スペシャリストが儲かる時代へ? II | 知財業界で仕事スル

知財業界で仕事スル

知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

 今回の麻酔科医の辞職は、お金では止まらないものが原因と思われます。現在の常勤麻酔科医4人全員が3500万円以上の報酬を希望していたことはないだろうという推測が正しいことが前提ですが。


 市立泉佐野病院側の一方的な説明ですけれども、現状が以下のように説明されています。
http://www.rgmc.izumisano.osaka.jp/boshu/Dr_ane/Dr_ane.html
(引用始)
 大学自身が医師不足のため公立病院から医師の引き上げを決めています。特に麻酔科医不足は手術が出来ないという深刻な影響を与えます。病院の収入が激減する以外に、緊急手術をする事ができず地域医療を担う病院としての役割が果たせなくなってしまいます。
 公立病院の問題点として勤務医の待遇がなおざりにされてきたことが真っ先に挙げられます。公務員として規制されるが故に自由度がなく、地域住民は期待を込めて病院に多くの患者さんが集まるため多忙を極めます。公的病院である故に利潤を上げる診療だけに特化することができないにもかかわらず赤字体質が許されません。これら何重苦も科されながら勤務医は健気にも頑張ってきました。
 しかし、その頑張りにも限界があり医師が疲弊して立ち去っていく構図があります
(引用終)


 ここから読み取れる改善策として次の4つがあげられるのではないでしょうか?

(1)公立病院は、勤務医の待遇(給与など)を見直しましょう。
(2)勤務医が公務員として規制されないようにして、複数箇所での勤務ができるよう自由度を高めましょう。
(3)安いからと患者が集まってくる体質をやめましょう。
(4)公的病院であっても、利潤を上げる診療だけに特化できるようにしましょう。


 これに加えて、punit_igoさんが書かれた法的責任問題があるようです。
(引用始)
>現在進行中の割り箸事件の一件や、大野病院の一件がマトモな方向に転ばない事には、いくら金をつぎ込んでも厳しい気がします…。
>いくら給料が増えても、「医療の限界」と「医療ミス」の区別もついていない司法のトンデモ判決1発で人生アウト…じゃ、なり手がいなくなるのも当然だ
(引用終)

 これをどう解決するのか?

 punit_igoさんには申し訳ないのですが、国民が裁判に訴える権利を一方的に奪うわけにはいきません。医者にも善人もおれば悪人もいるわけで。

 医者(病院)と患者とを「契約」で縛る方法はどうでしょうか?
医療行為の前に必ず契約書を交わすことを義務付けるのです。

 「安い代わりに責任はとりません」みたいな低価格契約書。「医療保険外診療で高いけれども、失敗したら責任をしっかりとります。高額の賠償保険に入っているし、賠償額不足の心配はありません」みたいな高価格契約書。はたまた、その中間の中価格契約書。…みたいな。

 市立泉佐野病院の説明の裏返しとして私がまとめた4つの改善方向、これらを推し進めようとすると、必ず「弱者切捨てはけしからん」「貧乏人は死ねというのか」というような意見が出てきます。

 お金のない人は「安い代わりに責任はとりません」条件で医療を受けてください、という体制であれば、そこのところもクリアーできるのではないでしょうか?

 現状は、「医療従事者の献身は当然で、値段は安く、かつ責任はしっかりととります」というような医療プランが動いています。普通に考えれば破綻しない方がおかしいと思います。昔は、契約書などなくても、患者は医者を訴えたりしなかったんですが、時代は変わりました。

 公共機関が医師の労働環境を画一的に決めるのではなく、ワーク・ライフバランスを人間として自らの意思で医師が決められるような環境を作っていかないといけないということなんだろうと思います。報酬は比較的低いけれども責任も少ない労働環境、ハイリスク・ハイリターンの労働環境、そういったものを人間としての医師が選択できる環境が必要なんだと思います。



**

 なお、ペーペー弁理士さんの

>まぁ、格好良くいえばこんな感じです。

…に関しては、登場を待ち望んでいる状態では格好よいとは到底言えません。歩合制を主体にしているところは、どこでもそんな感じでしょう。
 本当に登場したら格好いいですので、是非実現させてください。経営者の2倍の年収がある勤務弁理士!