楽しかったこと


嬉しかったこと


幸せだったこと



あの人との思い出は


陽の光のように輝くのに


なぜかけぶっている。



霞の向こうに見え隠れする記憶は


つかめそうでつかめない蜃気楼。



記憶の改ざんなのか


儚い妄想なのか


そもそも存在しなかったのか。



遠のく彼の心と比例して


思い出は化学反応を起こし


霞から雲海へと進化する。



思い出のままで在ることすら


許されることなく。


★上羽絵惣・胡粉ネイル

 『金霞み』