「成長」というものは、死と再生のプロセスともいえます。
私たちが誕生した瞬間からそうです。

胎児としての自分が「死」を迎え、呼吸によって再生します。
「死」というのは、必ずしも大げさな表現ではありません。
胎児は陣痛のプロセスを通じて、「死」にも等しい苦痛を体験するからです。

子宮の羊水に浮かんでいたところで、陣痛の開始によって子宮が収縮し、
へその緒によって母親から送られていた栄養や酸素が断続的になります。

子宮口が閉じている状態も苦しいですが、開くと同時に、
狭い産道をくぐり抜けていくのも大変困難なことです。
ストレスホルモン(ACTH)の量でいえば、
成人がもっともストレスを受ける状態で分泌されるACTHの9倍の量を
胎児は分泌するそうです。

そして子供が育っていく過程でも、成長のためには
死と再生のプロセスがついて回ります。

たとえば幼稚園から卒園し、小学生になること。
小学生が中学生になり、中学生が高校生になり、
高校生が大学生になること。そして就職すること。
結婚すること。引っ越すこと。仕事を失ったり、
変えること。大事な人と別れること、離婚すること等々。

それぞれの段階で、自分の古いアイデンティティが死に、
新しいアイデンティティが生まれます。

たとえば幼稚園児だった子供が、卒園式を経て、
初めて小学校に登校する日。
幼稚園児というアイデンティティが死に、
小学生という新しいアイデンティティを生きるようになるのです。

理性では忘れがちですが、
その時々の自分にとっては、アイデンティティの変化が
大事件なのです。

アイデンティティの転換をうまく受け入れることができないと、
精神的な問題を抱えることになります。

このように、人は死と再生を繰り返しながら、成長していきます。
そうしたプロセスをしっかりと自覚し、
ごまかしたり、逃げたりしないことが、成長のためには重要です。


「自己成長」についてのエニアグラムのワークショップはこちら


$心の羅針盤~ティム・マクリーンと高岡よし子によるブログ-春の海