安倍首相が集団的自衛権の閣議決定をリードしました。
国会周辺では大規模な抗議活動が展開され、国民世論も半分容認、半分反対という状況です。
「何かあってからでは遅いので身を守るのは必要」という若者の意見や
「アメリカ追従路線で来たのだから、ここはアメリカに従うべき」という若いビジネスマンの意見がテレビで放映されていました。
反対意見は「二度と戦争に巻き込まれたくない」「私たちの責任でそうした流れを阻止したい」という比較的高齢な人の意見に集約されます。
私は4月のオバマ大統領訪日の際のオバマ大統領の「寿司4貫食べ残し」に込められた意味を当時から集団的自衛権問題と絡めて感じていましたが、安倍総理が6月4日のブリッュセル・サミット以来、非常に急いでいたとの報道があり、外交上の理由から集団的自衛権問題を早期に決着させたかったのだろうと思います(それ以外に考えられませんよね)。
なぜ急ぐのか?
それは来年の統一地方選挙が一つ。
再来年の参議院選挙が一つ。
でも、
もっと急ぐ理由は11月のアメリカ中間選挙があるからでしょう。
アメリカは今般の集団的自衛権閣議決定で、日本の人、モノ、金で極東防衛問題を考えることができるようになります。
それは財政上、歓迎したいことだろうと思います。
財政といえば米国債ファイナンスに頼るアメリカですが、極東の防衛問題の核はなんといっても中国の動向です。
その中国はアメリカのファイナンスには欠かすことのできない上客ですから、直接的にぶつかることは避けたいのは自明です。
しかし、中国の防衛力には目を見張るものがあり、けして侮れません。
そこに抑えとして日本の集団的自衛権が台頭してくれば、抑止力とすることができます。
だから、アメリカは日本の集団的自衛権は大歓迎なのです。
飴と鞭作戦があるとするなら、どんなご褒美が与えられるのでしょうか。
外国人の日本株買い復活という飴でしょうか。
幸いというべきか、日経平均株価は集団的自衛権問題で下げてはいません。
株式市場にとっては「防衛」という新たな需要喚起が図られたので、プラス材料ととらえることもできそうです。
ただ、日本に住む「民」として今回の集団的自衛権は言葉の解釈でいかようにも変幻自在な点が気がかりです。
積極的平和主義とか集団的自衛権など、言葉の解釈次第でいかようにもなる事柄には細心の「取扱注意事項」が必要です。
積極的+自衛権なら相手が身構えたら、なぎ倒すのかもしれないのですし、
平和主義とはいうけれど、非平和主義なものを見つけて平和主義に押し戻す時、武力を使わないという保証はないとも読み解ける。
論客がここはきっちり、切り込むべき場面ですが、見回してみると日本人にそのような論客はいないですよね。与野党にも学者にも。
なぜか?
みんな出世して、勲章や政府委員などの地位が欲しいから、余計なことは言わないわけです。
効率的人間というか、
一億総コスパ人間の道を選んでいるわけで、効率の悪いことに首を突っ込みたくないのです。
そういうことを企業には無くすべく、社外取締役を投入させようという潮流の中、政府には御意見番がいないのは皮肉ではあります。
追記
大江健三郎さんが立ち上がりました。NHKのニュース(リンク切れの際はご容赦くださいね)
大江さんはノーベル賞作家。
このように国際的に力のある著名人が活動することは大きな意義があります。モニタリングを続けるというスタンスをとる「民」の一人として関心を払いたい事柄です。
集団的自衛権に当然、反発する国はあるわけで、9~10月にかけては11月のアメリカ中間選挙と日本の集団的自衛権問題に影響する事柄が起こる可能性があると私は見ています。
株式市場の先行きについては7月9日東京・武蔵小杉のあかつき証券でのセミナー でお話しいたします。
場が引けてからのスタートになります。
奮ってご参加くださいね!