仕事がデキル人には、どうやら2種類ある | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

仕事がデキル人には、どうやら2種類ある。

まず、(1)いろんな仕事ができるが、嫌な仕事はしない人。そして、(2)できない仕事はたくさんあるが、嫌でしない仕事はない人。

他の組み合わせとして、(3)いろんな仕事ができ、しかも嫌でしない仕事がない人、(4)できない仕事ばかりなのに、嫌な仕事をしない人、という2つも考えられる。しかし、タイプ(4)は、どう考えても仕事がデキない人だろうから、まずここで対象外とする。

タイプ(3)の多能でかつどんな仕事でも積極的にする人は、どうなんだろう?たぶん、このタイプは、せっかくの能力が分散してしまって、結局は「仕事がデキル」状態にはならないのではなかろうか。やること、やらないことにメリハリをつけ、やらないことはやらず、やることに集中する必要があると思う。どこの誰にも1日は24時間しかないのだ。となると、タイプ(3)が「仕事がデキル」人になるためにはタイプ(1)を目指す必要があるのだ。

ということで、仕事がデキル人は、(1)いろんな仕事ができるが、嫌な仕事はしない人と、(2)できない仕事はたくさんあるが、嫌でしない仕事はない人の2種類があることになる。



タイプ(1)はわかりやすい。もともと多能なのである。その多種の能力の中から自分のやりたいことを選別し、嫌いなことはやらず、やりたいことに集中する。これが、世間で一般に考えられる「仕事がデキル」人の姿だろうと思う。

最後にタイプ(2)が残った。タイプ(2)は、できない仕事がたくさんある人であるから、普通、世間一般に考えられる「仕事がデキル」人の範疇には入らない。しかし、そのような多能性を持っていないにも関わらず、「仕事がデキル」と認めるしかない人がたまにいる。実は、私の仕事仲間に、そんな人が居るのである。が、このブログの読者には私の生活範囲内の人が何人もいるはずなので具体的な描写は避けたいと思う。

タイプ(2)は、いわゆる高IQ型ではない。私が「こういうことをやりたいんだ」みたいな説明をしても、なかなか理解しなかったり、まったく筋違いに理解してしまって後で驚かされたりする。卒業した(入学できた)大学の偏差値も低かったりする。頭脳明晰、頭がキレるというような表現からはほど遠い存在だ。

しかし、仕事がデキルのである!

タイプ(2)の特徴は、明晰さには無い。特徴は、腰の軽さにあるようだ。「そんな仕事はやりたくない」とか、「それは自分の仕事ではない」とか、「それは誰か他の人にやらせてほしい」とかということが無い。どんな仕事でも、嫌々することがない。どんなことでも自分にやってきた仕事は、常に前向きに積極的にこなす。どんな些細なことでも、かっこ悪いことでも。

タイプ(1)が、些細なこと、やりたくないことをも前向きに積極的にこなそうとするなら、これはタイプ(3)になってしまって「仕事がデキル」人にはなれないのだと思う。多能なタイプ(1)は、八方美人で腰が軽かったらダメなのだ。

では、タイプ(2)の腰の軽さはなぜ機能するのだろうか?それは、もともとできない仕事が多いので、そこで仕事の内容が自動的に「八方」から「一方」に絞られるからなのだと思う。自発的に的を絞ったわけではないのだが、他力本願で的が絞れているのである。


さらに面白いなと思うのは、結果をよりよく出すのはタイプ(1)よりタイプ(2)のようであること。これが、私の経験だ。

結果を出すには、最後の詰めが必要になる。「できた」ようにみえていても、そのゴールにわずかに届いていなくて、結局ゴールを逃すというようなことがおこる。そこのわずか1cmみたいなわずかな違いが、結果の有無につながってくる。タイプ(1)は、その1cmを重視しない傾向があるようだ。

タイプ(2)は、カメが小さな一歩を積み重ねてゴールラインに到達するように、ゴールラインに到達する最後の小さな一歩も大切にする。タイプ(2)の一歩、一歩は小さな一歩であるから、特に最後の小さな一歩を大切にしている自覚は無いかもしれない。しかし、いずれにせよ、タイプ(2)は、最後の一歩をちゃんと決めるのだ。最後の一歩を構成する小さな変化は、多能なタイプ(1)には取るに足らないものに見えがちなのかもしれない。しかし、その最後の一歩をしっかりきっちりと踏み出しゴールしなければ、ゴールに到達したことにならない。ゴールに到達しなければ結果はでない。


タイプ(2)がタイプ(1)の特徴を体得するのは容易ではない。これは容易に理解できる。タイプ(1)の多能さは、“もって生まれた才能”みたいな領域でのことになるので、タイプ(2)には“体得しえない”と言ってよいかもしれない。

一方、タイプ(1)がタイプ(2)の特技を体得する場合はどうだろうか?これもまた、容易ではないようだ。実際には、タイプ(1)がタイプ(2)の特技である「嫌でしない仕事はない」体質を作り出すのは不可能に近いと思う。タイプ(1)は、「やろうと思えばやれる」「やらないだけですよ」みたいなことを言うが、実際にはできない。やる気になることがそもそも不可能なのだ。

タイプ(1)は、そのことを自覚する必要がある。そして、タイプ(2)の「仕事がデキル」能力を正当に評価する必要がある。さもなければ、結果を出すタイプ(2)に負け続けることになるだろう。