今年2021年7月21日にリニューアルした、富士急ハイランドの「戦慄迷宮」を、遅れながら体験してきました。

 

前回(2018年7月~)の「絶凶・戦慄迷宮 ~収容病棟編~」から3年ぶりのリニューアルとなり、今回は「株式会社闇」がプレショー映像や演出協力を行なっています。「原点回帰」をテーマに、本来の廃病院の恐怖を重点に置いた演出構成をしているようです。

音響などには某大手企業S社が関わっているらしい。

 

入口の様子は大きく変わっていませんが、これまで院内にあった救急車が玄関脇に設置。

 

「収容病棟編」では玄関からでなく、隣の救急入口から中へ入っていましたが(玄関が出口になっていた)、今回は再び玄関から入る形に戻りました。

 

中に入ると、同じく収容病棟編で廃止されていた「待合ロビー」が復活。ここで長椅子に座って、正面のスクリーンで注意事項の映像を見ます。映像は最後ちょっとした脅かしはありますが、至って普通の注意事項読み上げ。

最後に「ハイッテ ハ イケナイ・・・」と出た後、右後ろの方から「ガシャン!」と何かが倒れる音がする。

 

その後、収容病棟編と同じく、個室に1組ずつ入って、プレショーの映像を見ます。上記の注意事項と、このプレショー映像は、前述のよう「株式会社闇」製作のもの。映像は病院内で発見されたスマートフォンに残っていた動画(という設定)で、どうやらここに肝試しにきた若者達の様子ですが・・・。

ネットで話題になっているというこの廃病院に肝試しにきた3人の若者達。彼らは気付いていないが、映像には所々に奇妙な人影が映っている。そして1人が突然消えてしまい、さらにもう1人が謎の人影に奥へ引き摺られるなどの怪現象が発生。そして2人は奥の流し場で死体で見つかり、残った1人にも、怪しい影が迫る・・・。

 

所謂「ノンフィクションの恐怖映像」風の映像ですが、はっきり言って怖くない。本物風に使っても遊園地のアトラクションというシチュエーション的に明らかに偽物だと分かるので白けてしまう。これだったら、従来のフィクション風の映像の方が怖かった。ただし、これは昨今の「新型コロナウイルス」の感染拡大で医療及び医療従事者の活躍がピックアップされている状況で、「病院・医療の闇」といった演出はできないという事情もあるのかもしれない。

 

プレショー後は、ペンライトを渡され1組ずつ進みます。ルートは全て変更になっており、最初は機械室、続いて螺旋階段を上り、院長室へ。螺旋階段~院長室は収容病棟編では使われていなかった部分かも?(団体やテレビ撮影用のコースになっていたらしい?)

 

その先はお馴染みの病室やナースステーション、髪の毛だらけの細長い通路、死体洗い場、臓器保管庫など。髪の毛が風で動く仕掛けや、死体洗い場付近には大量のカラスがおり、一部はアニマトロクスでリアルに動く。プロジェクターで水面を映し出すなどの演出も追加されています。

なぜ病院にカラス?と思うかもしれませんが、実はこれ初期の設定にあった「廃病院に放置された死体の肉を食って、繁殖したカラスたち」。しかもコイツら、死体を食べた事で"血の味を覚えて"しまい、人間を餌と見なして襲ってくるとか・・・。

 

また、いくつか人形も追加されています。恐らくこれも株式会社闇のもの。何体か他とは明らかにテイストの違う人形がある事が分かります。

 

不気味な子供(人形)がたくさんいる小児科、新しく登場したリネン室(大した仕掛けはありませんが)、脇に人骨が埋め込まれた通路、肌寒い遺体安置所を進むと、前回の収容病棟編で登場したエレベーターが見える。ここで1組ずつ、間隔を空けてエレベーターに乗ります。

もう気付いた方もいるかもしれませんが、実は今回のルートは前回の収容病棟編のを、部分的に逆走している構成になっています。収容病棟の時はエレベーター→遺体安置所→人骨の通路だったのが分かりやすいかと。

 

また、後述の最後の部屋も、収容病棟編の一番最初の部屋で、そこを多少改装したものに。

 

エレベーターから降りると、ペンライト回収ボックスがあり、その先に螺旋階段、診察室、そして名物の「長い廊下」。長い廊下はお化けが後ろから追いかけてくると、通路の電気が消えて真っ暗になるようになってました。

実はこの螺旋階段→診療室→長い廊下は、戦慄迷宮(2003年7月~)一番最初のバージョーンの序盤のルートと同じ構成(診療所は当時倉庫だった)。製作側がどこまで意識しているか分かりませんが、こういったところにも「原点回帰」が現れているのかもしれません。

 

新しい部屋で、「和室の霊安室」が登場。脇に遺体が収められた棺がある。なお、ここに置いてある備品の一部は2021年5月に終了したアトラクション「無限廃坑」にあったもの、らしい。ロッカールームでは、バンバンと何かを叩く音が反響する仕掛けがありました。

 

そして最後の部屋は、上記のよう収容病棟編の一番最初の部屋を改装したもの。手術台の部分が死体が浮いたプールになっており、その脇を通って先に進むと、お化けが追いかけてきて出口まで逃げる事になります。

 

 

総評として、実際はそんなに大きく変わっている感じはなく、アクターによる脅かしは4ヵ所程で所要時間も30分くらいでしたので、以前ようなアクター総出演の激しい演出の戦慄迷宮は見る影も無いですが、テーマの「原点回帰」にもあるように、廃病院のヤバい雰囲気を色々な演出で、深く十分に堪能できると思います。全体的には今回は良いリニューアルなのかと。

 

脅かし自体からすれば普通のお化け屋敷並みですが、コースの長さから「いつ脅かしが来るか分からない怖さ」は健在です。

 

 

夜になると、一層不気味さを増します。