文化1
当然のことながら、それは人の社会にだけに通用する有限のものであり、この永遠無限の自然界にあって、どこにも無い決まりであり、価値観である。
文化には自然界の摂理、価値観の如き普遍性はなく、人だけのものであり、人ともに潰える儚き幻影。
文化があるから、昨日があり、今日があり、明日がある。
文化があるから父がいて、母がいて、兄がいて、妹がいる。
文化があるから人前で裸ではいられない。
文化があるから本当があり嘘がある。
文化があるから善があり悪がある。
文化があるから高貴があり卑賎がある。
文化があるから平等があり差別がある。
文化があるから平和があり、戦争がある。
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社会とは文化というシステムの作り出した仮想現実。
文化の無い生き物達に差別も偏見も戦争も無い。
生き物達に昨日今日明日、父ちゃん母ちゃん、お金、何にもない。下ばきも付ける事無く野山をただ駆け回り、所かまわず糞尿を垂れ流す。この繰り返しで、時が来れば電池が切れたマシーンの如く動かなくなる。ただそれだけのものだ。
人の云う生きるということが無いのだから生きる意味ということがありえない。
彼らの死に葬儀も墓も悲しみも何も無い。人のいう死が無い。
マシーン同様、彼らに生きているという自覚がありえない。それは人の如き唯一無二の自分という自然から独立した主体を持たないからだ。
今そこで動くために動きそこにあるものを喰うために喰う。
今この時、目の前にあるもの。彼らにはこの一次元のその場その時かぎりの世界しかない。
人は昨日今日明日の時間軸、遠くと目の前を対比しての空間軸、人間関係等文化の様々な規範を基に行動するものである。
彼らに文化が作り出す様々な束縛の世界は無い。