久々に🇨🇳中国ドラマを完走したので、忘れないうちにレビューを書いてみます。注意ネタバレも含みますので、知りたくない方は退出して下さい。


日本語タイトルは「王の後宮」、中国語では「后宫」(後宮の意味)です。舞台は明朝の成化帝の後宮です。




【主要人物】



安以軒(アン・アン)演じる李紫雲(邵春華)。元は官吏の娘だったのですが、生まれる前に父親が処刑され、お金持ちのお嬢様に拾われ侍女となり、そのお嬢様が宮女に選ばれたのでお嬢様の身代わりで邵春華として宮女に。(ややこしいので以降名前は春華とします)(明朝の宮女は一旦入ると死ぬまで後宮で仕えないといけなかった?よくドラマで見た清朝の宮女は年季が明けたら外に出られて結婚もできたけれど…キョロキョロ)そこで彼女はイジメや陰謀に耐えながら生き抜くというストーリーです。音楽の才能があった彼女は、宮女から選抜試験を経て宮廷楽士になります。




馮紹峰(ウィリアム・フォン)演じる楊勇。兄と共に科挙の試験を受けるために上京したものの、兄が陰謀に巻き込まれて惨殺されると自暴自棄に…えーんたまたま酒場で演奏した世にも悲しい曲が都で有名になり、推薦されて宮廷楽士になります。




こちらは、成化帝(左)とその生母の周太后(右)。彼らは悪い人じゃないんだけどねぇ~。皇帝はまだ若くて頼りない感じ。周太后は皇帝の生母という立場で後宮の実質的なトップに君臨。



銭太后。先帝の皇后でしたが、子供がなく、後宮では実質ナンバー2。外戚の潘大人と画策して潘大人の養女を後宮に入れます。


こちらは、皇帝よりも19歳も年上ながらびっくりその寵愛を一身に受ける万貴妃。貫禄たっぷりです。笑い泣き自らの地位を維持するためには手段も選ばず、ほかの側室が妊娠すると裏で墮胎させたりもします。ガーンただ、皇太后が二人とも健在なので後宮ではナンバー3。(成化帝の皇后はすぐに廃されたため)


こちらは元々万貴妃に仕えていた宦官、汪直。皇帝の信任を得て西廠という特務機関のトップに立ちます。この男、浮浪者だった時に春華に助けられていて、その経験が後々のストーリーを左右させます。彼も自らの地位のためには手段を選ばず、無辜の民を死に追いやります。



こちらが本物の邵春華。入れ替わった後、彼女も色々あって、潘大人の養女となり邵清姿と名乗り、貴族の娘として舞踊や絵画や囲碁など一流の先生に学びます。銭太后の推薦により、半ば嫌々後宮に「淑女」として入ります。(淑女は側室の候補者)しばらくの間は皇帝からは見向きもされなかったものの、セクシーダンス💃🏻で皇帝を誘惑してチュー賢妃となります。






柏含香。元は浣衣局の官婢(父親が罪人で奴婢にされた)で春華とは幼馴染み。彼女も音楽の才能があり、難関の選抜試験を突破して宮廷楽士になりました。後に成化帝に見初められ宸妃となります。

ここで視聴者は一つ疑問が湧くのではないでしょうか?🤔彼女は奴婢なのに何故楽器の演奏ができるのか?これは、彼女の父親も官吏だったということにヒントがありそうです。春華は母親が音楽に長けた人でした。昔も今も、音楽をやるには楽器が必要で、独学では難しいので先生につく必要もあります。となるとお金に余裕がないと子供に音楽を学ばせることもできません。春華の母親も裕福な家から官吏に嫁いだのでしょう。そして、含香の家庭も娘に音楽を学ばせるくらいには裕福だったと思われます。



凌七巧。凌司正の姪。おばが司正という管理職ということを鼻にかけてやりたい放題をやらかします。度々失敗して失脚しますが、ドラマ終盤までしぶとく居座ります。笑い泣き万貴妃を利用するつもりだったのだろうけれど、結局は利用されていただけでした。


【見どころ】


①春華&楊勇
宮廷楽士となった二人。本来は男班と女班に分かれて活動していますが、男女一緒に演奏する機会がありお互い意識し始めます。しかし宮女との恋愛はご法度。音楽を通して交流するしかない二人。悲しい(女の宮廷楽士は宮女というのが悲劇だよなぁ)時々、楽譜の図書館みたいな所で密会したり、楊勇が壊れた琵琶を修理してあげたりします。口笛



②春華&汪直
意外なカップル誕生!びっくり春華は覚えてなかったものの、汪直は彼女の恩を忘れていませんでした。春華が計略にはまり牢に入れられた所を二度も助けます。一度目は自らが管理する西廠の牢だったのであっさり開放できましたが、二度目は彼の手にも負えない状況に…ショボーンそこで彼は最後の手段を使います。皇帝に願い出て、春華を「対食」として娶ることに!びっくり

結婚後の彼は、春華に対しては常に紳士的でした。西廠の自分の書斎を春華の部屋にして、今まで通り宮廷楽士としての仕事は続けさせてくれました。



春華の誕生日には、彼女を宦官に扮装させて宮殿の外ヘ連れ出し、私邸で豪華な衣装に着替えさせ、町で買い物したりご馳走を食べさせたり。春華を娶ったのも助けるためで、いずれ皇帝にまた願い出て「対食」の身分を取り消してもらう、と言っています。実は春華の両親にも助けられたのに、お金のために父親の居場所を役人に告げた極悪人なのだけれど、春華に対してはいい人なんだよなぁ。そして彼は実はニセ宦官だったことも後に判明。ということは、春華に対しては純粋に恋愛感情を抱き続けていた、ということなんでしょうね。

ここで「対食」について解説。
元々は、漢朝の時代から見られる宮女と宮女の間の同性愛のことだったようです。(元祖百合👩‍❤️‍👩の世界がここに!ラブ)年頃の少女が恋することも禁じられ、皇帝に見初められることもなければ、女同士で慰め合うようになるのは仕方ないかもしれませんね。後の時代、「対食」は宦官と宮女の関係にも使われるようになりました。私が昔見た清朝のドラマでも、宦官と宮女が皇帝の命によって結婚していました。宦官は子供を作ることはできないけれど、確か養子を迎えることはできたはず…(有名なところでは曹操の父親は宦官の養子だった)そうすると疑似夫婦とは言えそれなりに幸せな家庭を築くことはできたのかもしれませんね。照れ



③成化帝&万貴妃
万貴妃は元々宮女で、皇子時代の成化帝に仕えていました。親子ほど年の離れた宮女に恋した成化帝ってどんだけ熟女好きなんだ!驚きでも腹黒の万貴妃も成化帝には忠実なんだよなぁ。彼らの愛には嘘はなさそう。



④楊勇&袁放
袁放(右)は元官吏。楊勇とは古くからの知り合いで、楊勇の兄が亡くなってからは兄貴代わりの存在。武芸も優れていて、官吏を辞めてからは正義の味方として鉄仮面を被り暗躍します。潘大人とも縁故があり、潘邸で見かけた清姿に一目惚れ。清姿が入宮すると落胆しますが、密かに想い続けます。(この辺りは楊勇ともシンクロ)

※私は中国語版で見たので官職名とかは日本語版とは違うかもしれません。ちなみに宮廷楽士は中国語では「楽工」と言っていました。

【まとめ】
後宮が舞台ではありますが、前半は宮女同士の争い、中盤は宮女と后妃の争い、後半は各々が各々の道を求めて彷徨う、という感じでした。終盤で主要人物が次々と亡くなったり、無辜の民を救いたいという楊勇と袁放の願いも結局果たすことができず残念でした。ただ良かったのは、春華と楊勇が奏でるメロディーが全般通してずっと流れていて、それがどこか悲しげで切なくて印象的でした。主題歌ではなく、純粋に音楽を聞かせるドラマだと思いました。ニヤリ