『2019年8月 一年検診での喜び』

 

一昨日、整形外科で股関節の一年検診を受けてきました。

 

2010年の6月と10月。私は2度に分けて、右足、左足に人工股関節全置換術をしています。

病名は「特発性大腿骨頭壊死症」。

大腿骨の上部にある軟骨が腐っていくという病気で、潜伏期間は数年以上と言われています。

東京都が指定している原因不明の難病でした。

 

けれど、整形外科の技術的な進歩は目覚ましく、

私は人工股関節全置換術によって、外見、まったく健常者と変わらない歩行が今、できています。

日常生活も何不自由なく営めています。

 

杖なしでは歩けなかった時を思い出すと、ごく普通に歩けることの何と幸せなことか…。

 

私は、術後7年経ってから、主治医に「合氣道を習ってもよい」というお墨付きを頂いていました。

昨年の事です。

とてもうれしい。叫びたくなるほど、うれしいことでした。

(だって、ずっと前から習いたかったのですもの音譜

 

合氣道の初級に、「正座の統一」という動きがあります。

立位から、臍下の一点に心を静めて正座をし、再び立ち上がるという動き。

ところが、立ち上がる時にどうしてもふらつく。

臍下の一点から意識がずれてしまう。

お尻を突き出したような体勢でしか立ち上がれない。

それは、正しい流れの動きではありません。

 

立ち上がる時に一番重要な筋肉は「大腿四頭筋」だといわれています。

これを鍛えるには、スクワットが一番だということは知っていました。

けれど、手術当初、してはいけない動作の中に「スクワット」が含まれていました。

また、訓練のための階段の昇り降りもしてはいけないと…。

器具の一部の摩耗が激しくなるのだそうです。

そして、転ぶと骨折するので、絶対に転ばないように気を付けてくださいとも言われていました。

 

立ち上がる時の筋肉を鍛えるには、スクワット以外にどんなものがあるのだろうと、

私はリハビリの専門書を読んでみたのですが、そこには私のような軽快な状態に適した運動がなく、

やや重い状態の患者さんへのリハビリしか説明されていませんでした。

(「ER 緊急救命室」のレギュラーだったころ、とても興味深かったので、医学専門書など、

楽しみながら読んでいました。懐かしい

 

そこで、一昨日の検診日、直接先生に尋ねてみた。

「スロースクワット」というのだろうか・・・。

プロレスラーのハードな訓練方法とは異なるスクワットをしたら良い、

とおっしゃってくださいました。

 

両足を肩幅と同じに開き、背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと腰を下げていく。

ちょうど、椅子に腰かけるような体勢にまで腰を下げたら、そこからゆっくりと立位に戻す。

というスクワットでした。

意外とキツイ…。

人工股関節の部品の摩耗が速いのでは?との私の質問に、先生はおおらかに、

「摩耗したら取り換えればいい」

(先生のおおらかさには確固たる自信があり、何度も気持ち的に救われています)

 

私は「キャハッ」と、笑ってしまいました。

ほんとうにそうです。

まるでオートバイや車の『パーツ』を取り換えるような感じ。

 

そう、チタンの人工股関節は、私にとっては「パーツ」なのです。

でも、このパーツによって、私は何不自由なく動いていられます。

パーツはもう、私の本当の骨になっているようです。

愛しい、愛しい私の骨・・・(私、変かしら?)

 

今回の8年目の検診で、このパーツは、術後とほとんど変わらず、

しっかりと骨盤に収まっているのがはっきりとわかりました。

不具合は、全く、見当たらない。

先生も「きれいに入っているなぁ」と、ご自身でも満足の様子。

 

実は先生、いわゆる股関節のエキスパート、「神の手」の一人だったのです、(存じ上げずにごめんなさい)

 

私の体の中では、不思議なことに、骨盤にネジで止めてある金属の受け皿の部分を、

私の骨が、自分の骨にするんだ!と、取り込もうとしているのが見えました。

人間の体はすごい。

異物を自分のものにしようとする力を持っているのですね。

 

スロースクワット、OK。

これで「大腿四頭筋」を鍛えて「正座の統一」ができる。

うれしい。

とっても、とっても嬉しい。

 

今日からスロースクワットをしようと思っています。

私は「これだ」と思うとガムシャラになってしまうタイプなので、今回は『自分の年齢』を考慮して、

少しずつ、少しずつやって行こうと思います。

 

愚かなことに、時々私、自分の年齢を忘れてしまうので、気を付けなければ(笑)

 

子供のころ私は、お転婆を通り越して、「山猿」と言われるほど、機敏で、運動神経が発達した子でした。

想像できないでしょ?

人は見かけによらぬもの、なのです。

 

今日も、朝、5時に起き、7キロを歩いてきました。

気持ちの良い朝です。

これから私の恋人、雄のセキセイインコの“ピジュ”を起こします。

隣の部屋から、「出して~!」という声が聞こえます。

この子がいることによって、私は救われ、

幸せな気持ちになります。

素敵な子です。