このモヤモヤは経験したことがある。そう思い出したのは、無得点のまま後半に入ってしばらくしてからのこと。あの昇格の年の終盤戦で何度も何度もこれで終わりか、と思ったあの時の感情だ。
絶望感に襲われた水戸での敗戦、最後の戦いを見届けるつもりで行った日帰り札幌。だが、あの時はドームでの奇跡から運命の歯車がギアチェンジした。その後はご存じの通り。
そして昨夜の試合は、本当に本当に残念な結果になってしまった。

今日この草津戦で勝てないと言うことは、今季のほぼ終戦を意味する。
攻めても攻めても点が取れないこのパターンは何度も見てきた、イヤなパターン。だが、今の甲府にはマラニョンとサーレスという強力な武器がある。ねばり強く続けることで、相手の退場を引き出し、そしてPKゲット。PKの場面はいつも祈るように見るのだが、この日の祈りの感情は今季最大のもの。初めて見るマラニョンのPKは不安で不安で(PKゲット後に喜びすぎてたし)。
しかし、見事に決めてくれたPKで心のモヤモヤは一気に晴れた。イケルイケル! まだ終わってない。この一戦に勝ってまだまだ行ける。
しかし、信じられないミスが重なり同点ゴールを許してしまう。ここでまた軽いモヤモヤモードに陥るが、さらに一人退場で圧倒的優位に立つ。攻め手も豊富でこれなら大丈夫。一失点は事故としては仕方ない、この位は織り込み済み。ウチは攻め勝つチーム。ここから何点も取って勝つ!という気持ちで見ていた。
そして林っさんのゴール! これは嬉しかったなぁ…。大ベテランがチームを救う。そして敬愛する安間監督と共にもう一度J1へ!というバラ色のストーリーが頭の中で展開されていたその時、まったくくだらないプレーの連続で、まったく信じられない、しかし草津としてはこれしかない形での同点ゴールが決まってしまう。……ナニヤッテンダ、オマエラ。手に持っていた旗の棒をバチバチと打ち付けて思わず声を荒げる私。なんかでっかい定規を片手に生徒相手に切れる先生の気持ちがわかったよ……。

そこからはスタジアム全体の焦りが悪い方へ悪い方へと回り始め……。時間はまだまだあったはずなのだが、あっという間に消費してしまった印象。2点目の失点の形が悪すぎた。切り替えも意識の統一もできないまま、ついには攻撃に形も作れなくなりタイムアップ。この絶望感。

マラニョンと輪湖という攻めのポイントを下げた安間監督の采配は、結果的に非難されてしかるべきもの。だが、私は少なくとも同じくらいには(本当はそれ以上に)、この無様な展開も招いたピッチ上の選手達も非難されるべきだと思う。
やる気のないヤツなんて居ない、ピンチの場面で集中力がないヤツも居ない。ただ、あまりに結果がマヌケすぎるだけ。

今年のチームについての分析はいくらでもできる。看板と中身のねじれ。意思統一のなさ。自分たちの立ち位置。クラブの本気度。そんな分析も今はむなしいだけ。

この非難を受け止めろ。そして強くなれ。
この絶望を糧にしよう。そしてもう一度立ち上がろう。

勝てると思った試合を何度落としたことか。勝つべき一戦を何度しくじったことか。我々は学ぶことができたはずだ。これだけ痛い思いをしたのだから。

本当の「BACK TO J1」は今ここから始まったのだ。