日本人Jリーガーでブラジル人選手を人種的に差別してるヤツなんて1人もいないと思う(尊敬こそすれ)。
日本で生活しているブラジル人選手も日常的に差別を感じていることはないと信じる(プロサッカー選手でなければまた違うのかもしれないが)。

だがもし、そうではなくて、レアンドロ選手が日頃から差別を感じていて、それが今回のことで噴出したのならそれこそ東京ヴェルディこそ差別の根絶に向けて努力すべきクラブということになる。

でも、そういうことじゃないよね。だって、ヴェルディって日本でもっともブラジル的なところじゃないですか。ラモスさんもいるし。

だから、レアンドロ選手が日頃から差別を感じていたなんてことはないと思う。
だとしたら、今回「チンパンジーと言われ激昂」というのは、日頃の背景など関係ない問題となる。

いわゆるNGワードというのがある。
さまざまな人種ごとに、これだけは言ってはいけない言葉というのがあるんだそうだ。例えば日本人なら「JAP」とか(日本人である私が自分で書くならいいんだよね?)。
そういうのってなんとなく知識では知っていても、実感は無いよね、日本で暮らしていると。

ブラジル人にとってその言葉がどれだけ苦痛な言葉なのかは、正直想像の範囲外なのだが、ダメなものはダメ。
こういうNGワードは、言った側の意識や背景などまったく関係なく、即アウト。相手の激昂は当然で、言った側は相応の報いを受ける、ということらしい。

怖いですねー。
でも、FIFAなどが進める人種差別撤廃運動とはまさにこういうことであって、知らなかったでは済まされないということ。
そこで、J各クラブは選手教育の一環でこうしたプログラムを行っているそうで、VF甲府でもつい先日そうした講習を行ったばかりなのだという。
さまざまな外国人との接触の多いプロサッカー選手には、まさに必要不可欠な知識だけに、よい取り組みと思う。まあ、その講習で「チンパンジー」が出てきたかどうかは知らないけど。

で、今回の問題。
レアンドロ選手は「言われた」、杉山選手は「言っていない」、双方の言い分が真っ向対立。
映像はあっても音声は残っていないし、杉山選手の口元が映っているものもない。
私も当日、味スタのメインスタンドから直接見ていただけど、なにがあったかまったくわからず。

「言った」ということ、「言っていない」ということ、どちらも本人による証明は無理。
ということで、その場にいた第三者の証言しか判断材料がない。
で、調査の結果、審判団及び両チームの選手にも発言を聞いたものがいないということから「処分なし」となった。
(リンク:共同通信時事通信

妥当なところでしょう。
特に両チーム、つまりヴェルディの選手の側からも、レアンドロ選手の証言を後押しするような証言がなかった、ということ。こんなの、ぶっちゃけウソついてもわからないわけだからね。
だから甲府の側としては「勝った」と思ってる。

ただ、甲府サポとしては、杉山選手への名誉のため100%の無実を証明したかった。
最初の報道では事実関係の確認もなしに甲府選手の実名報道がされたことに、甲府サポの1人として、多いに傷ついたからだ。クラブの名が、また愛する選手が、証拠もなしに汚されたと感じた。
だから、Jリーグの発表による「発言の確認はできなかった」というのも、本心では納得していない。

「発言はなかった」と言ってほしかったが、レアンドロ選手が「言われた」ということを信じているからには、これ以上のことは言えない。
それに、甲府サポとして無実を信じていたものの、異常な判断(長期の出場停止や勝ち点没収)がなされないとは限らない。
だから、Jリーグの結論には完全には納得していないものの、一応OK。この問題はこれで終了。明日の試合(仙台との大一番!)に備えよう、と気持ちを切り替えていた。

しかし……、7月25日(土)付けで東京ヴェルディから発表された内容を見て私は、怒りのあまり呆然としてしまった。

<---------以下、転載--------->

7/22(水)甲府戦での人種差別的発言問題に関して(7/25)

掲題の件に関する弊クラブの見解およびレアンドロ選手のコメントを下記の通り表明させて頂きますので、ご参照ください。

● 弊クラブ見解

「今回、弊クラブ所属のレアンドロ選手が訴えた7月22日(水)ヴァンフォーレ甲府戦での人種差別的発言問題に関して、Jリーグ及び関係各位の迅速な対応に感謝申し上げます。
しかしながら、そういった事実の確認に至らなかったことに関しては、非常に残念です。
人種差別(的言動)は、サッカー界のみならず、国際世論に照らしても到底看過し得る問題ではなく、今後、当方を含む各クラブはもとより、Jリーグ全体の最重要案件の一つとして、その根絶に向けて徹底した施策の実践を望むものです。
弊クラブとしましては、今後も選手教育の徹底とレアンドロ選手の心情の尊重をしていきたいと思います」

株式会社日本テレビフットボールクラブ
代表取締役社長  小湊 義房


● レアンドロ選手コメント

「今はとても悲しい気持ちでいっぱいです。高いレベルのリーグ戦においてこういう事は起きてはいけない事です。今は眠る事ができていませんし、自分の家族も心配してくれているし傷ついています。
こういう事が起こったからといって今までの自分の考えが変わる訳ではありませんし、これからも長く日本でプレーしたいと思っています。日本の人でもとても仲の良い選手、友達はたくさんいます。
サポーターの皆さんも悲しがっていると思いますが、いつも変わらず応援してくれる事に感謝しています。今はとても辛いですが、これを乗り越えてJ1に復帰できるようがんばっていきます。毎日ヴェルディでしっかりトレーニングをし、試合ではチームの勝利に貢献できるよう、これからも努力していきます」


<---------転載ここまで--------->

怒!
これはひどい。とうてい納得できる内容ではない!

Jリーグからの「人種差別発言は確認できなかった」という報告でこの問題には公に決着がついたものと認識していたのに、なぜそれに反するような発表をするのか?
東京ヴェルディから発表された内容は、もう一度穴を掘り返して、再度ヴァンフォーレ甲府サポーター、またクラブ、チーム、当該選手を深く傷つけるもの。

もちろん東京ヴェルディとしては所属選手を守るのは当然のことだ。
しかし、このように「人種差別発言はあったのにもみ消された」と言わんばかりの内容には、敵意すら感じる。

東京ヴェルディはいまだに自分達が被害者だと思っているようだが、もう違う。
この見解発表により、VF甲府(クラブ、選手、サポーターら)を傷つけつづける加害者になったと認識する。

Jリーグによって調査が行われ、結果が発表された以上、そこに属するものとしてはきちんと従うか、さもなくば出るとこに出て戦うかでしょう。
そのどちらもできずに中途半端な見解を発表するのは、いったいどんな意図あってのことなのか?

レアンドロ選手や現場へのご機嫌取り?(振り上げた拳の落としどころ無いだけでは?)

Jリーグ脱退への布石?(どうぞご自由に)

試合で負けたVF甲府への嫌がらせ?(そんなわけない。あんなにいい試合だったのに)


私は、東京ヴェルディのチームやサポーター、レアンドロ選手を貶めたり、傷つけたりする意図は一切ありません。
ただただ、このような発表を行った東京ヴェルディ・フロント、そして小湊義房代表取締役社長に対して抗議するものです。

「7/22(水)甲府戦での人種差別的発言問題に関して(7/25)」という見解発表は、即刻取り下げていただきたい。
そして、甲府のクラブに選手にサポーターに謝罪してほしい。

いずれにしても、このままで済む問題ではなくなったということだ。