昨日、ツイッターやフェイスブックでは短くお知らせしましたが、
私たちのシープラスエフ研究所の創設者であり、
日本の思想界や心理療法の世界に大きな影響を与えてきた吉福伸逸さんが
ハワイで肝臓癌のため、亡くなられましたので、ご家族の許可を得て、お伝えします。
4/29午後5時頃です(日本時間で4/30 12時頃)。ご自宅でした。69歳。

私もそうですが、吉福さんとの出会いにより、多くの人たちが深い影響を受け、
人生の重要な段階で助けられ、自分自身の道を見出すことができました。
私にとっては、方向性を見出せなかった19歳から、30年以上に渡り、
人生の要所要所で重要なサポートをいただきました。
人生の基盤と言ってもいい人です。言葉は尽きません。

亡くなった時に立ち会っていたティムはまだハワイにいますが、
奥さんのエツコさんの協力を得て、文章を寄せてきましたので、翻訳してお伝えします。
なお、吉福さんは、3週間ほど前に余命宣告を受け、
延命措置はとらずに自宅で最後を迎えられることを選ばれました。

吉福さんが一番大切にされていたテーマは、「生老病死」です。
それは私たちの人生のもっとも根幹にあることであり、
その視点を通じて、何が大切で本質的なことかということが見えてきます。

誕生も死も、伝統的な社会においては家の中で起き、そうした体験を家族や
コミュニティで丁寧に扱い、共有することが、人間としての大切な知恵として
継承されてきました。

吉福さんは最後まで、過剰な延命措置を断り、できるだけ自然な形で
死のプロセスを「生きる」ことを貫いたと思いますし、直前まで、
ご自身の体験について語り続けました。

死について、残念だったり、悲しい気持ちになるのは自然かも
しれませんが、それだけではないということをお伝えしたいと思います。

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私たちにとって師であり、友人でもあった吉福さんが旅立たれました。
彼が「今、ここ」の存在(プレゼンス)と平和の内に亡くなった時、
夕方の陽の光が、ノースショアのワイメア渓谷をみおろす森の、
ヤシなど木々の葉を通じて差し込んでいました。

吉福さんの体は衰弱していましたが、意識はクリアで、
訪れる人たちとも、よく関わっていました。
日本から弟さんが到着した日。
午前中、吉福さんは突然、息切れがし、数時間、不快な状態が続きました。
それから医者がきて投薬をしてくれて、意識がはっきりし、痛みが和らいだので、
弟さんと少し話をすることができました。

それから奥さんのエツコさん、息子さん二人、
弟さんと私でみな吉福さんの手を握りました。
吉福さんとの、そしてお互いのつながり。

最後のリズミカルな呼吸の中、
吉福さんは、窓から差し込む光を見上げ、
それからひとりひとりを見、部屋を見、
そして目を閉じ、逝きました。

この時の彼の意識的な、そして平和な逝き方が心に今も響いています。

私たちは吉福さんに、お遍路の白装束を着せました。
私が最後に四国の八十八ヶ所を歩いて回った時に着た白衣です。

二週間ほど前にいったん来た際、吉福さんがほしいということだったので、
あげたのです。
吉福さん自身、高校生の時に四国遍路を回ったことがあり、
その時の体験が、彼の生き方(と死に方)に深い影響を与えました。

日没の時間、寝室は灯したロウソクの光があふれていました。
お香を供え、私は般若心経---知恵の真髄であるお釈迦様の言葉---を読みました。
以下は私なりの解釈です。

「私たちの本質は生まれることも死ぬこともなく、
この気づきによる平和の内に、心はあらゆる妨げから解放される。
妨げるものがなければ、恐れは存在せず、
現実とひとつになる。ストーリーや幻想を超える。
この目覚めそのものが涅槃であり、平和と喜び、慈悲の中にある。」

深い感謝と愛を込めて

ティム・マクリーン

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