・バンデューラの攻撃行動の観察学習(ボボ人形実験)

【観察学習(モデリング)とは他人を見て学習することを言う

幼児に、大人がボボ人形(※)を攻撃している様子の映像を見せると、幼児が攻撃的になるかどうかを観察する。
※ボボ人形とは空気で膨らむ人形で底に重りがあり、倒れてもすぐ起き上がる仕組みになっている。(おきあがりこぼしみたいなやつ。)
 
バンデューラは3つの映像を用意し、そのうち1つを幼児に見せたあと、ボボ人形が置いてあるプレイルームで遊ぶ様子を記録した。
 
Aグループ…人形に対して大人が暴力する映像を見せる。
Bグループ…人形に対して大人はなにもせず、静かに遊ぶ映像を見せる。
Cグループ…なんの映像も見せない。
 
【結果】
B、Cグループに比べてAグループの幼児は人形に対して攻撃行動(殴る蹴るや暴言など)がはるかに多く見られた。
また、物理的な攻撃行動は女児より男児の方が多かった。
この結果から、人は他者の行動を見ただけで学習することが分かる。(人の行動を真似する。)
 
しかし、この実験が人対人形であるため、人対人に対してまでそれが及ぶのか疑問視する声も挙がっている。また、全員が同じ行動を取るわけではなく性格によっては模範行動を取らないこどももいるため、この実験の信頼性は測れない。
 
ただ、ある人はこうした人は他者の行動を見て真似する観察学習がテレビなどのマスメディアによって多く行われていると考え、マスメディアの危険性を匂わせるような発言をしている。(これはあくまで実験であり、このような主張は個人の主観で語られているため本当のところはどうかわからない。)
この結果をどう捉えるかはあなた次第。
 
 

・スキーマ(認知心理学)

ある物事に関する知識について、似たような例が集まってくるとそれらに共通したものを抽出して一般的知識として捉えることが可能になる。既有知識ともいう。
 
例えば、車の運転経験がある人が初めて乗る車でも運転できるのは、何をどうすれば運転できるのかを知っているから。
初めて見る人を「優しそうとか」「怖そう」と思うのも、過去に見た人の記憶から取り出して判断している。
 
スキーマのデメリットは誤った先入観に繋がり判断を間違える可能性に繋がる。またネガティブな思い込みから見方を変えられずに苦労することがある。
 
 

・長期記憶の分類

・手続き的記憶…水の泳ぎ方、テニスの打ち方など、体が覚えている記憶。
・宣言的記憶↓(エピソード記憶と意味記憶に分けられる)
エピソード記憶…旅行など、時系列を持っている記憶。
意味記憶…語学、法律などの知識、時間や場所を伴わない記憶。
 
 
◇番外
【記憶の危うさ】
幼児期虐待記憶の問題。
成人になり心理カウンセリングを受ける中で、その疾患の原因が幼児期の父母からの虐待、性的虐待を受けたこととされ、父母が訴えられるケース。
父母はそんな記憶はなく、本人もこども時代の明確な記憶はない。
カウンセラーから執拗に問われ「その時のことは無意識に抑圧されており、それを解放しなさい」と責められるうちに、自分の疾患の原因が親の虐待によるものと意識化される。しかし、実際はそんな事実はまったくなく、精神科医にカウンセリング過程で注入された記憶であることが明らかにされた。
アメリカで多発したケースである。
このように、全く事実にないことが記憶として捏造されてしまうことがある。