映画「冬の小鳥」 | 残日録

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 阿保どもが寄って高って視聴者を馬鹿にしたような情報を垂れ流すテレビを見るよりラジオを聴くことが多くなっています。TBSラジオキラキラ で日本語ラッパーの宇多丸さんが紹介していた「冬の小鳥 」を観てきました。

 宇多丸さんは番組の中で「世の中には自分の力ではどうにもならないことがある。その中にいる自分を客観的に見つめ、受け入れるしかないことを知ったときオトナになるのでは」と話しています。宇多丸さんの音声データ はこちら。

 監督はウニー・ルコントさん、孤児であったルコントさんは9歳の時に養女としてフランスの家庭にもらわれていった経歴を持っている。
 親に捨てられ養女としてもらわれていくまでの彼女の体験を元に作られた映画だそうです。

 舞台は1975年韓国ソウル郊外の町、少女ジニ(キム・セロン)は父の自転車に乗せられて楽しそうに暮らしていました。ある日一張羅の洋服を着せられ、ケーキを買ってもらって孤児院に連れて来られます。
 自分が親から捨てられたことが理解できないジニは反抗を続けますが、寮母(パク・ミョンシン)、孤児仲間のスッキ(パク・ドヨン)やイェシン(コ・アソン)らはそんなジニをじっと見つめます。

 私の知り合いで何度か紹介したこともあるMさんの母親は埼玉で親の元で暮らせない子どもたちの施設を運営しています。Mさんもその手伝いをしています。 彼に聞いた話を思い出しました。子どもを連れてMさんの家を訪ねてきた父親は一夜の宿を請い、翌朝仕事を探しに行くからと出たまま帰ってこず、子どもはM さんの家庭で育てられるといったことが何組もあったそうです。

 幼い子どもに突然親から捨てられた境遇を理解することなど無理なことです。
 先輩のスッキは、アメリカ人にもらわれて行くことに希望を英語を学んでいます。一方、イェシンは出入りの八百屋の青年に恋していますが、施設側から中年夫婦への養子を勧められ自殺未遂事件を起こしてしまいます。
 そんな光景がジニの目にはどのように映っていたのでしょう?

 終盤、ジニは単身飛行機に乗り養父母の待つ国へと旅立ちます。
 ジニの幸せを暗示するようで静かなよい結末でした。

 映画を観ている間、頭から離れなかったのは、ジニの顔が知り合いの女性の子どもの頃の顔(知りませんが)に思えてなりませんでした。こんな経験は初めてでした。
 ジニ役のキム・セロンの自然体の演技がそう思わせたのかもしれません。