久しぶりの「アプトプロ養成所」

 

7月に肺炎に罹患したとき、

アプトプロ養成所のレッスン開始が間近に迫っていました。

今回は担当できなくなると思い、

申し訳ない気持ちを伝えようと、担当の「キミヒロさん」にメールをしたところ、

なんとお礼を言ってよいかわからないほどの対応をしてくださいました。

 

私の授業を全体的に2か月ほど後ろにずらして、

レッスンの全工程を行えるようにスケジュールを組み直してくれたのです。

キミヒロさん、本当に本当にありがとうございました。

 

因みに「キミヒロさん」は、生徒一人一人をしっかりと観察しているだけでなく、

生徒の悩みを聞いたり、励ましたり、

不健康な生活をしていると知ると、きちんとした食事をとるようアドバイスしたりと、

皆の頼りになる「お兄さん」です。

その姿勢はいつも変わりません。どんな生徒にも同じ姿勢で接していらっしゃる。

そこが凄いのです。

試験を受けて「預かり」になれなかった生徒でも、

キミヒロさんを慕って、時々連絡をくれたりするそうです。

そういう方は、あまりいませんよね。

稀有な方だと、私は思っています。

 

木曜日。

ずらして頂いたレッスンの初日。

以前のブログにも記したと記憶していますが、

アプトプロ養成所で生徒たちを指導するときに使う教材は、

芥川龍之介の「藪の中」。

登場人物は全部で7人。

「木樵り」、「旅法師」、「放免」、「媼」、「多襄丸」、「清水寺に来れる女」、「巫女」。

 

この作品は大学卒業後、私が30年温めていたもので、

2009年に銀座にあった小劇場で、30年ぶりに一人芝居をさせていただいた作品です。

覚悟がいりましたが、すべての役を一人で演じてみました。

 

ですので思い入れがあります。

2009年の公演が終ってからも、この作品に登場する人物の役作りはまだ続いていて、

家で自主稽古をしながら、再考、再考を繰り返し、

公演当初よりも人物像が変化しています。

表現もまた、微妙に変化。

 

私にとって「藪の中」は、魔物です。

私はその魔物に取りつかれています。(笑)

 

「藪の中」の登場人物のセリフの一つ一つを細かく分析していくと、大げさかもしれませんが、

エゴ、狡猾さ、素朴さ、弱さ、欺瞞、傲慢さ、自己弁護、自己陶酔、憎しみ、嫌悪、怒り、悲しみ、

苦痛、自暴自棄や、心が折れてしまった時に人はどのように豹変してしまうか等々、

人間が持つあらゆる要素、資質が、言葉一つ一つの中に凝縮されているような気がします。

この作品に係わり、それぞれの役を演ずることで、

養成所の生徒たちが「人間を深く掘り下げる」ことを学び、

ただただ感情だけを表現するだけではない、もっと深いところに蠢く“何か”まで

表現できるようになってくれればと・・・、

そのために、いつもアプトプロの養成所では「藪の中」を演じてもらっています。

 

けれど、ちょっとフェイントをかけ、いつも初日の最初にすることは、「エチュード」。

 

一人で舞台に立ち、どんなことをしても良いから、皆を『笑わせる』という訓練です。

内輪受けはご法度。表現者として、皆を笑わせなければなりません。

 

このエチュードは、私が演劇科にいた時に、「マイム」という授業で何度もやらされました。

それが、とても、とても辛いのです。

 

さて、続きは次回。

 

今日はオフでしたので、赤坂見附の豊川稲荷に行き、

私の友人夫婦のためにご祈祷をしてもらいました。

お札をいただいてきましたが、お二人とも忙しい方で、

なかなか直接にお渡しすることが出来ないので、お送りするつもりです。

 

豊川稲荷は「商売繁盛」の祈願をなさる方が多いのですが、

もう一つ「芸道精進」にご利益がありとのことで、

歌舞伎役者さんなど、芸道に進んでいらっしゃる方々が祈願をなさっています。

私は毎年1月に、ご祈祷をしていただいています。

努力は自分でしなければならないのですが、

ご祈祷をしていただいているその時間、心が静まり、気持ちも引き締まります。

そして、疲れ切っていても、祈祷をしていただくと、不思議に元気になります。

 

今、私はとても元気!(目がランラン・・・)

 

でも、明日のためにそろそろ寝なければ・・・。

皆さん、次回を楽しみに、おやすみなさい。

良い夢を見てくださいね。