エニアグラム研究所の創始者であり、
この分野の第一人者として活躍されてきたドン・リソさんが急逝されました。
66歳でした。

アメリカ時間で、8月30日の午前2時頃、亡くなられたということです。

具体的な状況はまだわかりませんが、私が務めているC+Fは、
リソさんが主宰されてきたアメリカのエニアグラム研究所の
日本の窓口も担っている関係で、連絡を受けました。
前立腺ガンが全身に転移したとのことです。

リソさんは、ここ5年ほど、神経中毒の療養に努めながらも、
お仕事に精力的に取り組まれてきました。
歩行が困難であったため、お出かけになってのワークショップや講演は
減りましたが、研究活動は積極的にされてきました。

数年前、神経中毒に加え、前立腺ガンを発症された訳ですが、
とくにガンが進んでいるというお話は伺っていませんでした。

1週間ほど前、背中の痛みがひどいということで、自宅療養が
難しくなり、入院したという連絡を受けたばかりです。
入院してからの検査により、全身への転移が明らかになった可能性が
ありますが、リソさんは延命治療は希望されず、自宅に戻られ、
すぐの逝去となりました。

とくにリソさんと直接接する機会があった方、
本を読んで影響を受けられた方などの
驚きや悲しみはいかばかりかと思いますが、
悲しみに深く沈むということは、
存在の深みに触れることでもあると実感しています。

リソさんはエニアグラムを精緻な理論や実践に高め、
歴史に残る多大な貢献をされましたが、
何より、確かな存在感からくる、人間的な大きさにより、
世界中の、多くの人の人生に触れ、影響を与えました。
リソさんから学んだ人が、さらに周囲の人に影響を与えたでしょう。

病気により、身体的には多くの苦難を抱えながらも、
前向きな態度を保ってこられ、
その体験を通じて、「やっぱりエニアグラムは正しかったよ」と
ユーモア混じりに、エニアグラムの真価を実感したことを
お話されたこともあります。
また、私たちは「エッセンス(本質)」の存在であることを
改めて感じたともお話になりました。

リソさんの存在によって、「プレゼンス」(今、ここに在ること)を
信頼することを学んだという方もいらっしゃいます。

私個人にとっても、今回のことで振り返ってみると、
リソさん、ハドソンさんとの出会いが、自分の人生にとって
どれだけ欠くことのできない、大きなものとなっているか、
呆然とするほどの想いです。

約18年ほど前、初めてお会いした際、
それまで知っていたエニアグラムよりも本質的で明確であり、
世界や日本にとってきわめて重要な心の指針であると感じ、
以来、他の多くの方々と共に、お二人の活動をサポートしてきました。

リソさんも、日本でご自身からエニアグラムを学ばれた方々への
愛情を深くもっていらっしゃり、今年11月の来日イベントについても、
つい最近まで、できれば行きたいという思いを強くもちながら、
療養に努めていらっしゃいました。
また、日本から回復の願いを込めて贈られた千羽鶴を
オフィスにいつも飾り、大切にされていました。

皆さんと共に、リソさんのご冥福をお祈りし、
感謝の気持ちを捧げたいと思います。
また、ご遺族に加え、長年、リソさんと共に
執筆やワークショップなどのパートナーとして
活躍されてきたラス・ハドソンさん、研究所のスタッフなど、
身近な方々のためにもお祈りしたいと思います。

そして、皆さんと共に、リソさんが身をもって示した生き方---
自我を超えることをプレゼンス(今、ここ)において、意識的に選択すること
---にこれからも取り組み、エニアグラムの長い歴史を引き継いだリソさんの、
生涯をかけた人間の成長に対する情熱を、それぞれの場で、
これからの世界につないでいければと願っています。

最後に、研究所からの公式な発表はまだですが、
ラス・ハドソンさんからの個人的メッセージを下記に掲載させていただきます。

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皆さん

私の大切な「エッセンス・フレンド(本質の友)」であり、
エニアグラム研究所を共に創設したドン・リソが、
8月30日の午前2時7分に亡くなりました。

彼が光へ向かっていく最後の時に立ち会ったことは、深遠な体験となりました。
言うまでもなく、私はさまざまなことを今、感じています。
---あふれる涙と共に、彼が解放されたことを感じると、
深い平和と優しい気持ちの中にいます。

今は、私たちみんなが、自分自身やお互いのことに意識を向け、
私たちの中にある最良のものである愛に触れる時です。

皆さんのサポートに深く感謝すると共に、
私たちがこれからも目覚めの旅を続けられるよう、祈ります。

愛を込めて。

ラス・ハドソン 
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$心の羅針盤~ティム・マクリーンと高岡よし子によるブログ