知者は水を楽しむ。
仁者は山を楽しむ。
知者は動く。
仁者は静かなり。
知者は楽しむ。
仁者は寿し。

水は流れる。知者は、この流れてやまない水の姿を楽しむものだ。頭も流動的だ。
山は不動である。仁者は、利害、名誉と恥辱その他のために心を動かすものではない。そのためか、動く水より不動の山を楽しむものだ。

知者は、機を見るのに敏である。自然、世相に応じて変化する。
仁者は静的であり、流転の世に処しても不動の態度を持っている。

知者は流転の世相に誤りなく身を処し、流れにさおさして楽しみ生きる。
仁者は外部の事情によって自分の心を動揺させない。自然、安心立命、おのずから長寿を保つ。

自分がどちらのタイプかを知って、人生を楽しく過ごすのもいい。
ただ、流行を追うだけだと、人間がどうしても軽くなる。
かといって、原理原則ばかりを重視すると、古典にひきずられて次第に浮世離れしていく難がある。
人間には、知者と仁者の両方の要素が必要だから、普遍性と、流行の両方にアプローチして楽しみ、人間としての幅を広げていきたいものだ。