
「なんや?」
「ずっと俺のライバルでいてほしい。」
「ライバルって言うことはまたお前芸人やるのか?誰とやるん?もうお前のコンビ解散したやん。」
「徳ちゃんとコンビ組むだよ。な、徳ちゃん?」
「え?俺聞いてないんだけど」
そうはいいつつ徳井も泣きそうなくらい嬉しかった。
またこいつと過ごせるのか。
今度はロボットのユーザーとしてではなく、相方として一緒に暮らすのか。
そう思うととても嬉しかった。
さっきまで村本と抱き合っていた吉村が急に徳井に飛びついてきた。
「おいなんだよ」
「徳ちゃんのことも大好きだから。
これからは相方としてよろしくな。」
そういうと村本の方に向き直り
「おい村本!俺たち最強の漫才師になってやるからな!俺たち目指して頑張れよ!」
「うるさい!吉村のくせに!おスベリ2回戦野郎が!」
そういう村本の目は昔と違って優しかった。
こうして、今、平成ノブシコブシとウーマンラッシュアワーは共に活躍している。