■夢の構造を卵に例えてみた
卵って、殻と白身と黄身でできてますよね。ここに卵が1つのったテーブル以外何もない部屋を用意し、そこにAさんを入れます。この時Aさんは卵と少し距離をとって眺めている状態です。
この卵の黄身は、じつはAさんが持つ「あらゆる理想」の要素でできているんですが、それは直接Aさんからは見えません。Aさんに見えるのはあくまで殻です。殻はスクリーンの役割を持っていて、そこには黄身にある理想を具体化した映像が映っています。例えば、黄身にある理想に「人から認められたい」という気持ちがあったとします。ただそれは直接的に殻には現れず、白身による解釈を通じて「サッカー選手になりたい」という投影が殻に映っています。Aさんは普段無邪気に「サッカー選手になりたいんだ!」と言っていますが、その実深いところでは、人から認められたい気持ちからその発想になり、それが卵に映っているということですね。
この時、サッカー選手として像に変換されたのは、たまたまAさんがその時サッカー少年団に所属しているからかもしれません。バスケ少年団にいたらバスケ選手を目指していたかもしれず、いずれにせよ、「理想」を実現するための「環境」と調整する「解釈」の役割を白身が行うことで、結果的に像の具体化に結びついています。
そうやって、Aさんが憧れを抱いたり、承認を欲したりして、理想(黄身)の中身が転じていくと、その都度解釈された像を殻に映していくのですが、Aさんがアイデンティティ形成期に入り、理想が根本からゆらぐと、この黄身自体が揺れ動き、質を転じ始めます。
コアである黄身はぐちゃぐちゃになり、日々形を変えるので、投影される像もぼやけて不明瞭になるのです。
アイデンティティがなんとなく固まり、Aさんがこの段階を通り過ぎると、黄身はまた形を安定させます。ちなみにアイデンティティというのは何度も固まったり揺らいだりを繰り返すものらしいので、今後もその都度ぐちゃったり戻ったりを繰り返すことになります(そもそもアイデンティティの形成には社会で揉まれることが必要らしいので、学生のうちに理想が固まらないのも普通です。学生~若手社会人の皆さん、ご安心ください)。
こうしてAさんに限らず、人は変化しつつ、常に殻への投影を試みる卵と生きていくことになります。これが私の考えた夢=卵的構造モデルです。
やっと、やっと夢を誰もがよく知る物体の形に落とし込めたことで、脳みその完全フリーズは回避できました。おそらく違うもので例えてみても、しっくりくるものはあると思いますが、私には「そこから何が生まれるかはまだ未知である」という性質も含めて、卵に例えるのが良いように思えました。ふんわりとして形のつかめないものだった夢を仮でも可視化できたのです。やっと夢の目をみて、こんにちはを言えた気分でした。
ちなみに、部屋の中の配置で例えた夢と人との関係について、唯一パターンが変わると考えているのが、夢の6種類のうちの最終形態である「存在価値追求の夢」です(自己が確立できており、そのうえで社会と自分がwin-winの状態をつねに追求し続けること自体が夢)。
この状態では、「夢を追求する」こと自体が理想であり、それは追い求める限り常に叶っていることになるので、Aさんは卵を外から見つつ、卵内の黄身(理想)とも同化していることになります。まさに「夢中」で生きているということですね。図にするとこんな感じです。
この状態の人は多分このブログにたどり着かない思うのですが、もしいたら日々どんな意識で生きているのかぜひコメントください。
■研究の成果と明るい未来…?
さて、ここまでめちゃくちゃ長くなってしまったんですが、一旦これまでの研究の歩みを簡単にまとめますね。
私は夢がない苦しさと向き合うために、
・夢はどんな形をしているのか
・夢を持つとどんないいことがあるのか
を知ろうとしてきました。
どんないいことがあるのかについては、先行研究を通じ「夢が行動の呼び水となり、成長や幸福をもたらす可能性がある」ことを知りました。
夢の形については、同じく先行研究を通じ、「6種類以上は分けられそうであること、またそれらを卵型のモデルで説明ができそうであること」が分かりました。特に6種のうちの一つの「自己確立の夢」は、アイデンティティが深く関わり、一時的に夢の具体像を掴みにくくなる特殊な状態であることを整理してきました。
ここまではあくまで先行研究を通じた仮説づくりのフェーズのため、ここから8人の知り合いを対象に、夢についての個人インタビューを実行し、確からしさの検証を行いました。個人的にこのインタビューがめちゃくちゃ面白くて、新たな気づきも山ほどあったのですが、ここで挟むとあまりに果てしなさすぎるので本ブログは割愛することにします。一言だけ言うと、インタビューを通して私の夢の定義はめちゃくちゃ柔軟になりました。夢の定義について人と語り合うの、まじおススメです!
ただその中で少なくとも私の立てた仮説に矛盾は出ず、結果として、卵仮説の確からしさをより深める結果になりました。こんな形で、一応私の論文は形になったのです。
そうして、無事に自分なりのモデルを作れた私は、当初立てた2つの疑問にも答えを見つけ、単位も無事取れそうで、卒業おめでとうハッピーハッピーいぇーーーーい!!!!!!!!
……とは全然なりませんでした!!!!!!!!!!!!!
だってそうですよね!!夢の構造や良い面を把握はしたものの、相変わらず私は理想が見えないことが不安で仕方なく、研究したことでその解消には至っていなかったのです。
流石にここまで研究を重ねて、夢=職業名でなくてもいいことや、理想が描けない状態もよくあることであることは理解したのですが、理解したことと不安に感じることは別です。そもそも私はこの不安を解消したくて入学したのですから、何も見つからないまま卒業するのでは本末転倒というものです。
実は研究を進めるうちに、「おや…?不安と向き合うにはどうやら別種のアプローチが必要そうだぞ…?」ということにはうすうす感づいていました。更にアイデンティティやポジティブ心理学、フロー理論など学ぶことで、どうやら「自分らしさ」が鍵になりそうなことも掴めていました。ただこの「自分らしさ」がやっかいで、2~3時間考えたぐらいでは全然しっぽも見えてこないような相手だったのです。ただどうやらこの問題と本格的に向き合わないと、不安を脱せないことは明らかでした。そうして論文執筆と並行して、自分らしさの棚卸を進めることになったのです。
いよいよことの本質に切り込む形になったのですが、果たしてこの闇に終わりはあるのか…!?
クライマックスじみてきましたが、続きは次回。


