こんにちは、呉羽です。



         我が国の腎臓病患者は、1330万人を超えます。
       実に成人の8人に一人と言われています。


       腎臓病が進むと、腎臓の機能が果たせなくなり。
       人工透析を受けなければなりません。



       現在、透析療法を受けている患者は30万人を超え、
       そのうちの44%は糖尿病性腎症です。
                 (2013年、日本透析医学会)



       糖尿病性腎症とは、糖尿病に起因する腎臓病で、
       糖尿病が長期的に続くと、腎機能が徐々に低下し、
       腎不全になり、その結果、透析となるのです。



       糖尿病になると、血液中のブドウ糖濃度が高くなり、
       多くの毛細血管からなっている腎臓の血管が障害を受け、
       10年から20年で腎臓病を発症するそうです。



       その10年から20年の間は、本人は気づかなくとも、
       腎機能の低下は進み、慢性腎不全の状態になります。

  
     

       糖尿病の治療は、インスリン注射と食事療法による
       血糖のコントロールが基本ですが、
       これに腎臓病が加わると、腎臓病の食事療法を併せて
       行わなければなりません。



       厚労省の2014年患者調査によると、
       糖尿病患者数は、316万人で過去最高を記録し、
       男性の16%、女性の10%が糖尿病の疑いありです。



       糖尿病予備軍はさらに多く、
       あなたもその一人かもしれません。



       そこで、血糖値の高い糖尿病予備軍の人向けに
       腎臓病食事療法について考えてみます。



       まずは、糖尿病対策として血糖コントロールを中心におき、
       同時に、塩分制限と、タンパク質制限を行います。


      <目標値>
       血糖コントロールは、6.0HbA1c未満
       塩分は、1日6g未満
       タンパク質は、0.6~1.2g(体重1kg当り)



       塩分制限については、
       日本人の平均食塩摂取量が11.3gですから、
       普通の人の2分の1程度を目安とする。


       具体的な対策としては
        ① 食卓・キッチンから食塩を排除、代替調味料を使う。
          (酢、レモン、香辛料、だし、オリーブオイル等)
        ② 塩分含有量の多い食品・加工品を避ける。
          (魚介類の塩蔵品、練り製品、肉の加工品、漬物)
        ③ 汁物はとらない。
          (味噌汁、ラーメン、うどん)
        ④ 朝食には、無塩パンや無塩ジュースを選択する。


          
       タンパク質制限については、
        基本的に、取り過ぎに注意です。
        できれば、良質のタンパク質を選び、
        必要ななエネルギー量は確保しつつ、
        全体の食事の量を選らすことです。


       具体的には、
        ① タンパク質含有量の少ない食品を選ぶ。
            赤身の魚  < 白身の魚 
            豚もも   <  豚バラ  
            もめん豆腐  <  絹ごし豆腐 
            ピーナッツバター <  リンゴジャム 
② アミノ酸スコアの高い良質のタンパク質を選ぶ。
            牛肉(サーロイン)、豚肉(ロース
            鶏肉(もも)、鶏卵、牛乳、さけ、さ
ば 
        ③ 低タンパク治療用特殊食品を活用する。
            でんぷん製品、タンパク調整食品

            低甘味ブドウ糖重合体製品など。



       血糖コントロールでは、
        ① 血糖値の上昇につながるご飯やパンのの取り過ぎに注意し、
          食事の間隔を開けて、1日3食の規則正しい食事をとる。
        ② エネルギーの確保に留意する。
             男性  1日  1400~2000kcal
女性  1日  1200~1800kcal


       以上が、糖尿と腎臓病対策としての食事療法です。



       糖尿病にしても、腎臓病にしても、
       長い間の生活習慣に原因があります。



       例え、今は健康に見えても、
       年齢とともに、潜在的に腎機能は落ちてきています。



       健康診断の結果、血糖値が高ければ、
       クレアチニン値や尿素窒素の数値を調べて、
       慢性腎臓病の恐れがないか確認してください。


          

       少しでも疑いがあれば、一日も早く生活習慣を改善し、
       あなたの症状に適合する食事療法に取り組んでください。



       あなたの健康は、あなた自身が守らなければなりません。
       そして、いつまでも「カラダ元気、こころ平和」に
       人生をエンジョイしてください。



       次回は、「ご飯とパン、どちらが塩分多い?」を考えてみます。


       どうぞ楽しみにお待ちください。
                               (呉羽 知人)