Fさんの、1995年以前の作品集を手に入れた。

この時代の作品は初めて見る。


見どころがない。


曖昧で非力、

既視感にあふれている上に

中途半端な言葉が添えられているから大変にうるさい。


でもそれは予想できたことで、

わたしが見た中で一番古いもの、

1997年の作品が首を傾げるほど不出来だったのだ


1999年に、

一気に飛翔した


現物ではなく

写真で見てもぞっとする

そんなものたちは

世紀の境目に顕れた


なにがあったのか知るすべもないけれど、

なにかはあった


つかみとったのか、

神に選ばれたのか、

知ることはありえないけれど、

Fさんが血を吐くように戦ってきたことだけは

わかった


このような芸術家に出会えたことは

つかみとったのか、

神に選ばれたのか、