前回のブログで、時々電話をかけてくる統合失調症の女性のことをお話したのですが、
20年近く前にティムが1~2回、カウンセリングをしてから、長いつきあいです。

年に数回、近況を聞いてあげるだけなのですが、毎回、彼女が電話を切る前に、
「また電話してもいいですか?」と丁寧に聞くのです。

彼女にとっては命綱のように聞こえるので、「いいよ」と私は答えています。

そんなに頻繁なことではなく、依存関係にはなりませんし、
負担が大きい訳でもありませんので。

短い時間であっても、話を聞いている間は、
できるだけ相手のために今、ここに「在る」ことが大事だと思います。

私自身も精神的に大変な状況になったら、自分のためにただそばに
いてくれる人のことをありがたいと思うでしょう。

プロセス指向心理学のアーノルド・ ミンデルと並びに代表的なセラピスト、
マックス・シュバックさんに聞いたことがありますが、
彼がひどい交通事故で病院に担ぎ込まれた時のこと。

もうろうとした意識状態の中でも、周囲の医師たちがあわてているのがわかりました。
ただひとりを除いて。ひとりの医師が、マックスさんのためにしっかりと
その場に存在してくれていたのを感じたそうです。

私とティムは、末期の方の在宅ケアに関わったり、
精神的に混乱状態に陥っている方々の援助をしたことがありますが、
一番大切なのは、ただしっかりと相手のためにいることだといつも感じます。

こうした状況は特別かもしれませんが、でも日常でも大切なことの
濃縮した表れともいえます。

ただ「在ること(being)」はシンプルなことですが、意外と見過ごされがちです。

何かを「すること(doing)」に走りやすいからです。


$心の羅針盤~ティム・マクリーンと高岡よし子によるブログ-修善寺の竹林