かつて東京ジョイポリスにあった体感型シューティングアトラクション「ロストワールド・スペシャル」。ネット上にあまり情報がなかったので、自分の記憶がまだ残っているうちにこのメモを残したいと思います。

〇概要
大ヒット映画「ロストワールド」(「ジュラシックパーク」の続編)をモチーフにしたガンシューティングゲーム『ロストワールド』が1997年7月頃?に稼働。そのアトラクション版として、『ロストワールド・スペシャル』が開発され、同年9月頃より当時新宿のタイムズスクエアにあった「新宿ジョイポリス」にて稼働されました。その後、全国各地のセガ系列のゲームセンター等にて稼働を開始し、正確な日時は不明ですが1998年1月までには東京ジョイポリスでも稼働、現在の2ndフロアにて営業しておりました。

ゲーム詳細の解説

YouTubeプレイ動画

 

 

・「ロストワールド・スペシャル」の筐体

 

「ロストワールド・スペシャル」の特徴は、
・個室内にて大型モニターで重低音あるサウンドシステムにてゲームをプレイ
・座席が左右に動き、ゲームシーンに合わせて稼働する
・特定のイベントシーンや恐竜からダメージを受けた際などに、エアーが噴出される
・座席には1つボタンが付いており、イベントシーンにて使用
・ゲームシステムとしての違いは、銃の弾のリロードが無くなっている(弾切れ等なし)。ライフはゲージ制になっていてダメージを受けると減少、0になるとゲームオーバー(アトラクション終了)。なお、ライフの回復手段はなし。また、銃はアーケードとは違い「内部ブローバック式」になっていて、重量があって撃つ度に反動がくるようになっていました。

そして、ステージの構成がオリジナル。アーケードのステージ構成をアトラクション用に編集しており、単なる"アーケードゲームを体感的にやるアトラクション"ではなくなっています。因みに、実はストーリーも異なり、アーケードは「映画本編の前日弾」なのに対して、スペシャルは「映画本編そのものをなぞる」形に。

・(ざっくりとした)ストーリー
孤島に作られた、遺伝子科学で恐竜を現代に蘇らせた夢のテーマパーク「ジュラシックパーク」。だが、様々なイレギュラーな事態から恐竜たちは暴走、計画は破綻しジュラシックパークは開園できず、人間の管理の手を離れて恐竜たちは活動・繁殖を始めてしまう。(ここまでが前作「ジュラシックパーク」の話)

それからしばらくして、ジュラシックパーク再建を目指す企業は、手始めにPRとしてアメリカ本土で恐竜の展示イベントを行い、その目玉として「ティラノサウルス」の子供を捕獲しようとする。だが、派遣されたハンター達に、恐竜たちが襲いかかる・・・。

※各キャプチャー画面はアーケード版より
〇ステージ1「トレーラー」
アーケードで元になったステージ:ステージ5(前半)

ステージ1だけではないが、ステージ開始時には座席がモニター後ろを向き、暗闇で恐竜の鳴き声などが聞こえる。そうした緊迫した雰囲気で勢いよく座席がモニター側に横回転し、ゲームがスタートします。


ステージ1ではいきなり中型肉食恐竜3体が向かってくるなか、トレーラー外に「ティラノサウルス」(上記の子供ティラノサウスルの母親で、捕獲された子供を取り返そうとしている。主人公も「ママを怒らせた」と言っている)がガラスを突き破って頭を出してくる(この時にエアーが噴出される)、部品を食いちぎって飛ばしてくるなど攻撃してきます。最初のステージだけあって短く、難易度は低め。


このステージは元のアーケードでは最終ステージのステージ5の前半にあたります。また、次のステージ2は2種類あり、どちらにするか選べます。


〇ステージ2A「ジャングル」
アーケードで元になったステージ:ステージ1

ジャングルを進むルート。最初、エリマキトカゲのような恐竜「ディロフォサウルス」が大量に現れて次々と毒を吐いてくるという、元のアーケードでも最大級の難所と言われたシーンがあります。

 

その後はピラニアのように死骸に群がる小型恐竜や、遠くから走ってくる中型恐竜などを退治。最後はステージ1でも出てきた、ティラノサウルス(母親)がボスとして待ち構えています。


なお、2人プレイ時の時、ボス戦にてどちらかのプレイヤーが恐竜に咥えられることがあり、その時は咥えられた方のプレイヤーは銃が使えないので、その代わりに座席にあるボタンを連打することで、ダメージを受けるまでの時間を延ばすことができ、もう一方のプレイヤーが丸いサイトを時間内に撃つことで、上手くいけばダメージを受けずに済みます。



こちらはアーケードのステージ1を一部カットして構成されており、ボスはほぼアーケードの構成のままなど、比較的元のゲームに忠実。なお、ボスのティラノサウルスが登場するシーンでは、アーケードでは車の荷台のハンターが食べられてしまいますが、スペシャルではそのシーンが無くなった代わりにハンター達が全速力で逃げる、1人が転んでしまいティラノサウルスに踏み潰されるシーンが追加されています。

 

余談ですが、最初に現れる男性の頭に銃を向ける(標準を合わせる)とエアー噴出と共に「危ねぇじゃねえか!なに笑ってるだ、クソッタレ!」というリアクションが見れます(特に意味はない)。股間に合わせていると「おいおい、そんなとこ見ないでくれよ・・・」と恥ずかしがる別のリアクションも。どちらもアーケードには無かった演出。



〇ステージ2B「湖畔」
アーケードで元になったステージ:ステージ2

湖畔へ続く道を進むルート。序盤は草陰から猛スピードで襲い掛かってくる中型恐竜、そして大量の数で頭突きをしながら向かってくる「パキケファロサウルス」(しかも2発撃たないと倒せない)など、上記のステージ2Aと同等かそれ以上の難所が続きます。

 

ボスは湖畔にて、白亜紀に絶滅したとされる超巨大ワニ「ディノスクス」。水辺から現れて攻撃判定があるまでが短く、かなり強い。



こちらもアーケードのステージ2を一部カットした構成。なお、アーケードではバイクに乗ったハンターが恐竜に襲われているのを助けるシーンがありましたがスペシャルではなく、その代わりに上記の「パキケファロサウルス」のシーン前にてバイクごと飛ばされてしまうシーンが追加されています。


〇ステージ3「島からの脱出」
アーケードで元になったステージ:ステージ4

研究所棟についたハンター達は、救助に来たヘリにて島(ジュラシックパーク)から脱出。序盤の中型恐竜を退けたあと、ヘリのフックに"1発で"命中させるイベントシーンがあります。チャンスは3回で、3回失敗するか制限時間が過ぎると、無情にもヘリは行ってしまい、そこでゲームオーバーになります。

 

見事命中させた後は、空を飛ぶ翼竜「プテラノドン」が襲ってくる。


ヘリ(アーケードではドームの柱)に1発で命中させるシーンは、元のアーケードでは失敗しても大きなペナルティはなかった(ちなみにそのペナルティが、スペシャルにて序盤に襲ってくる中型恐竜の追加になっている)のですが、スペシャルでは上記のよう、チャンスが3回になった代わりに失敗するとゲームオーバーという極めて重要なイベントになっています(当時のジョイポリスガイドマップでは「最も難しい場面」と書かれていた)。


このステージをクリアすると、当初の計画通り捕獲したティラノサウスルの子供を連れ、主人公含むハンター達はアメリカ本土に帰還することになります。しかし・・・

〇ステージ4(最終)「炎上のサンディエゴ」
アーケードで元になったステージ:ステージ5(後半)

恐竜たちを輸送する船の中に、なぜか子供ティラノサウルスの父親が紛れており、アメリカ本土に到着し街(サンディエゴ)で大暴れ!主人公たちは子供ティラノサウルスを囮に、父親を輸送船のコンテナまで連れて行こうと奮闘する。

最終ステージは全編ボスであるティラノサウルスの父親との対戦になります。最初の追いかけてくるシーンを越えたあとは、何回も襲ってくる父親と対決しなければなりません。また、ここでもステージ2Aと同様に2人プレイでは恐竜に咥えられるイベントがあります。



元のアーケードのステージ5後半を元に構成されていますが、「アメリカ本土で恐竜が暴走する」という設定は完全に「スペシャル」でのオリジナル(原作の映画のラストシーンと同じ)であり、背景がそれに合わせて変えられています(恐竜のパターンも一部が変更、省略されているなどしている)。また、BGMはアーケードでも評価の高かった、ステージ4のボス戦でのものが使われています。

根気よくティラノサウルスにダメージを与え続けると、なぜかふいにティラノサウスルはどこかに去ってしまい、その隙に主人公達は船のコンテナに子供ティラノサウルスを入れる。そして正面から建物を突き破り、ティラノサウルスが真っ直ぐコンテナの中に向かってきます。

 

アーケードではここで一定以上のダメージを与える事でティラノサウスルを倒す事ができ、エンディングとなりますが、「スペシャル」ではこのシーンでいくら攻撃しても倒すことはできず、コンテナの中に入れるまでのイベント&撃つたびに得点は入るので、得点を稼げるボーナスシーンになっています。

ティラノサウルスの父親が子供の元へ、コンテナ内に入ったら大詰め。「ボタン連打で扉を閉めろ!」と出て、制限時間約1分の内に一定数まで座席にあるボタンを連打します。1人プレイでは上記の「恐竜に咥えられる」イベントが起きない、つまりボタンを使うシーンがないため、最初で最後、唯一のボタンを使用するシーン。

見事、時間内に一定以上ボタンを押せればファンファーレと共に画面に「SUCCESS!」と表示され、ゲームクリアです!


と、言いたいところですが、その後に「サイトを撃て!」と表示され、ティラノサウスルに丸いサイトが・・・


これを撃つことで(時間内に撃つ必要があって、外さず1発で撃つ必要はない)、ついにティラノサウスルは倒れ、本当にゲームクリアになります。
(時間が過ぎれば、ティラノサウルスはコンテナの扉を突き破ってこちらに襲ってきて、失敗になります。)

 

エンディングではプレイヤーの腕前がAからDで評価され、最後にプレイヤー同士の相性の評価が出ます(これはゲームクリアでなくても行われる)。なお、1人プレイでも何故か相性評価は出て、しかも相性「0.0%」となり、「決別まであと僅か -敵は恐竜ではなく隣の人です-」となる・・・。



〇その後の展開
最初に稼働をした新宿ジョイポリスでは、2000年8月末の同所閉館と共に撤去、その他のゲームセンター等でも徐々に稼働を減らしてきました。東京ジョイポリスでは2006年6月頃まで稼働し、後述の後継機「ハウス・オブ・ザ・デッド4 スペシャル」(2006年7月~)と入れ替わる形で営業終了。

比較的最近まで稼働していたのが、北海道にある遊園地「ルスツリゾート」で、2011年に自分が同所を訪れた時には稼働しており実際にプレイもしました。そこも、現在は稼働を終了しております(2017年頃には撤去されたという情報あり)。

つまり、現在稼働している場所はなく、これからのプレイは非常に困難というか、ほぼ不可能です。なお、元のアーケードゲームは僅かですが現在でも遊べる場所があるようです。

本作の後継機として、「ハウス・オブ・ザ・デッド4」を元にした「ハウス・オブ・ザ・デッド4 スペシャル」が2006年7月に、これと同じシステムで「レッツゴー・ジャングル スペシャル」が2007年7月に東京ジョイポリス等で稼働しました(現在はどちらも終了)。ロストワールドでは1つだったモニターが前後に2つになり、座席の稼働範囲もアップするなど演出がより華やかに。ただ、エアーの噴出がモニター側からライド側になったことで、噴出威力が下がってしまったという面もあります。

2020年には「ハウス・オブ・ザ・デッド スカーレットドーン the attraction」が東京ジョイポリスで稼働を開始しましたが、こちらはこれまでとは趣向が異なっており、厳密には後継機とは言えないかもしれません。