「はー」

 

夫が、ため息をつきます。

 

これはもう、毎日の日課のようなもの。

 

仕事から帰ると、「はー」とため息ついて、
ある場所にまっすぐ向かいます。

 

 

 

 

甘いものが大好きな夫は、
ここに「自分だけのお楽しみ」を大事にしまう

お菓子ボックスを置いています。

 

わが家には他にもお菓子ボックスがあるので、
ストックはなかなかの量です。

 

好きなときに、好きなものを食べているのに、
ため息つくことないじゃないか...

 

食べたら太る、でもやめられない.....
そんなジレンマ?それとも罪悪感?

なのかもしれません。

 

そういえば、こんなこともあります。

 

私が、たまにパイやケーキを作ると、

夫は決まって

 

 

 

「これを食えって?」

 

と、少し怒ったような口調で言うのです。

 

でも、その顔はなぜか笑っているのです。

 

結局しっかり食べるのだから、
本当に素直じゃないなぁと思います。

 

うれしいのか、困っているのか、
その両方なのか。

 

きっと、あの「はー」の中には、
そんな気持ちも混ざっているのでしょう。

 

そして最近気づいたのですが、
夫は晩酌のときも、やっぱり

 

「はー」

 

と、ため息をつくのです。

 

事故から十数年。

 

和解が済んだからといって、
すぐに元に戻れたわけではありませんでした。

 

それでも、日々を重ねる中で、
少しずつ、気づかないうちに、
夫は元気を取り戻していきました。

 

そして今では、

 

お菓子にため息をつき、
お酒にため息をつく、そんな毎日。

 

ご心配くださった皆さん

夫は元気です。

 

昨年の8月から書き始めた
「夫が事故にあいました」

 

片田舎のおじさんとおばさんの話に、
ここまでお付き合いくださり
本当にありがとうございました。

 

 

そして今日もまた.....

 

「はー」

 

と、夫のため息が聞こえてくるのです。