『ネオン・デーモン』 | yoshi's drifting weblog -揺蕩記-

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NWRことニコラス・ウィンディング・レフン監督の最新作『ネオン・デーモン』を観て参りましたよ。
 
 
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例によって地元の映画館ではかかっておらず、最寄りは新宿ということで、久々のTOHOシネマズ新宿に出向きましたよ。
 
 
今年は「数を見る」よりも「いろんな映画館で観たい」と希望しておりますんで、出足好調でしょうかまあ大して意味もない気もしますけども。
 
 
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解りにくいかもしれませんが、パンフレットはラメラメのホログラム仕様で、これがまた映画内での演出と相俟って実に良いですね。
( ´ ▽ `  )
 
 
さてさて、まずはNWR監督との出会いは新宿バルト9で観た『ドライヴ』ですよね。
 
 
クライムサスペンスとカーアクションの見事なバランス、そんでもってライアン・ゴズリングが体現していた色気とか美的センスの見事さがもう、最高のところで結実していて、第1回俺シネマランキングでは第8位にランクインさせてましたね。
 
 
で、その面白さから次作の『オンリー・ゴッド』も劇場で観たんですが、これは東南アジアを舞台にしたちょっと難解な映画でして、ライアン・ゴズリングは相変わらずの色気を醸していたものの、それ以上に東南アジアのおじさんの佇まいが異様過ぎて、どう解釈して良いものかと悩んでしまい、その年の俺シネマランキングでは32位と低い位置付けになってしまいましたね。
 
 
そんな NWR作品なんですが、今作では「モデル業界の裏側に潜む人間の美への欲望」をモチーフにした内容とのことで、しかもタイトルの「ネオン・デーモン」という言葉のインパクト、響きもすごく惹かれるところがありましたんで、新宿まで出張ってきましたよ、と。
 
 
で、物語ですが、一流モデルになるために田舎からロサンゼルスに出てきた16歳の少女・ジェシー(エル・ファニング)はネットで知り合ったカメラマンに撮ってもらった宣材写真を手にモデル事務所を訪れると、社長はその美貌に惚れ込み、直様契約を交わす。折しも宣材写真の撮影時にメイクアップアーティストのルビー(ジェナ・マローン)と知り合い、彼女もジェシーの美貌に惹かれ、友人のモデル仲間に紹介する。そうやってモデル業界に足を踏み入れたジェシーは、有名カメラマンや一流デザイナーに気に入られ始め、次第に自らの美貌に過信し始め、……という感じです。
 
 
感想としては、まあ端的に言うと、「美」というものを「感じる」映画、ということでしょうか。
 
 
まず冒頭、白くて長いソファに青いドレスを纏って目の周りをラメラメに粧し込んだエル・ファニングが横たわっているものの、その首元からは大量の血が流れていて、血は床にまで広がり血溜まりとなっていて、……という「なんかヤバい画」から始まるわけですが、一見すると物語のラストから始まる的な演出かも?なんて思いつつ、でも実は宣材写真の撮影中でしたよ〜、というくだりでして。
 
 
で、この「画」というのが、今思うと、いろいろなものを示唆していたなぁと思いますね。
 
 
モデルの欲望、スタイリッシュな画、そこに潜む美、そこに孕む狂気、……なんとも形容しがたいものが綯い交ぜに映されてるわけです。
 
 
物語の展開としては、なかなかネタバレになってしまうので割愛しますが、そういったモデル業界の裏側に流れている「美」や「欲望」、「過信」「嫉妬」といったものがまさに「渦巻いて」展開されていくのですね。
 
 
こういった「業界の裏側を描く物語」という点では、割と読めそうな展開をしていくんですが、でもその「読み切った」先に待ち受ける展開はさすがに私は読めませんでしたね。
 
 
あ、なにそういう展開?!みたいな感じで、確かに衝撃はありました。
 
 
タイトルの「デーモン」が示唆しているのは、なんなんだろう?と考えると、また味わい深くなりますよね。
 
 
そんな風にいろいろと象徴的なモチーフ、……三角形のネオンとか、山猫とか、緊縛とかがいっぱいありまして、それが一体何をあわらしているのかを考えていくのも面白いと思いますけど、でもまあ、ほんと、これは映像の美を味わう側面が強いので、ただただ見る、味わう、体感する方が良いのかもしれませんね。
 
 
そうそう、音楽もなんともインダストリアルな、ダフトパンキーな曲が掛かってて、そのテイストも私は好みでした。
 
 
重低音がブォォーンブォォーンと響く、あの重々しい感じ。
 
 
あと、エル・ファニングが宿泊しているモーテルの主がキアヌ・リーブスでして、そのクソ野郎っぷりが今まで見たことない感じでしたので新鮮でした。
 
 
ほんと、なんとも言いがたいんですが、私はまあ、結構好きな作品でしたね。
 
 
印象としてはハーモニー・コリン監督の『スプリング・ブレイカーズ』とかギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』とかに近いかな、と。
 
 
ああいったネオン煌びやかなレトロな世界に垣間見える人間の内面、みたいな、そんな感じです。
 
 
あんまり他人に勧められる映画ではないですけど、まあ、とりあえずは『ドライヴ』を観た方が良いとは思います。
 
 
『ドライヴ』は本当に面白かった。
 
 
あそこから抜けてこないなぁという、ちょっと残念な感じも否めませんが。
 
 
さて、次回はあれですかね、『ドクター・ストレンジ』。
 
 
なんか妙に煽ってるんで、地元のIMAX3Dで観てこようかと思っとります。
 
 
ではでは。