ある日
テレビを見る徳井。
すっと寄ってきた吉村。
テレビでは夏にぴったりの旅行などと言って様々な観光地の紹介をしている。
「ねえ、徳ちゃん、海行こ!」
「え、お前ロボットのくせに何言ってんだよ。
つかお前防水なの?」
「ぼうすい??俺は吉村だよ?」
「ちょっと来い」
徳井が吉村の腕を掴み引っ張る。
風呂場の前まで来た。
「今からお前をテストする。服脱げ。」
「え、何よいきなり…えっち…」
「うるせえ、早くしろ」
強引に吉村を脱がせて風呂場に押し込んだ。
「え!?何!?俺今から何されるの?」
「濡らす。海で壊れられるより家で試した方がいいかなって」
「え、実験するの!?もし壊れたらどうするの?ってか説明書は?」
「なるほど、ちょっと読んでくる」
徳井はリビングに戻り説明書を読んだ。
くそ、防水かどうかなんて書いてない。
この代表の村本とかいうやつ何やってんだよ。マジで。
まあいい、彼女の代わりになるっていうくらいの製品なんだから…多少濡れても大丈夫だろう、うん。
風呂場まで戻る。
「どうだった?」
「何も書いてなかった」
言いながらシャワーの水を出す。
「え!ちょ、止めてよ!?」
「かけるから暴れるなよ」
「え、やだ!うわあああ!!」
ジタバタする吉村。
徳井にも水がかかる。
「おい!冷たっ!何やってんだよ!!」
「足とかでいいじゃん!なんで頭から全部かけるの!?」
「…お前壊れてないな」まじまじと吉村を見つめる徳井。
「あ、ほんとだ!やったー!海行けるじゃん!」
びしょ濡れのままはしゃぐ吉村。
「…んじゃあ今度の週末にでも行く?」
「やっったー!!」
「けどロボットってバレるようなことするなよ」
「うん!」
「じゃあさっさと風呂から出ろ」
吉村を風呂から出す。
リビングにそのまま戻ろうとする吉村。
床が濡れてしまった。
「おいお前体拭かずに行くなよ!床濡れちまったじゃねえかよ!」
「あ、ごめん」
「さっさと拭け」
そういってタオルを持ってくる徳井。
吉村の頭をぐしゃぐしゃと雑に拭く。
「ねえ痛い痛い!もっと優しくやって!」
「おい、お前今痛いって言わなかった?」
「言ったよ」
「お前感覚あるじゃん」
「え?」
「説明書には感覚ないって書いてあったぞ」
「え、嘘!」
「お前生身の人間みたいだな。よくできたロボットだな」
「えーちょっと照れるこというなあ♪」
「お前を褒めたんじゃない。あの会社の村本を褒めたの」
「えー素直じゃないなあ…」
「おい、ロボットのくせに調子こくなよ」
感覚があることに驚くとともに、ロボットとの生活もなかなか悪くないと思う徳井であった。