「すごいじゃない。最高だよ」
「すき」
松田優作が、家庭的な話を誉めている。ニコニコしている。
むむむ、銃をぶっ放してたり、冷たい顔なイメージが…。
いいんじゃない?いい…じゃない!こういうのも。

『春が来た』のタイトルバックは横尾忠則。ほおおお。

作:向田邦子 演出:久世光彦 …ゴールデンコンビ。

これでもかこれでもかと、小さなアクシデントが、
ジェリービーンズのようにちりばめられている。

そごうのOL:桃井かおりが“見栄”をはる。
詩を書く、ふてぶてしい妹は杉田かおる。
汚い靴下の母親は加藤治子、半失業のなさけない父親は三国連太郎。
家のことを見栄をはって、“いいお家”風に言うが、すぐにばれる…

「見栄はらない女なんて女じゃないんじゃないかな」
「男は妻や子供、身近な女の前で見栄をはりたいんだよ」
うーん、優作一人勝ち。
このドラマで、一番かっこいいね。

春の神様(優作)は傾いた家の中を、華やかにさせる。
でも、その春風は短い間だけ吹いて、
通り過ぎていった。

はっぴーえんど、夢見ちゃったけど、そうじゃなかった。
風は捕まえられません。